星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(65) レイクカントリー

2007年07月24日 01時48分18秒 | Weblog

我が家から国道97号線を北上すること10分でケロウナを出外れ、隣の町Winfieldに入ります。Winfieldをはじめとする小さな町が4つ集まるこの地区には大小さまざまな湖が点在することから、「Lake Country」と呼ばれています。

おととし、去年と二年連続でお世話になった、シアトルに住む友達Gご夫妻が7月末にケロウナに遊びに来てくれることになりました。ゴルフをしないGさんはカヤックを初めて漕いでみたいとのことなのです。ケロウナでのゴルフのことなら大体何でも分かる私も、その方面の知識を持ち合わせないので、予備知識を仕入れにレイクカントリーに下見に出かけました。

Winfieldの中央で国道97号線を右折して、Beaver Lake Roadをそのまま山に向かって約20キロ、舗装もしていない山道を30分ほど進むとBeaver Lake Mountain Resortに到着です。http://www.beaverlakeresort.com/activities/rentals.html
施設もそれなりに揃っているようですが、初心者がカヤックを漕ぐ姿をイメージするにはちょっと湖が大きすぎる感じで、「イマイチ」との印象です。

Beaver Lakeから10キロほど奥に進み、放し飼いされている牛の群れがゆっくりと横断するのを待ちながら、砂利だらけの悪路を走ると約20分でDee Lakeに到着します。http://www.deelakeresort.com/

「これだっ!」と一目惚れです。いかにもカナダの山奥にひっそりと横たわる、初めてのカヤックには「これしかない」佇まいと勝手に決め込んでしまいました。Gさんご夫妻もきっと気に入ってくれることでしょう。

左腕にまだ痛みの残る私はカヤックは敬遠して、初めてのLake fishingに挑戦しようかと思っています。釣り竿(fishing rod)のレンタルはあるが仕掛け類(tackle)は各自用意するようでレンタルはありません。でも事情を察した店の人が「レンタルは無いけど自分のを貸してあげるから大丈夫」、と極めてフレンドリーに言ってくれます。ここがますます気に入りました。

折角の下見だからと賃貸用のキャビンを見せてもらったり、敷地内のキャビンに通年住み込んで生活している従業員と言葉を交わしたりしてみました。静かに横たわる小さな湖を目の前にして、大自然に囲まれる生活を、「この世のものとも思えないpeacefulな生活。ここを離れる気は毛頭ない」と断言します。「キャビン借りてせいぜい一週間くらい居てもいいかなぁ?」が我々の限度です。

今月末のG夫妻とのアウティングはせいぜい半日の「アウトドア未開人」メニューなのです。


ケロウナ便り(64) ハイキング(2)

2007年07月20日 04時20分44秒 | Weblog

朝6時に出発してかれこれ6時間、歩き出してから2時間半が経ちお腹も空いてきました。インドア派4人は出発時に比べると口数も減り、みんな足元を見ながらジッと耐えて歩き続けている風情です。でも若いお嬢さん二人の足取りにはまだまだ軽さが残っている感じはします。スキーのストックを両手に、Hさんの奥さんにペースを合わせてもらっている女房が一番シンドそうです。

Hさんと高校生の子供さん二人は忍者の如く軽快に飛ばし、要所要所で我々を待ってくれています。しんがりが着くと「さあて、みんな揃ったから出発するかぁ!」とのHさんの元気な声に「えぇ~!ちょっと休ませてよ~っ!」を繰り返しつつも、「お~い、この坂上れば到着だよ~!」に残った力をふりしぼって、着いた先にはEva Lakeが標高1921mに神秘的に横たわり、その先にはMt. Revelstokeが頂に雪を残した勇姿をあらわしました。感動の瞬間です。3時間弱の行軍の苦しみの後だけに喜びもひとしおです。

おにぎりと玉子焼きだけのシンプルな昼飯がこれほど美味しいと感じたのも久しぶりです。感慨に浸って、一句ものそうかなんて殊勝な気持ちになる私を邪魔するように、大きな蚊の大群やアブが身の周りにまとわりつきます。虫除けスプレーを吹き付けても、衣類の上からでも刺すそうです。手や帽子で追い払ったり、鬱陶しいことこの上ないので、一箇所にジッとしていられません。したがって、俳句も不発でした。蚊とアブの仕業です。

踏み場所を間違えると膝まで沈み込むくらいの雪の残る湖畔を歩き、雪解け水が滝となって落ち始める源流を見たり、記念撮影したりと「一箇所に留まらない作戦」の小一時間の湖畔散策を終えて、蚊に追い払われるように帰路に就きました。

往路の上り坂は帰路の下り坂。一度通った道だけに心の余裕もあってか、帰りは二時間半もかからずに、怪我も無く無事走破です。往路で感じたよりも雪道が多かったのにはビックリしました。往路では行く手への不安感、不透明感に心を奪われ、雪の多少に注目する余裕が無かったということなのでしょう。

帰りの道すがら何組かのハイカーとすれ違いました。いずれもこのハイキングコースは初めてのようでしたが、往路の我々のように顎が上がっている様子でもなく、健康そうな汗をかいてスポーツとしてのハイキングを本当にエンジョイしている様子が感じ取れました。日頃の運動不足も手伝って、今日のハイキングを体力の限界ギリギリと感じる、自然との付き合い方に不慣れなわれわれに比べると、自然環境に恵まれたカナダ人のアウトドア・ライフの身近さを垣間見たような気がします。

都会育ちの二人のお嬢さんがハイキングの後に洩らした感想は「(死ぬかと思うくらいに)大変つらく険しい道のりであっただけに目的地に着いたときの感動は忘れられない。でも、決して二度と経験したくはない」。これをそばで聞いていたHさんのお子さん達の反応は「こんなのは珍しいことじゃないよ。そんなに大騒ぎすることじゃないでしょ」と言わんばかりの涼しげな表情です。育った環境が違うと言えばそれまでですが、彼我の若者のバイタリティー、サバイバル能力の違いを見せつけられた気がします。「ライフスタイルの違い」で簡単に片付けてしまえる話でもなさそうです。

若者だけではありません。「あんなのは、まだ歩いたうちに入らないよ」 とHさんがのたまっていたと人づてに聞きました。たしかにHさんの眼から見たら、われわれのアウトドア・ライフの経験の浅さ(というより経験の無さ)は信じがたいレベルなのに違いありません。私の観察する限り、Hファミリーが平均的カナダ人を遙かに凌ぐアウトドア派であるかと言えば、そうでもない気がします。むしろ平均に近いのではないかとすら思います。

子供相手のエコロジー啓蒙テレビ番組があったり、自然との共生、自然保護に関する意識は間違いなくカナダの方が日本の遥か上を行っているというのが率直な印象です。

Hさんを平均的日本人と比較するのがそもそもの間違いなのです。スキーの師匠であり、ハイキングの師匠でもある超アウトドア派Hさんは江戸っ子である前にカナダ人なのです。もっと正確には「江戸っ子系カナダ人」ですね。 


ケロウナ便り(63) ハイキング(1)

2007年07月19日 04時52分12秒 | Weblog

スキーの師匠としてこの冬大変お世話になったHさんに誘われて、Hさんファミリーと一緒にRevelstoke国立公園にハイキングに出かけました。「山のお散歩」程度に軽く考えておにぎりと水を持ち、運動靴と軽快ないでたちで出発しました。山の上は蚊が多いので虫除けのスプレイと、長ズボンで防備も完璧です。

Revelstokeはケロウナからカナディアンロッキーの入り口Banffに向けて国道一号線を東に二時間半、約200キロ走ったあたりに位置する町で、カナダ大陸横断鉄道のロッキー越えを果たすのに重要な役割を演じた歴史のある古い町です。バンフ国立公園の手前に広がるレベルストーク国立公園、グレイシャー国立公園へのアクセスの良さから、「BCの奥座敷」と私が勝手に呼んでいます。
詳しくはhttp://www.revelstokecc.bc.ca/japanese/index.html を見てください。

ここからは温泉が散在する地域に入るので、温泉大好き人間の私はチョクチョクお邪魔することになる予感がします。

話を本題に戻しましょう。

早朝6時に家を出発し、公園入り口に9時前に到着です。駐車場に車を停めて登山口までバスに乗りますが、早すぎるのか、まだバスが動いていないようです。「じゃ、しょうがんない、上まで歩こう」アウトドア派のHさんはいとも簡単に結論出します。だらだらの登り坂を歩くこと約15分、ようやく登山口に着いた時には早くも顎が出始めていました。インドア派の我々4人は、このまま終わっても充分なくらいです。

今日のコースはエバ湖(Eva Lake)までの片道6キロのトレイル(遊歩道)です。若干の上り下りもあるけど殆んどが緩やかなハイキングコースです。ただコースには雪が残っている部分があるのでくれぐれも怪我の無いようにだけは注意するように。Hさんらしい、相変わらずの簡潔なプリーフィングを済ませていよいよ出発です。

片道6キロということは往復で最低12キロ、大雑把に言えばゴルフを2ラウンド歩いて回る計算です。毎日のようにバッグを背負って1ラウンド歩いている私でも、ちょっと構えてしまう距離に、一緒に行った女房と日本から遊びに来ている若いお嬢さん二人は素直に「なに、これっ?!」と驚きとショックを初めから隠せません。お散歩なんかでは決してありません。彼女達には厳しい「登山」以外の何者でもないのです。

予想以上に雪が残って歩きづらいトレイルに苦労しながら、遠くに雪を頂く山を見てカナダらしさを満喫したり、足元に可憐に咲く高山植物に感動したりしながら歩くこと約二時間。「まだかな?」「あとどのくらい?」「帰りも同じ道?」なんて言葉が若者の口から飛び出し始めています。

長くなりそうなので、この続きはまた明日。


ケロウナ便り(62) オールスター・ゲーム

2007年07月12日 04時50分02秒 | Weblog

またまたイチローがとてつもない快挙をやってくれました。オールスター戦で3打数3安打1ホームラン2打点でMVP獲得!しかも78年の歴史を誇るオールスターゲームで初めての"inside the ball park home run"、いわゆるランニングホームランです。

昨年のワールドベースポール選手権で、イチローが先頭打者ホームランを打った相手投手、San Diego PadresのJake Peavyが今日のナショナルリーグ先発ピッチャーと聞いて、なんとなく打ってくれそうな予感はありました。第一打席のファーストストライクをキッチリ叩いて一、二塁間をやぶるライト前ヒット。続く第二打席は外角低めのボールをイチローにしかできないようなバットコントロールでちょこんと合わせ、三塁手の後方レフト前に落とす、いかにもイチローらしいヒットで早くもマルチヒット達成です。

綺羅星の如きスーパースターが出番を待つオールスターゲーム、第三打席に立てた幸運を楽しむように振ったバットが快音を残し右翼スタンドに向かってボールが飛んで行きました。あわやホームランかと思われた球がフェンスに当たり、さしもの名手Ken Griffyもクッションボールの処理にもたつく間にイチローは二塁、三塁ベースをトップギアーで駆け抜け、滑り込むこともなく涼しそうな顔で悠々とホームベースを駆け抜けてランニングホーマー達成です。ヒーローを迎えるチームメートとのハイタッチが続く中で初めて満面に笑みを浮かべて、ちょっと照れた表情も見せながら喜びを噛み締めているようでした。

この大舞台でこれだけの大仕事を成し遂げたイチロー、VIPに選ばれた後のインタビューで「ようやく7年目のオールスターでボクの『作品』が表現できた気がします」と淡々と芸術家のように一言一言噛みしめながら物静かに語っていました。

私を含めて周りの日本人だけが大興奮状態でだったのでしょうか?

イチローの活躍の陰で目立たなかったけど、7回の打者三人をキッチリと凡退にし止めたドジャースの斉藤、出番こそ無かったけど夢の舞台のブルペンでウオームアップするレッドソックスの岡島、どちらもすごく輝いて見えました。シーズン後半の活躍が楽しみです。

結果は分かっているのに、昨日の興奮を再確認したくて日米のメディアのニュース欄をインターネットで漁りまくって楽しんでいる私は根っからのMLBファン、日本人メージャーリーガー・ファンです。

 

 


ケロウナ便り(61) Executive Course

2007年07月09日 15時03分59秒 | Weblog

ゴルフの公式試合にも使える堂々のチャンピオンシップコース(Championship course)に対して、パー3のショートコースだけであったり、9ホールだけのコースをExecutive Courseと呼んでいます。「Executive」を英和辞典で調べても、どの用法例にも合致せず、なぜExecutiveと称するのかは、今度誰かに訊いてみようと思います。

我が家から10分ほどのショッピングセンターの裏手にあることは知っていながら、一度も行ったことのなかったAspen Grove Golf Courseに今日行ってみて、なかなかの物であることを思い知らされました。

1600ヤード、パー27、パー3のショートホールが9ホールあるExecutive courseです。
一番短くて144ヤード、一番長いのが211ヤード、その間に170~200ヤードの変化に富んだパー3ホールが続き、なかなか侮れません。アベレージゴルファーにはショートホール攻略の練習には格好のコースです。ゴルフを始めたばかりの初心者にとっては普通の18ホールのコースは荷が重いものですが、ここならそれほど上手なゴルファーは来ていないし、ほとんどのプレイヤーが初心者ないしはアベレージ以下の「散歩がてら」のお遊びゴルファーだから、気楽に回れるのが一番の良さです。

ゴルフ初心者のくせに練習嫌い、したがって当たり前のことながら思うようにゴルフの上達しない我が女房、「もうゴルフなんか止めようかな」が半ば口癖になっていました。アベレージ以上のゴルファーがプレーするチャンピオンシップコースで前の組に遅れないように、後の組に迷惑かけないようにと、自分のゴルフをする前に諸々のプレッシャーを全身に受け、ガチガチになっていて、ゴルフを「楽しむ」なんてレベルではまったく無かったはずです。

何よりもボールを打ったときの爽快感に代表される、ゴルフの「楽しさ、面白さ」を体感する前に、自己流の生半可な知識で教えようとする私と喧嘩しながら「練習のいやらしさ」から入ってしまった女房のゴルフ。このネガティブ・スパイラルから脱して「ゴルフって面白い、楽しいもの」と思えるようにするしか処方箋はありません。

そんなときにめぐり会ったAspen Grove Executive Course。渡りに船、地獄で仏。なんせ前の組は20分前にスタートして、後ろは30分間誰もスタートしないのです。ゼロプレッシャーです。背負ったゴルフバッグも軽く感じられるほどの平坦なコース。一度失敗しても何度でも打ちなおせる気楽さ。女房のショットに力が漲って来るのが感じられます。気楽に打つから、これまでにはあまり見られなかったような「カポ~ン」とクラブが仕事をするグッドショットが連発しました。いいぞいいぞ!

私は私でグリーン周りのアプローチを転がしてみたり、ピッチエンドランで攻めてみたりと何度もグリーン周りを右往左往して実戦さながらの技術研鑽の反復です。一時間半近くかけて9ホールを終えたときには、「もう一回りする?」なんて強気の発言をする女房をなだめて家路につきました。

9ホール15ドル、18ホール25ドルで半日楽しく遊ぶのが良いか、チャンピオンシップコースで60~80ドル払って一日中苦労するのが良いか、答えは明白ですね。

ガンバレかあちゃん!!


ケロウナ便り(60) 花火大会

2007年07月03日 06時10分20秒 | Weblog

7月1日はカナダ建国記念日、カナダデイです。各地で花火をあげて建国を祝い、真夏の到来を喜び合います。ケロウナで長期滞在している仲間で集まり、オカナガン湖畔の高層コンドミニアム13階にある友人Iさんの部屋を拝借して花火見物で盛り上がろうと、前から楽しみにしていました。

午後10時頃まで明るさの残る当地では、花火大会は通常午後10時過ぎに始まります。いつも大勢で会食する時に利用する中華料理屋で腹いっぱいの夕食を済ませ、頃合を見計らって湖畔のIさん宅に向かいながら、花火大会会場の公園Waterfront Partをブラブラ歩き、湖畔に湧き上がる喧騒やら、道沿いにテントを張る露店など日本の祭りに似た風景を、心地よい夜風に吹かれながら楽しんでいました。

去年初めて花火大会に来た時はもっと大勢の人がもっと急ぎ足に湖畔に向かっていたような記憶があり、そのときに比べると今日の観衆の動きが妙に鈍いような気もしていたら、その訳が分かりました。公園の片隅に何気なく立ててある白板に曰く、「Sorry,Fireworks Cancelled」。なぜ花火大会を中止するのか理由は一言も書かれていません。このような白板が公園内にいくつぐらい立っているのかは調べませんでした。

大会主催者が中止を決定して観衆に周知した瞬間の観衆の反応も目撃していません。花火を楽しみに集まる人たちに対して、中止の周知を立て看板だけで済ませたはずはないので、テレビやラジオはたまたインターネットなどの情報メディアを通じて周知したに違いないと思います。

花火打ち上げの頃に雷雨の予報が出ていたために中止されたとの「天災説」、打ち上げに際して法定上必要な、安全にかかわる装置に不具合がみつかったためとの「人災説」が流されていましたが真偽のほどは分かりません。間違いないのは観衆が冷静に受け止めたとみえて、会場周辺には不平不満の空気がまったく流れていないことです。湖畔に設営されたステージから流れるロックの調べとステージ前広場の聴衆の歓声は、花火の中止とは無関係に楽しげに企画が進行していることを物語っています。花火の中止は「残念だけど、しゃあないや」で一件落着の印象です。

日本の「花火大会」は花火そのものが主役で、それが中止なんて失態を演じたら主催者の責任問題に発展することは必死です。逸失経済効果はナンボだなんてマスコミから吊るし上げられ、記者会見での主催者の陳謝の姿が目に浮かびます。一方、カナダデイでの花火は、さまざまな企画のうちの重要な目玉ではあっても、花火だけではないので観衆も騒ぎ出さないのでしょうね。(尤も目玉の花火ですら、せいぜい15~20分と短く、日本の花火大会の規模とは比べ物にもならないシロモノですが。)

高層マンションから湖畔の喧騒を耳で確かめ、すっかり暗くなった湖上に点在するボートの灯す明かりを眺めながら、思い思いの飲み物を飲んで、ペチャクチャと話に大輪の花を咲かせて、カナダデイをそれなりに楽しく、有意義に送りました。

それにしても、8月に横浜のシーサイドマンション友人宅で企画されている花火大会を今年も見られないのが、ケロウナの花火中止よりもっと残念です。