佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの暗示学140――リーダーの条件:生命の危機を察知するイマジネーション

2005-04-28 06:33:51 | リーダーの条件
 最近痛ましい人身事故が次々と起きています。JR西日本の脱線事故、手動による遮断機上げによる踏み切り死傷事故、レジャーランドでシートベルトをつけなかったために落下して死亡した事故、少し遡って六本木のビルの回転ドアで子供がはさまれて死亡した事故など、どうしてこんなことが起きるのかと思わされてしまいます。
 
 
「経営者はなぜ危機を予測できないのか」
 ハインリッヒの法則というのがあるそうで、大きな事故の背後には予兆ともいうべき小さな事故が29件だかあるということです。
 
 経営者なら、それくらいのことは多分みな知っているでしょう。知っていながら、どうして、経営者はそれに気が付かないのか。それとも気が付かないふりをしているのでしょうか。

 開かずの踏み切りを一度でも見れば、「これは危ない、必ず事故が起きるぞ」と誰でも気が付きそうなものです。

 回転ドアだって、以前から子供が何度も事故を起こしている。「これは、そのうち大事故になるぞ」と、ふつうの人なら予感して当然でしょう。
 
 それが、なぜ経営者がそう思えないのか。現場の情報が上まで届かないのか。利益にとらわれていて、そういう情報を無視しているのか。今まで、なんとかそれでやれているから大丈夫だと思っているのか。それは過信としか思えません。

 企業において、顧客や利用者、さらには仕事に従事している従業員の安全を守るのは、経営者として最も重要な責務であるのは自明です。それができないのは、経営者の資質にかかわる問題だといえます。
 
 危険な問題の発生を予測できない経営者の感覚の鈍りが、いったいどこから生じているのか。それは経営者の意識の問題であり、組織の仕組みの問題であり、それが従業員の意識にも反映されます。

 危険を示す兆しを常にウォッチし、その芽をつぶす仕組みを恒常的に取り入れる。人命の安全を守るために、もう一度自らをの行動と組織のあり方を見直す必要があるでしょう。
 

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