イタリアンでも食べルッカ

おいしい物と個性豊かな料理人達に囲まれた料理学校での日常記

欧州勢は少数精鋭

2008-11-24 03:37:36 | 料理学院
またまた書き込みが遅れてすみません。
毎週新しい生徒が来たり発ったりの、めまぐるしいコースです。
今週は初めて異動のない週末でした!

今回は面白いことに毎週ひとりずつ英仏勢の参加者がいたのですが、なかなか楽しく個性的な女性たちでした。

1週目のフランス女性シルヴィーはヴェルサイユ在住。ドイツ・フォアベルク社のサーモミックス「Il Bimbo」販売担当者、兼レストランのシェフたちのゴーストライターとして、彼らの書く文法の間違いだらけのレシピを雑誌社出版社向けにリライトしている。ミシュランのガイドブックの仕事もしたことがあるらしい。
サーモミックスはフランスだと969ユーロだけど、非居住者の日本人なら20%の税金が免除されるから是非買って!と商売の方もなかなか熱心。ちなみにこの機械、メーカーはドイツだが製造はフランスの工場で、一番のお得意様はイタリア人とスペイン人だそうです。プロモーションするから私をルッカに出張させて、とボスに売り込んできなさいとハッパをかける。

2週目のメアリー・ジェーンはイギリス人とスコットランド人のハーフ。もとBBCのジャーナリストで、現在はフリー。ジャーナリズム業と執筆のかたわら、趣味の帽子作りを副業にしていてバーチャルショップももっている。イタリアに安く留学したかったから、ローマの語学学校にコンタクトをとって、ガーデニングを担当するかわりに授業料を割り引いてもらった、となかなかたくましい。イタリア語も堪能で通訳の必要もほとんどなく、また必ず帰ってくるわと元気にロンドンに(格安のRyan Airで)戻っていった。

そして3週目のフランセス嬢、身長170cmの私がはるかに見上げなくてはいけない193cmの長身。バスケットボールでもやってるんですかと聞けば、ボートのクォドプルスカル部門の選手で……なんと2004年アテネ、2008年北京の2度のオリンピックの銀メダリスト、フランセス・ホートンでした。今は休暇中で、料理は趣味だからイタリアに来たのと屈託なく笑う28歳。スポーツをやっていた生徒さんはいっぱいいたけど、メダリストは初めてです。
食事制限はないの?「何を食べてもいいの。ただ自分でコントロールはするわ。バカ食いしてもいいんだけど、それなら(周囲が納得する)よりよい結果を出さなくてはいけないの」。
記者とか、うるさくつきまとわない?「メダル獲得後はそうだったけど、次第に収まるのよ」
将来は?「私の場合、かなり複雑だから……」(ロンドン五輪出場の可能性もあり?)
世界中でトレーニングと試合をこなしながら、ちゃんとオックスフォード・キングスカレッジでスペイン語&文学で学位もとっている文武両道の、でもとてもシンプルで可愛い人でした(スペイン語のレシピを読んでいて1か所分からなかったところを、なんと添削してもらった図々しい私)。ロンドンで出るのなら学校あげて応援します!

ちなみに彼女が一番気に入ったのが、かたつむり(ルマーカ)みたいな形のパスタ(写真)をゆでて、中にクリームベースのソースをつめてグラタン焼きにするお料理。サインつきで撮ってしまった。ミーハーしている今週の料理学院です。

ローマ風ニョッキ

2008-11-07 02:46:57 | 料理学院
というとセモリナ粉をミルクで煮て、一見ポレンタみたいな感じに煮上げて、冷やし固めてから型で抜くアレですよね。でもこの写真はぜんぜんそう見えないですよね。
ハイ、ジャンルーカが勝手にそう命名しているだけで、これはジャガイモで作ったふつうのニョッキです。ソースは赤と黄色のパプリカで、かかっているのはケシの実です。なのにローマ風なのはなぜかというと、サッカーの「LA ROMA」チームのチームカラーが赤と黄だからだそうです。
それでひらめいた私は、次回のフェスタ用にと「セリエA折り紙」制作に着手しました。紙を数枚使ってパーツを折り、組み合わせて立体にする手法なので、色の組み合わせがきくのです。
問題は血を見ないよう、あらかじめ招待客のひいきチームを調べておかなくてはならないことです(ちなみにルッカのチームカラーは白と黒。ユヴェントゥスかいっ)。不幸にして流血騒ぎに発展した場合には、ソースをトマトベースに変えるというバリエーションが提唱されています???

ケニア料理初体験

2008-11-07 02:31:44 | 料理学院
先日プロコースが終了した際にも、例によってイタリア料理と日本料理の2本立てによる「卒業料理制作」「卒業式」および「謝恩会」をしたわけですが、最近国際化にともなって料理の内容は多角化しつつあります。
前回は上記2本に加えてアルゼンチン料理、南アメリカ・ニューオーリンズあたりの郷土料理、ベラルーシ料理が揃い、「イタリア全土を探してもこれだけの料理が一同に食べられる店はない」と思われたのですが、今回はナイロビ出身のアントニー君によるケニア料理が加わりました。ケニア人の血を引くオバマ氏が次期米大統領に決まった昨今、タイムリーな企画と申せましょう。
問題はケニア料理のベースはどうやら必ず玉ねぎとトマトで作られるらしいのに(コロンブスのアメリカ発見以前はどうやって作っていたのだ?)、アントニー君はトマトと玉ねぎがキライなことです。で、なぜイタリア料理をめざしているのか理解に苦しむ。ま、今ピエモンテで研修中の卒業生にも「シェフはキノコ料理が十八番らしくて、キノコ料理のコンクールでとったらしいトロフィーが店に飾ってあるのに、僕はキノコに興味ないんです」という人もいるし。
さてできた料理がこちら。スパイスのいっぱいきいたドライカレー風の料理で、ケニアと同じくイギリス領だったインドの影響もあるのかな?って感じですが、美味でした。あとはジャガイモとグリーンピースをピューレにした「モキモ」とか、牛肉のシチューとか、みな美味でたちまち皆ファンになりました。
ちなみに横に移っているのは毎回テーブルの飾りに使っている折り紙です。最初のころはツルばっかり折っていましたが、こういう抽象体のほうが料理を邪魔しない感じがして好きです。だいいち折鶴が大量にある場所って病室とか神社とか慰霊碑とか、あまり食事と関係ないしね。

そして国際化の波も続く

2008-11-05 06:19:27 | 料理学院
11月に入り、プロコースに代わってアマチュアコースがスタートしております。
このコースは1週間単位で参加できるので、毎週誰かが増えたり減ったりするのだけど、今回は最初から参加する日本人は2人だけ。
でも他の参加者がイタリア(ジャンルーカの高校時代の同級生、パオラさん)、フランス、韓国から来ていて、そして研修先レストランが休みに入ったため今週だけ参加するケニアのアントニー君がいるので生徒の国籍は5つ!
幸いにして韓国人男性(ニックネームは「ジョルジョ」さん)は日本語と英語がペラペラだし、フランス人のシルヴィーもイタリア語や英語はそこそこわかるが、全員がわかる言語というのがひとつもないので、ジャンルーカやマリエッラの説明も伊・英・仏語を行ったり来たりでめまぐるしい。でもこの十数年しつこくNHKラジオのフランス語放送を聴き続けたおかげで、料理の話くらいならフランス語もなんとか通訳できるのです、今の私は。NHKあなどるべからず。

ところでプロコースを振り返ってみて人気ナンバーワンの料理はというと、セレーナの十八番「ラザニア」とマリエッラのアルジェリア(というよりマグレブ)料理、「Cous Cous Royal(王侯風クスクス=写真)が世論を二分しました。若い男の子が多かったから、ママの料理が口に合ったのかな。容器はここの館にもともと調度としてあった「クスクス用の鉢」。土地によって柄に特徴があり、これはモロッコのものだそうです。

そして訃報は続く

2008-11-05 05:59:46 | 料理学院
シエナ時代の卒業生のM氏が急逝したとのメール。
前日まで元気で、眠っているうちに亡くなったとのことだけれども
41歳は若すぎる……

この夏東京に行った時に、店を訪ねてみようかと一度は思ったのに
一番都合のいい日が定休日だったために予定を変えた自分が悔やまれる。

研修レストランのあったシチリアが気に入り、独立して店を出すときも
シチリア方言で店名をつけていた「トッシー」をしのんで、
ジャンルーカ作のシチリア料理「ノルマ風パスタ」です。