星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

別府便り(2) 内成(うちなり)というところ

2014年11月12日 23時57分33秒 | Weblog
これから二週間お世話になるホリデーハウスのある「内成」について別府の人に訊くと、「うちなり?それ何処?」という反応はさすがにないものの、「ああ知っているけど行ったことはない」「あんた、あんなとこで何してるの?」との反応がほとんどでした。つまり、他県から別府を訪れる観光客が訪れることはまずない土地で、地元の人も滅多に訪れることのない、世帯数85,人口300人ほどの山合いの過疎の村なのです。知っている人は「ああ、棚田の内成だね」との反応が大多数なのです。

兼業農家が殆どのようです。若手の後継者が少ない中でご先祖様の残してくれた美しい棚田を維持しながら地域の活性化を図ろうと、内成活性化協議会を中心に住民みんなで頑張っている、日本の田舎の原風景が溢れる、肩の力が一気に抜けて心も体も癒やされる、心地よい景色に取り囲まれた里山です。

言葉で言い表すより、この素晴らしい内成を広く紹介するサイトを見てください。
まずは写真家・竹内康訓氏が撮り貯めたフェイスブックの内成写真集
そしてもひとつは、内成の日々を綴ったフェイスブックの「内成棚田」コミュニティー

別府駅と内成地区を結ぶ路線バスは亀の井バスが運行しており、通学児童の利用する平日に一日6往復、学校が休みの週末は一日3往復。自家用車がなくては生活が成り立たない、大いなる田舎です。地域を走る道路にはもちろん駐車禁止の標識は一切無く、どこでも路上駐車ノープロブレム。スローライフ満載です。

  

多数の観光客が訪れる湯の町・別府の中心部から車でほんの15分、15キロほど山あいに入った所とは信じ難い風景が目の前に広がります。
「日本棚田100選」にも選ばれた「内成棚田」を観光資源として活用して地域の活性化を図るべく、地元の大学APUとも提携しながらその活動の輪が広がっているようです。今回利用させてもらったホリデーハウスも、APUと内成活性化協議会とのコラボレーションの産物であることは前にも書いたとおりです。

よそ者は、いとも簡単に「この素晴らしい景観はぜひぜひ末永く残って欲しいし、残してもらいたい」なんてお気軽かつ無責任に言うけれど、若手の農業従事者が減る中で、内成地区の当事者の方々のご苦労は計り知れないものがあります。この地区に足を踏み入れただけでなく、そこに暮らす人々と短期間ながら接した者の一人として、何らかの方法でこの活動のお手伝いができないかと考えていたら、「棚田オーナー制度」があることを知りました。一日一合のご飯を二人で食べる老夫婦には30キロの玄米を送ってもらっても手に余る心配はありますが、早速オーナー登録を検討したいと思っているところです。




別府便り(1)別府でロングステイ

2014年11月09日 23時41分10秒 | Weblog
洞爺湖町での二週間のロングステイに続いて、こんどは別府で二週間のステイです。

2007年冬のケロウナで年甲斐も無くスキーに挑戦して、骨折こそしなかったものの筋肉または靭帯を傷めて左腕が上がらなくなり、整形外科や整体師に匙を投げられたたので、2007年春に友人のお宅に泊めてもらって一週間の湯治生活(実態は単なる温泉巡り)を満喫したのが湯の町別府との最初の出会いでした。

一週間の湯めぐり程度では傷んだ腕が快復するはずも無く、多くを期待はしていなかったのですが、鏡を見て驚いたのは赤みのさした自分の顔色です。自分でも恥ずかしくなるくらいの、健康そのものの顔色であったことを今でも覚えています。お世話になった別府のTさんの顔がいつもテカテカと赤く光り輝いているのは温泉パワーのおかげに違いありません。

温泉好きでは人後に落ちないと自負する私は、バラエティーに富んだ別府の温泉にぞっこん惚れ込み、いつの日にかゆっくりと温泉三昧の日々を過ごしたいと願っていたのです。

実は、会社の先輩でゴルフ仲間でもあるMさんが、定年退職を機に故郷の唐津に転居したのを口実に、Mさんとの交流を名目とした秋の九州ゴルフツアーが仲間の年中行事となっているのです。そのツアーも今年で5年目を迎え、宮崎が今回のデスティネーション。一泊ツープレーでとんぼ返りする仲間もいますが、例によって私はせっかくの飛行機代を無駄にしないため、他所に廻ることにして地図と首っ引きで研究した結果、「別府に行こう!」との結論に達したのです。

大分から成田に飛ぶLCC(格安航空会社)を利用すれば、宮崎から東京に帰る航空運賃との差額で宮崎・別府間の汽車賃もひねり出せるので、願ったり叶ったりです。

「願えば叶う」とは巧く言ったものです。長期滞在して生活しながら別府を楽しめる恰好のロングステイ施設にも巡り会えました。私の「国内ロングステイ基準」にこれまたぴったりの物件です。立命館アジアパシフィック大学(APU)の学生グループと、地域おこしを図る地元有志とのコラボで出来上がった施設、「ホリデーハウス御園」のお世話になって念願の別府でのロングステイが実現するのです。「御園」は別府市街の西側に位置する急斜面の丘陵を登りきったところに位置する内成地区の「あざ・字」名から命名されたものです。相当な田舎のようです。

久しぶりに特急列車に乗り、汽車の旅3時間の旅情を満喫して別府駅に降り立って、今後2週間の足として活躍してくれる軽自動車を借り出して御園に向けてスタートです。カーナビに「別府市内成」とインプットし、その先の「御園◯◯」と入れようとしても、内成でおしまいで、その先がインプットできません。「ま、いいか。内成に着けば分かるだろう」と見切り発車得意の私は鼻歌交じりで出発進行!

ところが・・・・・、ナビ通りに走ったら、とても人の住めそうもない山合いの峡谷に連れて行かれ・・・・??? しかも「目的地近くに到着です」なんてナビは言う。

たまたま通りかかった県か市の作業公用車に尋ねたら、とんでもない逆方向に連れてこられたらしいことが判明。Uターンして仕切り直しして予定の倍近い時間をかけてようやく到着です。後でわかったことですが、「内成」はかなり広い地域で、元々は隣接する由布市に属していたものが、御園を含むその一部が別府市に編入された歴史があるようで、どうやらさすがのカーナビも、過疎に近いこの辺りまではアップデートできていなかったらしいのです。

それにしても、幾山坂越えて、悪路と格闘した挙句にたどり着いた御園の景色と、これからお世話になるホリデーハウスが目に入った瞬間に、すべての苦労が報われ、肩から力がフーッと抜けた感じがしたことでした。