不定記

ここはsagittaが書きたい時に書きたいことを書くスペースである。更新は不定期。そのため日記ではなく不定記なのである。

えっせい。

2007-01-04 | 批評のようなもの:評論
三浦しをんさんのエッセイ、「人生激場」ってのを読んでいる。
普段僕はほとんどエッセイってヤツを読まないのだが、三浦しをんさんのエッセイは面白いと評判らしいし、
何よりこの間読んだ三浦しをんさんの小説がことのほか面白かったものだから、
図書館で見つけて思わず借りてしまった。

ほんとだ、おもしろい。
別にたいしてすごい話題があるわけでもない、ブログ風の雑記なのだが、
色んなものへのちょっとしたツッコミやなんかが面白い。
こういう、ちょっとした面白さ、ってなんだかいいなぁ。

そして、ふと考えた。
考えてみればブログって、エッセイみたいなもんだよな。
ってことは僕もここで、エッセイのようなものを書いているわけだ。
……しまった!僕のブログはまったくもって読んで面白いものじゃないぞ!
そもそも他人に読ませることを意識して書いちゃいないや。
むぅ、心機一転、今年から「面白いブログ」を目指してみようかなぁ、などと思うけれど、
そんなことが簡単にできるはずもない。
でもまぁ、千里の道も一歩から。
少なくとも、「去年よりは面白いブログ」を目指してみようかしらん。

『砂糖の世界史』

2005-07-02 | 批評のようなもの:評論
川北稔『砂糖の世界史』(岩波ジュニア新書)を読んだ。
高校生向けの、歴史学の入門書だ。
ジュニア新書ながら、非常にできのいい歴史書だと有名な本らしい。

なかなか面白かった。
“砂糖”という世界商品を通して、世界がどのようにつながり、
「世界システム」が構築されていったかということを分かりやすく説明している。

簡単に言うと、誰もが欲しがる“砂糖”を世界的な商品にするために、
当時帝国主義国であったイギリスが、植民地のカリブ海の島々に
サトウキビを植え(サトウキビは熱帯または亜熱帯地域でのみ育つ)、
島の産業を破壊して一大プランテーションを築き上げ、
サトウキビのみを生産して、その他の全てを輸入に頼る、
「モノカルチャー」を作り上げてしまった。
さらには砂糖を作るための労働力として、
アフリカから黒人をさらってきて奴隷にし、カリブ海で働かせた。
(すでにカリブ海の先住民たちは、
ヨーロッパ人が持ち込んだ伝染病などでほとんど絶滅してしまっていた)

この時に作られた状況が、少数の白人と多数の黒人とその混血、
そして特定の「商品作物」だけを作るという「モノカルチャー」の社会、
という現代のカリブ海の島の様子を決定付けたのだという。
こうして、「砂糖」の生産地としてのカリブ海、
奴隷の供給源としてのアフリカ、市場としてのアメリカやアジア、
そしてそれらをあやつる資本家としてのヨーロッパという、「世界システム」が作り上げられた。
これが現代の、ヨーロッパ(と後に興隆するアメリカ)を中心とし、
アフリカやカリブ海の国を周縁とする「世界システム」につながっているというのである。

現代の世界では、「先進国」と「後進国(発展途上国)」が明確に区別され、
後進国はいまだ発展できない遅れた国、として見られている。
しかし、後進国が発展できない原因が、
先進国と呼ばれる国のかつての商業戦略にあるのだとすれば、
それらの国々の貧困や混乱は、決して他人事ではない。
そんなことを考えさせられる、面白い入門書だった。