つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

紅花

2020年06月10日 | 佐藤忠良
自宅近くのお花屋さんに紅花をみつけました。

このお店もお花用の冷蔵庫を持たずに商いをされている昔ながらのお花屋さんですので、仏花を求めるついでに時々寄らせていただきます。


店には丸の内のお花屋さんにその季節のお花を配達していただいているので、自分でお花を選ぶことはありません。


紅花は多分仕入れたばかりでなく、少し疲れているようにも感じましたが、「チコちゃんに似合いそうだ!」そう思い、
バケツに残っていたひと枝を買わせていただきました。









短く切って、佐橋が作ったガラスの花瓶に入れました。







やっぱり紅花のオレンジはこの忠良の「チコ坐像」にぴったりでした。

後ろの壁がベニヤ板でなく、土壁ならもっと良いと思いますが、まぁそれこそが「暮らし」に飾るということだと
思って少し我慢致します。

ブロンズの下に敷いているのは、私のお気に入りの書道用の下敷きです。

佐橋が大のお気に入りのこのチコちゃんを自宅に持って帰ってきた時に、没収されました。

が、私の下手な書の下敷きになるよりは、この芸術作品の下敷きになる方が下敷きとして「幸せ」なのは、
ご覧の通り明らかでした😭





紅花と聞いて、紅花油、紅花染め、また源氏物語の第六帳「末摘花」を思い出される方もいらっしゃるかと思います。


なつかしき色ともなしに何にこのすえつむ花を袖にふれけむ 

「袖にふれけむ」

まさにお花屋さんに売れ残った少し疲れた紅花を求めた際の私の気持ちだと思えました。

この源氏の歌と同じように、やはり紅花には何か心惹かれる魅力があり、
また立体という芸術というものにも、お花や人の暮らしは勿論、絵画、音楽、文学、他のすべての芸術をも受け容れてしまう「力」あるいは「器」のような大きな魅力があるのだと実感されます。

「紅花はドライフラワーとしてもお楽しみいただけますよ」とお花屋さんが教えてくださいました。
なるほど、末摘花は源氏物語の中で、結局最後まで幸せに暮らすことのできた数少ないお姫様だったと思えました。













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小杉放庵 軸 初夏

2020年06月04日 | 小杉放菴
もう、なにか、、この箱書を見ているだけで満たされてくる想いというものがあるのではないでしょうか。

私は夏美という名を父母に付けて貰い、今迄「夏」という文字をどなたよりも多く書かせて頂いていると思うのですが、時々はね、こんな風に軽やかに自分の名前を書けたらよいなぁと思います。






麻布を用いた涼やかな表装。






夏らしい木立の中で子供たちを前におじさんがお魚を捌こうとしているのですね。
横にあるのは井戸でしょうか・・竿のようなものもありますね。


おじさんの持つ長い柳刃?包丁と手前の男の子の「見る気」の伝わる緊張感が
なんとも言えないリズムを生んで、可愛らしい作品です。


小さなお軸、しかも一見なんとも地味な作品ですが、こういったところにこそ、放庵という画家の面白さは
あるのだと思います。

箱書の鑑賞から始まるお軸の楽しさ。「暮らしっていいな。生きるっていいな。」そう
思わせてくれるのですね。

いまだ醒めず。未醒は放庵の若い頃の雅号です。
やっぱり佐橋はお酒好きの画家が大好きです。


※小杉放庵 軸 「初夏」紙本・彩色 共箱 32.7×25    150,000




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篠原有司男 ライダー

2020年06月03日 | 篠原有司男
営業再開日よりの実質10日間の間に、想像以上に沢山のお客様にご来店やご連絡を賜り、また作品についてお納めのお約束を頂戴致しました。

今週は、そのお礼のお便りや各作品の資料集め、また納品の準備をさせて頂きながら2人で店に居ります。
額やさんや軸箱屋さん、また各作家の先生方にご連絡を差し上げたりもしています。


昨日は、火曜日。

再開後初めて、一般の方々に展示を公開させていただきましたが、やはりご来店はほとんどありませんでした。

それでも、店に入って来てくださったお客様が、

「このライダーはずっと小窓のカウンターに置いてありましたよね。」とおっしゃってくださり

「あぁ、篠原有司男ですね。はい、今話題の「アマビエ」がわりに、置かせていただきました。
ご覧になってくださっていたのですね。」とお尋ねすると

「この作品が以前から好きで、今日お店を開かれたのでお値段を見に来ましたが、とても高いのですねぇ」

とお話しくださいました。

「以前でしたら、お客様がおっしゃったお値段でお求め頂けたと思いますが、今は草間弥生世代のブームでちょっとお高いですね。
 またよろしければ作品をご覧にいらしてください」そうお応えし、お見送りをさせていただきました。








この自粛中に、どなた様もきっとおうちの中にいらして美術品への想いを強くされたように思います。

このライダーは1979年の製作、40年を経て、現代人の日常に受けいれられるようになった、、そう言えるのかもしれません。

いつしか佐橋美術店の最古参にもなっています。

アマビエよりももっと強烈に当店を守ってきてくれた作品といえるのかもしれません。






篠原有司男 ライダー 高さ約44㎝ (アクリルケース付) 〜□





※アマビエについてはハナ*モノ*語りにも書かせていただきましたので
よろしかったらご覧ください。ハナ*モノ*語りへ


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