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今回、速水御舟や村上華岳の作品までお預かりできるとは思っていませんでした。
特に華岳の観音をいつか店に飾りたいと、佐橋と二人で夢見ていたので店に運んでいただいてすぐはお軸をひらくこともできませんでした。
佐橋は居ないのに、しかもこんなに早く夢がかなってよいのだろうかという躊躇がありました。作品の内容は以前画像を拝見したことがあるのでわかっていました。全身像を描いたものでなく素描に近い作品ですが、お顔がとても綺麗だったのを覚えていました。ですから猶更見られませんでした。
華岳の観音を沢山ではありませんが、若い頃からいくつか見てきています。以前は落款や印譜のない簡単作品でも大変高価でしたが、例え描き込みはよくてもなかなかお顔のよい作品には出会えることはありませんでした。
不思議なもので、色々躊躇していてもやはり「見たい!」という気持ちは段々強くなるのですね。
ですから、先月末に、東京から弥栄さんのお子息がお立ち寄りくださったときに、お願いをして床の間に華岳を飾っていただき一緒に見させていただきました。
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やはりとても優しいお姿で、何だか涙が出ました。
ちょうど、その翌日ご来店くださったお客様にはこの作品をご覧いただいていると記憶しています。けれど、この作品も含め、展覧会にどのように作品を並べさせていただこうかを決めるまでは、一度お軸を巻いておこうと思い箱に仕舞わせていただきました。
華岳の仏画。
それはどんなコレクターさまも一度は夢見る作品ではないでしょうか。
勿論華岳の作品はどんなものでも大変魅力的ですが、仏画を見るとき、私はとても切なく、恋しく、愛おしい気持ちになるのです。
それは、きっと村上華岳という画家が、近代日本画壇において神様に一番近いところまで修行を積んだ画家であったからだろうと思います。
「画家としてどんなに苦しい人生だっただろうか。どんなに孤独であったろうか」こちらまで胸が苦しくなります。
が、それと同時に華岳は独り笑顔でこの世を去っていったような気がしてなりません。それが、華岳だけが見つけた本当の「美」であると思うのです。
佐橋美術店22年目の初夏に弥栄画廊さんがお預けくださった作品たちとともに華岳作品も飾らせていただこうと存じます。佐橋もきっと喜んでくれているだろうと思っています。
村上華岳 「観世音捻花園像」
絹本 共箱 26×23.5㎝ ⁜