goo blog サービス終了のお知らせ 

姫路城英語ガイドのひとりごと

姫路城英語ボランティアガイドでの出来事や姫路城のあれこれを綴ります。

菱の門その2

2017年05月05日 | 作事
菱の門は豪華で優雅な門ではありますが、守りの備えも抜かりがありません。



手前には高麗門はありませんが、ご覧のように通路を屈折させた枡形となっています。
門の前の石垣と土塀(この写真からは見えませんが)が効果的です。
優雅な格子窓や華頭窓も漆喰を塗られた雨戸を開くと鉄砲を撃つ窓になります。
また、頭上には塵(ちり)落としと言われる石落としがあります。
ちょっと見にくいですが、金網の部分です。鳥が入ってこないように今は金網で塞いでいるのかもしれません。



それでもなお「ぬの門」に比べると三左衛門にはひ弱に感じます。
こちらは珍しい2重の櫓門で、上からも下からも攻撃できます。さらに扉は鉄板で覆われ姫路城最強の門と言っていいでしょう。
ちなみに、現存する2重の櫓門は姫路城の「ぬの門」と「水五門」だけです。



「菱の門」はご覧のように防御が薄い様に思われますが、だったら「菱の門」の役目は何なのでしょうか?
ヒントは菱の門特別公開にありました。
今回の特別公開では外側から向かって左側の部屋(門番所)に入る事ができました。



入った正面の壁がなんと石垣です。



注目はその左側の窓です。



反対側から見ると



特別公開の看板にあるようにこの部屋は門番所です。
この窓から通行人をチェックするのです。
「菱の門」は平時にはこのように閉じられ、脇戸から通行するようになっていたと思われます。



反対側から見ると



私達お城好きは門や櫓を見ると、ついついどのような防御の仕組みになっているのかと考えてしまいますが、門本来の役目を考えると、通行人のチェックなんですね。御殿へ出入りする人を確認していたのです。もちろん城主や客人も通ったでしょう。その時は大きな扉が開かれたかもしれません。防御は薄いかもしれませんが、格式の高い「菱の門」は御殿の正門なのです。
なんと単純な結論!前回の最初に「これは姫路城の正門と言うべき……」と書いてあるではないかと言うツッコミが聞こえてきそうです(^^;
でも、今回門番がどのように登城者をチェックしていたのか推測ができて、三左衛門は大きな収穫だったと思っていますし、これからは堂々と Main Gate と説明できるようになりました。

ところが、「菱の門」はまだ他の役割があります。それは次回。Don't miss it

当サイトの画像等の無断転載転用はご遠慮ください










コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 菱の門その1 | トップ | 平成29年度姫路城英語ボラン... »
最新の画像もっと見る

3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (黒田頭巾)
2017-05-14 18:50:57
現存しませんが、桜門、桐の一門、二門は二重枡形で、桜・桐と名付けられ、太鼓櫓もあったそうですし、菱の門以上に厳重で格式が高かったのではと思います。

姫路駅北口が姫路城口(Himeji castle Gate)となりましたが、これだと「姫路城側の門(出入口)」というより「姫路城の門(出入口)」と思ってしまうのですが、英訳としてはおかしくないのでしょうか。
返信する
Re: (三左衛門)
2017-05-16 20:36:54
その通りで、桐の一門は格式が高かったと思います。池田時代は菱の門が正門でしたが、本多時代以降は御殿の位置関係から桐の一門が正門だったような気がします。
本当だ、Himeji Castle Gate は変ですね。
返信する
Unknown (黒田頭巾)
2017-05-20 21:37:19
中堀・外堀の門も残っていませんが厳重ですものね。姫路市が資料を探しているらしいですが新しい古写真などが見付かるといいですね。
あの英訳、やっぱり変なんですね。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

作事」カテゴリの最新記事