歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

出羽三山、修験の旅:2~羽黒山・現世うろうろ~

2015年09月19日 | 旅録 -travelogue-
宮古島ロスに陥るひまもなく、仕事がバタバタ回りだして、バタバタし始めた矢先に、
またもや連休に入ろうとしています・・・。連休明け、またバタバタだなあ・・。

そんなこんなな、今日この頃ですが。


お盆休みに訪れた、山形・出羽三山への旅。その2。



(前回までのお話・・・早朝から、羽黒山の長い石段を登る。山頂の三社合祭殿を参拝した後、ブナと杉に包まれた旧い登拝道の山道を下り、荒澤寺のある山裾に降り立ちました。)



降り立った地点は、人里はなれた、山の中腹を走る、車道。






川沿いに、車道。のみ。

人気は、なし。

車ばかりが、たまにびゅーんと、通って行きます。




ここらへんはもはや、人が徒歩で降り立つことすら想定されていないのか、
手持ちの「羽黒山周辺マップ」を見れば、「集落まで徒歩○○分」という情報も、一切無し。

集落まで何kmかさえもわからない、けど、ただやたら「ぐねぐね蛇行してそう」ということだけは、わかる。



車を停めている羽黒山の入口のある宿坊町へは、とにかくひたすら歩いて戻るしか、ありません。




ぐねぐね蛇行する車道の路肩を、せっせと歩いて、下っていきます。




「(旧道を下りて)失敗したかな・・」という思いが頭をかすめました、が、

そんな後悔の種は、




この花の香りで、ただちに打ち消されました。





クズ(葛)です。

「くずもち」や「くずきり」の、くずです。
なにげに、秋の七草の一つ。


フジにそっくりなクズ、

どちらもマメ科のつる性植物で、

どちらもマメっぽい実をつくり、
どちらも、濃厚な美しい香りを放ちます。



この艶のある色にふさわしい、

甘~い、うっとりするようなやさしい香りを、いっぱいに。

でも、
散った花びらは、全く香りがしません。



とてもキレイだけど。

生きていてこそ香る。そんな香りなのです。


食用(くず粉)または薬用に使われるのは根っこの部分ですが、、

先人は、よくぞまあ、根っこなんかに目をつけたなと、感心します。

 ※ちなみに、
  ちまたに出回っているくずもち、葛きりは、純葛粉(本くず)製じゃなく、
  いもなどのでんぷんで代用しているものが多いです。

  そういえば以前、奈良の吉野で初めて食べた「本くずきり」の美味しさは、衝撃でした・・・。



閑話休題。

そんな感じで、クズにうっとりしながら、

車しか通らないこの、山あいの道を てくてく歩いて、下りていったわけです。



夏の盛り以降、すんごいつるを 伸ばしに伸ばして、



樹木にからまり、そして、乗り越え、覆いかぶさり、

山の表面を丸ごと埋め尽くしているような光景を目にします。




ちょっと、あまりにも、、、な、覆い尽くしぶりなので、厄介な雑草扱い。

花も香りも、(葛きりも)とても素敵なんだけど・・・ちょっとやり過ぎ。

山の樹木までだめになっちゃいそうで。





そのほかにも、



ハギとか、



ルドベキア(大半魂草:オオハンゴンソウ)とか、


夏と秋の間くらいの風情が、ちらほら。


車でびゅんびゅん通り過ぎてしまうにはもったいない、自然の美しい景色が、
路肩のあちこちに、びっしり散らばっています。


花は無償の癒し。


しかし、




ちょっと長すぎ・・・。

かれこれ、1時間弱歩いて、





あ~~!

ようやく、やっと、現れてきました。人の生活感を感じられるような物体が。

そして、道がなんとなく平らになってきて、、、




ほどなくして、






滞在している宿坊のある町、「手向」集落に、舞い戻りました。


「手向」と書いて、「とうげ」と読みます。


羽黒山麓の、門前町。

遠方から来る参拝者たちを泊める宿を兼ねた、修験者たちの住まいが、
今も伝統の形を残し、ずら~っと、建ち並んでいます。

かつては300近くあったものの、明治の廃仏毀釈で激減。
現役で営業を続けている宿坊は、30件ほどだそうな。




入口には、決まって、鳥居風の冠木門(かぶきもん)があります。


そして、
どの家にもよく見かけるのが、



綱の飾り。

これは「延し綱」という飾りで、魔除けです。

年越しの神事でつくられる綱(大たいまつ)を再利用したものだそうな。





歴史の色濃い町を歩けば、新鮮な発見がありますね。






伝統的な、特徴的なものに惹かれたり、



なんてことないブロック塀も、よく見れば、変わった模様があったりして。

(家ごとに、いろんな趣向を凝らした浮き彫りパターンを見かけました。)





材木乾かし中の光景さえも、現代アートみたい。


というふうに、
この小さな集落を、歩いてうろうろ散歩してみました。




さらに、

この手向集落から“ちょっと”離れたところに、「庭園が国指定の名勝なるお寺」があるようなので、
そのまま歩いてみると、



道をまちがえたのか。

ずいぶん山あり谷あり、村越え畑越え、どう考えても迂回してるっぽいうねうね道を歩いて、



「こっちが近道だろう」と選んだ道が、やっぱり、近道でもなんでもなかったらしいと、やおら気づく。しかし時既に遅し。

いまさら引き返すには、ずいぶん来すぎたから、先に行くしかない。

私、これよくあるパターンです。


そして



やっとたどり着きました。

みんな、車で来てました。


でも、




たどり着くために、多少なりともヒーコラ苦労するからこそ、得られる感動が、ある!

と、言い聞かせる。



玉川寺。ぎょくせんじ、と読みます。

1251年(鎌倉時代)に、朝鮮高麗から渡来した僧が興した寺(曹洞宗の禅寺)だそう。

庭は、1450年代につくられたそう。


入ってすぐ、





池があって、ハスが咲いてる、キレイな庭が。




これがその、名勝の庭なのか~、、と思ったら、





この「前庭」はまだ“本番”じゃなくって、


肝心の庭園は、寺の本堂の奥に、ありました。









どうやら



すんごい広そうです。

飛び石の数がすごい。

池泉廻遊式庭園ですね。



池があって、



茶室もあって、




いろんな樹がある、



山が迫っています。



山に分け入ったところに、開山の祖たちを祀るお堂もあります。

そして、



立派な枝垂桜と



赤い毛氈(もうせん)がきりっと眩しい、腰掛け。




山の景と、池の景が、合わさって。


和、ですね。





隅から隅まで、うろうろ、延々、巡りました。



そして



さすがに疲れた。



しばし、ごろんとする。





玉川寺から、“ちょっと”歩けば、
出羽三山の入口になる「大鳥居」に行けそうだったので、

早速、歩いて、行ってみる。



田んぼのあぜ道を。




向こうに、鳥居が見えています。

近い近い。





こんな風景、車だけじゃあ、味わえない。


人っ子ひとりいない、田んぼの青い香りを、たっぷり、独り占めしながら。



来た来た


雲行き怪しいけど、その雰囲気がなんか、かえって神々しさを演出。




どーーん。

大鳥居~~。


周りは



田んぼのみ!


この鳥居をくぐってから、車で10分くらい行くと、手向集落に着きます。

ここで、雨がぽつぽつ、、、ちらつき始めまして、、、


時刻はとっくに昼過ぎの、1時。いちばん近くにある定食屋さんに駆け込みました。




見慣れない、どう考えても地元の特産っぽいメニュー、

「麦きり」定食を、頂きました。


うどんのような、そうめんのような、、、


それと、揚げたての山菜てんぷらが、とても美味しかったです。

他に客も無く、料理しているご主人と話すでもなく、とりあえずテレビが点いてたので、テレビを見ました。久しぶりに。

甲子園を、初めて、まじまじと、1回の表と裏の分、見ました。


野球観戦ほかスポーツ観戦全般に全く、全く、まっっったく、興味のない私の感想は、

「みんな、若くて、がんばってて、かわいいな。」以上です。



食後、

1時間に1~2本あるらしいバスも、雨脚が不穏で待ってられず、

「集落まで歩けば30分くらいで着くよ」というご主人の言葉を信じて、雨ぐらいなんだ、濡れてもいいやと、歩く。


出だし数分あたりでバスにすーっと追い抜かれたけど、気にしない。

ほんとに30分くらいで着いた。


マイ車に飛びついて、



町中の、温泉「ゆぽか」へ。


混んでた。


ゆっくりじっくり、疲れを流す。




その後、
次の宿のチェックインまで まだ時間的に余裕があったので、

よし、明日行く月山の情報を仕入れとこう、と、「月山ビジターセンター」へ向かって、ひた走る。


、、と、、。


その道は、まさにさっき、クズの花が咲いてる~とか言いながらひとり延々路肩を歩いていた、車ばかりがびゅんびゅん行く、ぐねぐね蛇行するあの道、まさにその道でした。

そして、

月山ビジターセンターは、山の旧道から降り立ってすぐのところにあった「荒澤寺」から、
徒歩1分のところにありました。


ただ、ご参考までに。

月山ビジターセンターで、いろんなパンフレットや地図の中に、



さっき行ったばかりの温泉の割引券を発見。



 く や し い







そうこうして、夕方。

今日の宿も、宿坊。



大進坊さんに、お世話になりました。


 ※わざわざ宿を変えたのは、手配が遅かったせいで、昨日の宿坊も今日のもそれぞれ1泊しか抑えられなかったため。




この宿坊も、精進料理に力を入れていまして、



ほんと、素晴らしかったです。



という感じで、“現世”=羽黒山 と その一帯を巡る一日は、無事終了。

現世をうろうろ彷徨った、という感じになりました。


ところで、「うろうろ」って、仏教用語から来てるそうです。

漢字で書くと「有漏有漏」、

煩悩の心が体の穴という穴から漏れて流れ出る、みたいな意味らしいです。逆に、煩悩を断ち切った状態を「無漏」というそうな。





さて、


翌日は、いよいよ、“過去世”=月山 へ、登拝します。

そしてさらに、

そのまま一気に、“来世”=湯殿山へ。


「生まれ変わり」の旅は、





 >> 続く。>>






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