じゃがブログ ~さいとう小児科~

じゃが院長のつれづれ日誌をメインに、趣味(合唱・囲碁・絵)や道楽(温泉・ラーメン・酒)にまつわるエッセーを掲載。

「けげしぃ」に「さしけね」、あ~懐かしい

2013年06月05日 | ◎じゃが日誌

先週末、田舎の同級会(同期会というのが正しいのかな?)に出席してきました。

これまでは正月の2日か3日あたりが定番だったのですが、

理由その1:会場の旅館(地元にいない者は泊まるので)が正月割増で高い

理由その2:悪天候だとJRが止まる可能性がある

もので、実行委員(地元の公務員たち)が相談して、6月の開催に踏み切ったのだとか。英断ですね。暑くも寒くもなく、新緑の爽やかな季節というのは、確かに同級会にちょうどいいのかも知れません。おかげで、卒業生のうち三分の一強が集まりました。おそらく、これまでで最高の出席率だと思います。

大広間の舞台を利用しての記念撮影。最前列の中央には実行委員の皆さん、2列目・3列目には主に女性陣、それより後ろに私たち男性陣。その日のうちに出来上がった写真には、皆さんいい顔をして写っていました。私はちょっとヤニ下がっていましたが。

その後は、ひとっ風呂浴びて、部屋で缶ビールを1本空け、宴会場へ。浴衣とビールが心身のリラックスになるんですね、なんだかもうすっかり昔の自分に戻ってしまいました。

地元で年を取った(という言い方もヘンだけど)同級生は、当然のことながら、地元方言の達人になっていました。もちろん、私だってその気になればいくらでもネイティブたちと渡り合えますが、ときたま彼らから発せられる特異的方言集には、一瞬オヨヨとなってしまいます。

そうか、そうだ、そんな言い方があったんだ。。。

「さしけね」

ひらがなで文字化すると、4文字のツブ立ちがクッキリし過ぎて方言っぽくありませんが、実際には、「し」は「し」と「す」の中間、ドイツ語のウムラウトの如く曖昧なのであります。「ね」だって、語尾がもっとフニャっと流れているのです。とてもじゃないが、書き表せませんネ。

この「さしけね」、標準語に訳せば(訳す、というあたりがスゴイ)「差し支えない」となります。ま、なんべんも繰り返して言っていると、だんだん省略されて「さしけね」になりそうな気はします。よね?

ただ、「さしけね」が「差し支えない」であることは逐語訳としては正しいのですが、ここにいくらかの謙譲語のニュアンスを汲み取っていただきたいのです。

「差し支えない」が、ストレートな許諾の意味だとすると、もう少し相手を慮った(←おもんぱかった、と読みます)「いやいや、まったく問題ありませんから、どうか気にしないで」という意味を含んでいるのです。

あ~、なんて奥深い言葉なんだろう。。。「さしけね」。すっかり忘れていましたが、これを機会に私の語彙の中で復活させよう・・・と思っても、いったい誰に向かって使えばいいのやら。

 

もうひとつ、宴会場で耳にした懐かしの田舎言葉。

「けげしぃ」

誤解しやすいのが、「こうごうしい」。漢字にすると「神々しい」ですから、まさに神がかり。後光が差してまぶしいほどの気高さ、でしょうか。でも、「けげしぃ」はそんな意味ではありません。

おそらくは「賢々しい」と書くのだろうと思います。「賢い」をダブルで強調している点では、「神々しい」の言い回しと共通しています。きっと、遙か昔から私の田舎に伝承されてきた和語なんでしょう。

「けんげんしい」→「けげしぃ」。うん、自分でも段々そんな気がしてきました。

「神」が「こう」になるのだって、「かみ」→「かん」→「こう」という流れがあります。神戸市は「こうべ」だし、昔の歌手に神戸一郎さんという人がおられましたが、「かんべ」と読みました。

ちなみに、「けげしぃ」の賢々しさというのは、単に「かしこい・頭がいい」という意味だけにとどまらず、「聡明である」であったり「そつがない」であったりもするのです。

「如才ない」というニュアンスも含むのですが、田舎言葉には「じょさね」というのも別にあって、「気がきいて手抜かりがない」や「愛想がいい」といった本来の意味よりも、「容易である・簡単である」といった「do easily」としての用法に限定しているのが面白いです。

・・・そうか、「じょさね」は「如才ない」ではなくて「造作ない」が語源なんだな、きっと。

あ~、田舎の言葉って、イイなぁ。

「邂逅(かいこう)」という言葉ありますが、意味は「思いがけなく出あうこと・めぐりあうこと」です。今回の同級会、仲間との再会はある程度予想された範囲の出来事でしたが、ここに挙げたいくつかの懐かしい田舎言葉とは、まさに「邂逅」そのものでした。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-07-19 18:58:57
庄内弁は面白いですよね!w
Unknown (山形大好き)
2023-07-21 23:44:28
なんだか、私の故郷にごくごく近い地域のようです。
納得しながら拝読しました。
ぢ、『けげしい』には、単に賢いというより『抜け目ない』とか『小利口』というようなマイナスの意味合いもあったように思います。

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