不定記

ここはsagittaが書きたい時に書きたいことを書くスペースである。更新は不定期。そのため日記ではなく不定記なのである。

レビュー ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ 2』

2011-01-16 | 批評のようなもの:マンガ
テルマエ・ロマエ II (ビームコミックス)
ヤマザキマリ
エンターブレイン


おすすめ度:☆☆☆☆★(4/5)

冒頭でいきなり今までと違うテンションになったのでちょっと面食らったけど、
相変わらずの、「笑わせるわけではなく、真面目なんだけど、そこがクスリと笑える」
というつくりなので、快く読めた。

読んでいて気分がいいな。

ここからの展開が、蛇足になるかおもしろくなるか、ちょっと不安と期待がある。

レビュー ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』

2011-01-16 | 批評のようなもの:マンガ
テルマエ・ロマエ I (BEAM COMIX)
ヤマザキマリ
エンターブレイン


おすすめ度:☆☆☆☆★(4/5)

古代ローマの浴場技術士が、
なぜか何度も現代日本にタイムスリップしてしまう、という斬新な設定。
ストーリー性はあまりないし、全体にご都合主義なんだけど、
全体に軽妙な語り口だからあまり気にならない。
コメディとは言え、「笑わせる」という感じがあからさまではなくて、
生真面目な主人公の性格のおかげもあって、すごくほのぼのとした感じ。
普段まんがを読まない人にもお勧め。

ほんと、古代ローマって面白い。
数千年も前なのに、文明があんまりに進んでいて、
残っている書物に見られる人々の生活を見ても、自然に「共感」できる。
こんなに時間・空間的に隔たりがあるのに「共感」できるなんて、
何だか奇跡のようなものを感じる。
そうした中で、古代ローマと、現代日本の「共感」を
もっとも感じられる共通点、それが「風呂」なのかもしれない。

浅野いにお『ひかりのまち』

2009-12-29 | 批評のようなもの:マンガ
「素晴らしい世界」の痛々しさをさらに一歩進めた感じ。
世界のグロテスクさをちょっと抽出しすぎじゃないかなぁと思うけれど、
現実に起きている事件のグロテスクさを考えると簡単に笑い飛ばせない。
「素晴らしい世界」を読んだ時にも思ったけれど、
作者はまだ「子供の側」に生きていて、大人たちの生きる社会を、
深く知らないままに「汚い世界」として切り捨ててしまっている気がするのが、
大人に足を突っ込みはじめた僕にはどうしても反発を抱かせる。

ただ、たぶん浅野いにお作品は時系列を追いながら、
作者の成長を意識しながら読むべきなのだろう。
「素晴らしい世界」→「ひかりのまち」と描いたあとで、
「ソラニン」の中で、今まで否定し続けていた「大人」にならざるを得なくなったことに葛藤し、
さらにそれさえも乗り越えてもう一段高い次元から見たような
「おやすみプンプン」に続く、というふうに考えると、
現代の若者(僕と同世代だ)の心模様を赤裸々に表しているといえる気がする。

この作品の中の「痛み」と「グロテスク」、
それにかき消されそうな、微かな、縋るような希望。
それは僕たちの心の叫びを、代弁しているのかもしれない。

浅野いにお「ソラニン」

2009-11-07 | 批評のようなもの:マンガ
種類:マンガ

これは、やばかった。
僕にとってまさにど真ん中。

「まぁいいや」のカタマリである
大人たちの世界で生きていけなくて、
会社を辞めちゃって、でも何をしようって
心から決意できるほどのものはなんにももってなくて、
東京の真ん中で、あんなに広かった空が、
低く、狭く、重くなってしまったことに気がついて。
バンドなんてやってみるけど、
本気で好きなのかと言われたら、
胸を張ってそうだと答えられる筈なんだけど、
でも心のどこかではちゃんとわかってしまっている。
自分が世界を変えられるような存在になるなんていう奇跡は、
絶対に起こらないんだってことを。
世界は無関心で、優しくも厳しくもなくて、
例えばそれは、親友や恋人の死でさえも、
無関心な世界は、気にもしないで進んでいく。

ほとんどの人間は、僕は、スーパーヒーローにはなれないよ。
だけど。
幸せって、なんだろうね。

たぶん僕はこの本を、何度も読み返すんだろうな。

ラブコン!

2007-07-08 | 批評のようなもの:マンガ
……あかん、これおもろいわ。

と、思わず関西弁でこんにちは。
少女マンガの、「ラブ☆コン」にはまってます。
暇つぶしに一冊買ったら、はまってしまった……。
超王道のラブコメ少女マンガ、という感じ。
でも王道だからこそ、完成度が高くないと面白くならないもんで。
こりゃすげぇわ~。
キャラクターが全員が全員、いい味出してます。

よし、こうなったら僕もラブコメ書いてやる!(無理)

フルバ~。

2007-06-24 | 批評のようなもの:マンガ
病人な僕は、この週末、大抵を部屋で療養してました。
ってなわけで、読んでいたのが少女マンガ!
大好きな「フルーツバスケット」、最終巻とその前の巻を買うだけ買って読んでいなかったのを一気に読んじゃったよ。

いやぁ。
ついに終わっちゃったよフルバ!
この作者さんには本当に頭が下がります!
だってこんな複線張りまくりの複雑な展開、きちんと収集して大団円にしちゃうだなんてすごすぎ!
しかも、山ほどいる主人公格のキャラクターたちの「その後」とかまできちんと書いちゃうんだからなんたるサービス精神。
久しぶりに、しっかりと満足できた最終巻だなぁ。

本当にこの作品は心情の描写がリアルで、ほぼ全キャラクターに感情移入してしまう。
なんにせよ。幸せな結末ってのはいいな。
心があったかくなる。
今回は、何人分ものハッピーエンドがたくさん詰まってて、おなかいっぱい。
しあわせ~なきぶんなのです!

手代木史織『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』

2007-03-22 | 批評のようなもの:マンガ
種類:マンガ(チャンピオンコミックス)

僕の大好きな聖闘士星矢のサイドストーリーとして現在少年チャンピオンに連載されているマンガ。
書いているのは聖闘士星矢の作者である車田正美ではなくて、若い漫画家さん。おそらくは同人誌出身かな。
一応、「原作:車田正美」って書いてあるけど、どこまで関わっているのだか。
だって、このストーリー構成は明らかに車田作品じゃないもん。
最近、車田さんは自分の過去のヒット作の続編というか関連作品をやたら色んな漫画家に書かせているみたいだ。
正直言ってしまえば、おそらくもう新しく自分でマンガを書く力がないんだろうな。
だからって今更過去の栄光にすがって、同人誌を「公認」しまくるってのもなぁ。
まぁ、実際、「聖闘士星矢」の名前がつくだけで売れるんだから商業的には成功なんだろうけど。

とまぁ、そういった状況は置いておいて。
公認だろうが、同人誌だろうがどっちでもいいけど、この作品はとにかく面白い。
絵も明らかに原作より上手いし、しっかりと原作を読み込んで、考えられたストーリー展開も、原作ファンを裏切らない熱い描写も、本当に面白くてわくわくする。
こりゃ、本人が書くよりいいね(笑)。
コミックス数冊で終わるような企画物じゃなくて、きちんとした1エピソードになるといいな。
他の青銅聖闘士(の前世)も出てくるのかなぁ。わくわく。
白鳥座期待!

車田正美『B't X(ビートエックス)』

2006-06-18 | 批評のようなもの:マンガ
種類:少年マンガ(角川書店)

ずっと前から読んでいたのだが、なかなか最終巻だけが見つからなくて読めずにいたのだが、
ようやく最終巻を手に入れた!

むむ……不覚にも感動してしまった。
車田正美と言えばあの『聖闘士星矢』の作者であり、
べたべたなアクションと熱血が特徴のマンガを描くことで有名だ。
この作品も、ちょっと笑っちゃうくらいにベタで熱い作品なのだが、
……僕はこういうのがとても好きだ!
そうですよ、僕はベタ好きですよ。認めますよ。

とにかく話がどんどん大きくなっていって、いったいラストはどうするんだと思っていたが……。
おお、期待に違わないベタぶり(笑)!
聖闘士星矢が続きをイメージさせるような中途半端な終わり方だったから、
こっちもそんなふうに終わるのかな、と思っていたが、
B't Xはしっかりばっちり大団円で終わってくれた。
ちょっと無理矢理な感じのハッピーエンドで、使い古された言葉ばかりだったけど、
でもでも、すげー好きだぁ!