つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

コレクション

2018年01月22日 | 絵葉書

先日、私からお客様にお願いをして、ご所有の作品の画像をお送り頂きました。

その作品がとても素敵だったので、ご無理をいい、少しの間ブログに掲載させていただくことにいたしました。

 

小林古径のスケッチ。

差し出し日を大正6年11月22日とし、梶田半古の画塾で共に学んだ山内神斧(金三郎)にあてに

京都より古径が投函した葉書の裏面です。

お客様より「京都の四条縄手辺りの風景だったと思います。」と合わせてお教え頂きました。

 

右下に書かれた文字を読めずにおりますが、何とも粋な作品で、私は感動いたしました。

 

古径はご自分の作品にとても厳しい画家でしたので、本画の完成度は高く、

勿論どの作品も大変芸術性が高いと思いますが、その人柄の素晴らしさを

感じるのは、やはり素描。とくに、こうしてお仲間にあてたお便りなどの

挿し絵にやんわりとそれが滲み出るような気がしてなりません。

 

店先からお客さんに声がけをする中居さん?の姿もどこか品がよく、

声をかけられた男性もまたきちんとされていますね。

そして、柳のしたで寝る犬?が嫌みなくとてもかわいいのです。

 

以前にもご紹介したかと存じますが、藤森順三さんが「小林古径」という著書のなかで

古径の素描に触れている箇所がありますので、それを抜粋させていただこうと思います。

 

まず、御舟の素描に触れて~

 

写生の稀有の天才を示した御舟は、作品にはむろんすぐれたものをのこしたけれども

しかし、本領は、寧ろ平素の素描にあざやかに発揮されたようだ。彼の天分も才能も

むしろ写生の方に、端的に且つ瞭然とあらわれている。

ー中略ー

古径の写生は多少趣を異にする。

古径は、御舟のように特に写生に熱意を注ぐということはせず、どちらかと言えば、「準備」のためや「心覚え」のための写生が多い。

したがって、一つ一つが芸術品になっていると言い難いのであるが、しかもこの人の場合は

その人間や素質が、作品をおいてよりも、はるかにそのままのかたちであらはれていることに、気がつくのである。

即ち、御舟の写生には、かれの自由さと豊かさと的確さが出ているのであるが、

古径の写生には、たとへようのないこの画家の人間の美しさや深さが出ているのである。

しかも、それが、恐ろしいほどまざまざとあらわれているのだ。

以上

 

 

どのような作品をお持ちですか?という図々しい私の問いに、この古径の書簡を

はじめにお見せくださったお客様のお心も、大変清々しく、美しいと感じ、

きっと私はこの作品を皆様にもご覧頂きたいと考えたのだと思っています。

実際に、このお客様は古径の書簡についてご興味を持たれているとお聞きしています。

 

新年、一月にふさわしいお作品をご紹介できたと、私はとても嬉しい気持ちでいっぱいです。

お客様、ご協力、誠にありがとうございました。

 

最後に、また「小林古径」からの抜粋を掲載させていただきます。

 

美はどこにでもある。ただ、それを見いだす眼を持っているかどうかが問題なのだ。

だから、画家にとって美はそとにあるのでなく、裡にある筈だ。

むかふにあるのでなく、こちらにあるのだ。

薔薇の美しさは薔薇そのものにあるのでなく、画家の眼にあるのである。

わかりきったことではあるが、しかし、どんな眼が真に美を見出だすかといふ

ことに人は案外無頓着ではないだろうか?

純粋、素朴、素直、誠実、等等等、いくつ並べても意味は同じだが、かういふこころがなくては、

美というものを発見することは難いのである。

芸術家に肝腎なのは、さういふこころだ。寧ろそれだけと言って過言ではあるまい。

私が古径に傾倒し、先生として畏敬して措かぬ所以の根本のものは、この人が他の誰よりも

そのこころを以ているからである。

古径にある衆にすぐれた諸々の一切のものは、悉くこのこころから生まれる。

そして、それの最も端的にあらはれたものが、素描(写生)である。

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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レオナルド・フジタ 復刻版画

2018年01月19日 | 佐橋美術店にようこそ

 

ショウウィンドウの窓の上に、しばらく飾ってありましたカトランの版画を、

当店の前をちょくちょくお通りになるとおっしゃってくださったお客様が、

先日、お母さまのお誕生日プレゼントにとお求めくださいました。

簡単にですが、プレゼント用に包装をしてお納めし、万一お母さまの

お好みの作品でなければ、他の作品とお取替えする旨お伝えしましたが、

お母さまはお喜びくださいましたでしょうか。

お客様のサプライズプレゼント

お手伝いさせて頂くだけで、何かとてもウキウキして参りました。

 

 

 

以前の中区丸の内にありました2つの店は、環境が良いといいますか、

とても静かな場所で営業させて頂いて居りましたので、

店の前を沢山の方がお通りになることはまずありませんでした。

ご縁あって開かせて頂いた当地の店は、地下鉄桜通線高岳駅のすぐ近くということ、

また周りに飲食店が多い事もあり

朝から、夜遅くまで沢山の方がお通りくださいます。

夜10時や11時に、忘れ物を取りに店に立ち寄ると

ショーウィンドウを覗いてくださったり、写真を撮ってくださっている方をおみかけすることがあり

とても嬉しい気持ちになります。

 

同じご予算なら、できます限り本画をお勧めしたいと思って参りましたが、

お飾りになる環境や、画家の知名度などから、最近ではリトグラフや版画も

お勧めし、以前より多く扱わせて頂くようになりました。

 

版画を専門に扱わせて頂いてはおりませんので、

沢山の種類からお選ぶことはできませんが、お好みさえ合えば、他の機会にお求めになる場合より

お値打ちにお納めできるのではないかと思っています。

 

画廊は、なかなかお入りになりにくい場所だと存じますが

版画などをきっかけに、是非一度店内をご覧ください。

「こんにちは」のお声がけだけをさせて頂き、あとはご自由にご覧いただいております。

 

 

 

 

 

          

 

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小川芋銭 軸

2018年01月18日 | 小川芋銭

さて、戌年つながりで、何か作品がなかったか?と倉庫を見ておりますと

あぁ、ございました!

小川芋銭 軸 「水郷の秋」 絹本・彩色 87.3×33.8㎝

三良子箱(酒井三良子) 東京美術倶楽部鑑定書有 

 

芋銭(1868~1938年)は、もう皆さまお馴染みの画家であろうと存じます。

大正から昭和10年代にかけて、独特の水墨表現による作品を描きつづけ、近代日本画のなかでも

特異な位置を占める存在です。

当地の著名なコレクター木村定三氏がその作品を好んでお集めになられたことも有名ですね。

 

私自身が若いころは、芋銭の作品を奇をてらったように感じられて、

余り興味を持つことはありませんでしたが

この頃になって、実は芋銭は、人間の営む生活というものの本質や幸福について、

誠実に考えていた画家であったように感じられてきました。

 

 

収穫の秋、稲穂をずっしり積んだ舟の舳先に堂々と立って、白い犬は何を見つめているのでしょうか?

「面白い」ということが、人にとってこれほど大切なことだということがこの年齢になってわかってきます。

制作年不詳。比較的初期の作品だと考えています。

芋銭の作品はもう一点ございますが、いま軸装を整えに出させて頂いていますので

後日またご紹介申し上げます。

 

 

三良子箱

酒井三良は芋銭と大正10年に出会い、芋銭の勧めで院展への出品を始めます。

昭和13年私淑する芋銭を失った三良は、その後昨日このブログでご紹介いたしました奥村土牛と

何度も共に旅をしたと記録にあります。

 

 

 

小川芋銭 軸 「水郷の秋」 絹本・彩色 87.3×33.8㎝

三良子箱(酒井三良子) 東京美術倶楽部鑑定書有   16万5千円

作品の状態は特別に良いとはお伝えできませんが、

経年変化の範囲内であり、今のところ手当を考えておりません。

 

 

 

 

 

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奥村土牛

2018年01月17日 | 奥村土牛

 

年末、年始にご紹介させて頂こうと思っておりました作品を、遅ればせながら少しづつ。。

まず前回、少し画像を掲載させて頂きました

奥村土牛 「法華寺 犬香合」 紙本・彩色 9×14.3㎝ 共シール です。

 

 

 

 奈良県奈良市、法華寺のお守り犬は、開祖の光明皇后の時代から脈々と受け継がれているお人形です。

当時、一千座の護摩供養を行い、その灰を清浄な山土に混ぜて、光明皇后自らつくられたとされています。

病苦や災難の厄除けを願い、結縁の者に授けられたことが始まり。

現在でもその寺伝どおり法華寺の尼僧により手作りされていると聞いています。

 

香合としての犬お守りは昭和40年位まで制作、販売されていたようですので、

土牛がそれをどこかで鑑賞、或いは入手し、この作品を描いたのではないかと思っています。

今年は、戌年であること、また犬のお人形や絵は、女性の一生やお子さんのご成長を見守る縁起物でもありますので、

みなさまにお飾り頂く機会が多いかと存じご紹介させていただきました。

とても小さな作品ですが、額の深緑のマットと良く似合い、どちらに飾れてもご満足いただける作品だと思います。

 

 

 

 

 

村土牛 「法華寺 犬香合」 紙本・彩色 9×14.3㎝ 共シール  36万円

 

 

 

 

 

 

 

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お別れの前に

2018年01月16日 | 日記・エッセイ・コラム

早くも一月も半ばを迎えました。

土曜日には臨時休業を頂き失礼いたしました。

張り紙を致しませんでしたので、ご来店のお客様にご迷惑をおかけし

誠に申し訳ございませんでした。

 

おかげさまで、この日、晴天に恵まれ息子の結婚式を終えることができました。

 

今の時代の結婚式は、家やしきたりに拘らず、自由に企画、開催できるのが一番良いところだと思いますが、

その分、自分たち自らしなくてはいけないことが多いらしく、小学校教師をしている二人には年末年始、その準備がかなり大変だったようです。

途中、少し、慌てているように感じた息子に、私はこの作品の画像を送り

「天才御舟も自らの足の置き場に悩んで、綱渡りをしています」と

書き添えましたが、昨年は私自身も仕事の手をとめて、何度もこの作品を飾っている場所にいき

心を落ち着けてきたように思います。

 

そして、結婚式の数日前に。。

ブログをご覧にくださったお客様からお問い合わせをいただき、この作品をお納めさせて頂く

ことになりました。

御舟の素描。しかも、これだけ渋く、豊かな作品を、まさかブログでお見染めいただけるとは

私自身思って居りませんでしたので、とても嬉しく、幸せな気持ちになりました。

「お別れの前に」

幾度となくこのタイトルでブログを書かせていただきましたが、今回もきっとずっと

忘れられない思い出の作品のお納めになるだろうと思っています。

そして、「今の私達」にご縁を頂きましたお客様に心よりお礼を申し上げたいと存じます。

 

御舟は本当に素晴らしい画家であると思います。

きっと、お目の深いお客様に愛されながら

「サーカス」の女性は今日も 揺れることを恐れずに、美しく綱渡りをしていることでしょう。

 

私達にやっと新しい年が訪れてきてくれたような気持ちです。

新しい気持ちで、また精一杯仕事をさせていただきます。

 

※お納めのため、作品が画像は削除させていただきました。

 

 

 

 

 

 

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臨時休業のお知らせ

2018年01月11日 | 佐橋美術店よりのお知らせ

小寒 水泉動く(地中で凍っていた泉が動き始める)の頃となりました。

今日は鏡開きの日でもありますね。

お寒さいよいよ極まり、極まった末に春に転じていく準備の頃といったところでしょうか?

 

私共の業界では、今週は各地で交換会の初会が開かれています。

美術品の初競りとお伝えすればよいかもしれません。

佐橋もまず東京に出かけ、新しい作品を仕入れて参りましたので、

少しづつまたご紹介させていただこうと思っています。

 

まず、臨時休業のお知らせで申し訳ございませんが、

13日土曜日は私共の都合により、一日お休みを頂戴いたします。

ご不便をおかけいたしますが、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

お急ぎの御用のお客様は恐れ入りますが、メールかファックスにて

ご連絡賜りますようお願い致します。

佐橋美術店 sahasi2009@castle.ocn.ne.jp

      fax 052(938)4467

 

 

上のショーウィンドウの画像は、

 

今週入手致しました 奥村土牛のミニチュア―ル「法華寺 犬香合」です。

作品をきちんと撮影できましたら、またあらためてご紹介させて頂きますね。

 

みなさまどうぞ少しでも暖かくお過ごしくださり、お体をおいといくださいませ。

 

 

 

 

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吉田善彦

2018年01月06日 | 今日の佐橋美術店

ホームページのコレクションギャラリーに斎藤典彦作品のご紹介をさせていただきましたが、実際のギャラリーにはいま、吉田善彦の作品を飾らせていただいています。

 

近いうちに、吉田善彦、斎藤典彦、そして中野弘彦の 「彦×3展」を

開かせて頂こうと楽しみにしています。

 

地味でしょうけれど、きっとよい展覧会になると思います。

それには、それぞれの作品をもう少し集めなければなりません。

 

お納めした作品をお貸しいただく予定で、もうお客様にもお願いしてありますが、

中野弘彦の作品が、圧倒的にたりません。今年の出会いに希望する画家作品の筆頭です。

 

 久しぶりに応接間に高畠達四郎の熱海風景を出しました。

遠目でみると海の奥行きと雲の広がり、島の立体感が見事に現れてきます。

 不思議で楽しく、美しい絵です。風景画はこうでなくちゃ!

そう思えます。

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仕事はじめ

2018年01月05日 | 手ぬぐい

本日より営業をはじめさせていただきます。

 佐橋美術店 ホームページを更新させていただきました。

よろしければご覧くださいませ。

 

先日のお能の鑑賞は観世「翁」「羽衣」でした。

やはり気持ちが透き通っていくような清々しさ。大変よい気持ちになりました。

が、

いつもに増しての佐橋の居眠りには,

結局、腹を立て

「なのに なぜ観たいっていうの?」

「だって気持ちよいじゃない?」

と新年早々の喧嘩。せっかく清められた気持ちがごちゃごちゃになりました。

 

そのまま松坂屋さんに直行して、おわびにレースのハンカチを買ってもらうまでは

口もほとんどきかずじまいです。

 

 やはりお能は一人でいこう!と、一年の誓いをたてました。

 

 

 

 

 

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能楽堂

2018年01月03日 | 日記・エッセイ・コラム

いつか名古屋でお正月を過ごす年があったら、是非とも見たい!と思っていた、名古屋能楽堂のお正月公演に伺うことが出来ました。



昨年は旅行もお芝居も演奏会もほとんど出かけられませんでした。

年末、年始は、この観劇を楽しみに頑張れました。お正月を自宅で過ごしたいという母にも何とか喜んでもらえましたし、家族もみな元気に越年できましたので、私にとっては上出来な日々です。




思いついた時には指定席はいっぱいでしたので、30分ほど並んでの自由席ですが、これもまた一興。楽しみです♪



佐橋はまたイビキをかいて寝てしまうでしょうけれど、去年は本当に仕事と家のことに頑張ってくれましたので、今日は足をふんずけたり、肘鉄砲をくらわさず我慢しようと列に並びながら、考えています。


さて、今年の私の鑑賞はじめ、お能は自分の感度を確かめるのに最適です。楽しんで参ります。

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ありがとう。

2017年12月31日 | 日記・エッセイ・コラム

さて、佐橋が写真を撮ってくれましたので、早速ご紹介させていただきますね。

玄関には、佐橋の父が残した「雲」の文字と、シーサーを。

一階のお床には、小杉放庵のお軸「奥昇仙峡」と李朝後期 白磁しのぎ卍文筆筒

 

 

応接間には、小杉放庵の「可楽ー楽しむべし」

 

2階の床の間には、杉本健吉 お軸 「双鳥」

息子が中学生の時に美術の授業で作った羊のオブジェと

私の父が残したトーマス。

 

 

こうして自宅に飾った作品たちをみていると、きっと、今年も私達らしい一年だったのだと

思えてきます。

 

美術品は、本当に不思議です。

どんな自分にも、どんな日々にも、わたしに誇りを持て!と

教えてくれます。

そして、どんな雑然とした生活も、一緒に飾った小さなお土産品さえも

廣く受け入れてくれます。

 

明日からの新しい一年も、美術品を敬い、愛してゆきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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