大分のさだまさしファンの独り言

大分に住んでいるさだまさしさんのファンです。所有のアルバムなどを紹介しながら不定期に思い出などを書いていこうと思います。

Sada Pedia 付録 中編

2016-11-17 01:53:09 | SADAPEDIA

付録の中篇です。
気に入った曲があった方はそれと似た曲を探すための付録です。
尤も似ている似ていないは私の主観ですのであしからず。性格が弱いのでクレームは受け付けません。あしからず(逃)。

さて残りの項目は以下の通りです。
E社会派・戦争系(前夜などをはじめとする社会の世相や戦争を語った曲)
F元気出せ系(励まされる?曲)
G望郷系(故郷を思う曲)
H実話系(実話を基にしている曲)


E社会派系
さだまさしの初期にはあまりなかった切り口がこの曲で、それでも初期の頃は社会的な問題や戦争の詩は抒情的なオブラートに包んだり、物語性を持たせて他の曲との整合性を取っていたのですが、その社会のさまざまな問題を「僕」「私」の目線で唄い出したのは「前夜」からではないかと思います。その後、このタイプの曲は本流から傍流まで分化していき昨今では本流であった俯瞰的、諦念的な一種のつぶやき感が薄れ、「さだまさし」の叫び、あるいは主張へと変わりつつあるのが若干淋しい限りです。個人的な意見ですよ。基本的に戦争に対する歌が多い。またパターン的にあえて分けると、前夜以前、前夜以後、幸せブギ以後の3種類に分けられる。
1、前夜(夢の轍収録)
この曲の誕生が現在のさだまさしの曲の幅をどれほど広げたかわからない。決して派手ではない。耳当たりの良い曲でもない。しかしふと一人の時に聴くと今自分の周りに起こっていることが歌を通してまとわりつき「自分の問題」に思えてくる。とりわけこの曲、TVの中で起こっている戦争という現実とTVの外で(自分の部屋で起こっている)日常という現実とが決して交わらないまま自分に向いてくる曲で、そのどちらにも共感しているようで、実はそのどちらも満足に解決できないさみしさを描いている。数あるこの手の曲の中でも私はこの曲がダントツで好きで離れることが出来ない。
2、空缶と白鷺(Glass Age収録)
前夜と同様の形態をとりつつ、より強い自責の念、諦念にあふれている曲で「何もそこまで卑下しなくても」と思いたくなるほどだが描かれている一つ一つの問題は今も現在進行形でこの地球のあちこちに残っている。唯一違うのは歌詞中の「国民の九割が中くらい満足している」という件だろう(当時は国民の多くが中流を意識していた)。今は貧富の差が当時より広がりそういう意味ではもっと問題は深刻化しているのかもしれない。歌詞中「2016年の夏に子供が今の僕の歳になる」というくだりがある。この子供はすなわち大陸君であり、今TSUKEMENというバンドの一員として立派に音楽で生活している。それだけは当時のさださんですら知りえなかった安心材料だろうか。そう、今年が2016年なのだ。
3、フレディもしくは三教街-ロシア租界にて-(コミュニケーション収録)
グレープ時代の数少ないこのジャンルの曲。とはいえ先ほど書いたようにこの時代は戦争などのことはあくまでもほかの曲との調和を崩さないように描いているため、正確にはこの項目の他の曲とは毛色が違っている。それでも戦争を介して描かれる恋愛の姿は感動を呼ぶ。
4、天然色の化石(夢回帰線Ⅱ収録)
正確にいうとここに入れるべきではない曲かもしれませんが、大理石の床などにある化石を通して俯瞰的に地球上の恋愛、人種差別などを語り、全体として良質のラブソングになっています。この仕掛けはさださん特有で、この曲を聴いた後デパートなどで大理石の化石を見た時ふと思い出す人が増えたとか増えないとか。
5、戦友会(家族の肖像収録)
自分と親父との絡みの中、父の青春時代と今の青春を対比し、当然ながら戦友会という舞台を通して戦争の様々なことが語られる。「お前たちを護った」という言葉と「(戦士としてかりだされたこととこの国を護ったことを)正義というつもりはないが時代と片づけたくもない」という言葉とで、とても複雑な心情を表現している。そして何より重要なのは、そうでありながら強い反戦歌になっていることである。
6、あと1マイル(あの頃について収録)
前夜とはタイプが違うため比較がしにくく、構成的にはフレディもしくは三教街にちかい。戦死した恋人の手紙をもって、すでにいない恋人の輪郭を鮮明にするあたりは素晴らしい。すでにいない過去の恋人の手紙を現在読んで偲ぶ形になっているが、実は手紙を書いた時点ではこの恋人同士にははっきりとした未来があったのだということで、暗い歌になっていないのがさすがである。
7、聖域(ほのぼの収録)
これは前夜に少し近い。主人公の私と愛すべき人のストーリーと世間でのニュース・事故を語るのだが、前夜と異なり具体的な戦争、ニュースについては語られない。それどころか事件や事故のニュースより君の僕に対する反応に重きを置いている感じもする。ゆったりとした曲で前夜が好きなら気に入ると思う。
8、広島の空(逢ひみての収録)
自身の親戚、知り合いの原爆体験をもとに構成されていて、このジャンルでは珍しく主役はさださん自身であると考えられる。長崎の稲佐山でのコンサートを長年実施してきた動機の一つの説明であるのかもしれない。
9、September Moon(夢百合草収録)
9.11のテロを描いた曲だが、これも自分と愛する人があのビルが崩れ去る様子を眺めながら、あきらめているようで、しかし、「決してあきらめない」。
10、遥かなるクリスマス(恋文収録)
ある意味さださんのこのタイプの曲の中で世間での認知度が一番高い曲。NHKの紅白でこれをフルコーラス歌って、「ある意味」話題になった。ストレートな歌詞が今までの曲との違いで、さださんのある種の「いらだち」が鮮明に出ている。私見では前夜に比べると曲も歌詞も強めだが、鑑賞者への浸透度は低い気がする。しかし当時のさださんがそうせざるを得なかった心は伝わる。
11、長崎の空(とこしへ収録)
前出の広島の空と対をなす曲。広島の空が具体的であった表現が、一転長崎では情景的、抒情的になっている。絶望的な歌詞ではなく未来を歌っている。また2006年を最後にした夏長崎からのコンサートに対して2005年発売のこのアルバムのこの曲で宣言しているともいえる「(ライブはいったん止めるけれども)あの夏の祈り忘れない」と。まあ深読みしすぎかもしれないけれども。
12、普通の人々(風待通りの人々収録)
バブルの末期のさまざまな物(ドライビール、クレジットカードなど)が織り込まれていて、当時一般的感覚だった「普通」とは何なのかを考えさせられる。よく考えればドライビールも発泡酒や第三のビールに変わり、クレジットカードも多重債務問題、または携帯での支払いに一部が変わるなどしている。あの時代「僕たちは幸せなのか?」と問いかけた歌だったのだが、もっと便利でもっと不便な時代になってしまうとはさすがのさすがのさださんも想像できなかったろう。個人的には当時の方が幸せだったが(苦笑)。バブルはやはりバブルなのだろうか…
13、幸せブギ(夢唄収録)
さださんのこのジャンルの曲はこの曲で一つ枝分かれしていく(と、思う)。前夜を本流だとすると良い悪いではなく傍流といえる。ポイントは社会の不満、いらだちを「おそらくさださんと思われる人」の言葉でストレートに表現していることだろう。前夜などの曲はほとんどの場合さださんと曲中の人間は分離していた。しかしこの曲以降分離しない曲が増えていく。よってこの曲のようにどれだけ明るめの曲にしてもとげとげしさが目立ってしまい、正直をいうとあまり好きではない。ただ、それは表現方法の一つであって曲中に描かれていること自体は確かに日常生活で感じる人は多いとは思う。とは言え、最大の問題(というか欠陥)は問題提起をしても、唄われている対象の当事者はこの曲を聴くことはなく、さだファンはこの曲の中のようなふるまいを(少なくとも)自覚的にしていないので、さださんの本来の目的を達成できているか怪しいことである。そしてこのジレンマは昨今発表のこの手の曲も解決されずにいる。
14、51(Mist収録)
本流とも傍流ともとれる中間的な曲で「さよならにっぽん」に近い。イチローの背番号をモチーフにし、アメリカと日本の関係、ひいては国内の悲しい事件事故を語っている、さださんらしい仕掛けとは言えるが少し仕込みが強い気もする。
15、療養所(夢供養収録)
前夜が出る前はさださんの社会的な問題への描写はこの曲のような表現だった。病気の老人と僕との関係から人生を語る曲で、やはり前夜に比べると物語的である。
16、聖野菜祭(セントベジタブルデイ)(印象派収録)
これも前夜以前の曲で明るい曲のように見えて、身分問題、差別問題が描かれている。ちなみに朝刊と並び放送禁止曲になっているらしい(一番軽いやつ、おそらくラジオ放送でかけると本当のニュースと間違える可能性があるからだろう)
17、上海物語(風のおもかげ収録)
傾向としてはフレディもしくは三教街に近いが派手さはなく、どちらかというと地味かもしれない。アレンジも含めてとても雰囲気が出ている。
18、さよならにっぽん(さよならにっぽん収録)
これは51と味わいが近い曲だが、まだ傍観性は出ている。幸せブギほど直接的ではなく、「さよなら」とつぶやくなど「諦念」も少しある。阪神大震災の頃の曲だがSada City以後のさださんの曲や行動と比較すると興味深い違いがある。
19、神の恵み(心の時代収録)
アメリカと日本の過去と現在、そして未来などを想像させる曲。ただし主人公はやはりさださんらしく、分離が出来ていない感じがする。とは言え幸せブギよりも物語性を持っている。私的には嫌いではない。アメリカ大統領選挙であんなことになり、自衛隊問題、憲法問題、安保問題がいろんな意味で良し悪しはともかく、この歌で歌われている状況から動く可能性をはらんでいるのだが、あの勝者の顔を見ているとうまく行きそうな感じはあまりしない(まあ顔のことは私も多くは言えない:汗)。とは言え敗者の方の顔も…もごもご…
20、死んだらあかん(第二楽章収録)
幸せブギと同系の曲。生きろというのと死んだらだめというのは若干意味は違うが、これは後者なのでどうしてもネガティブな印象になっている。
21、問題作~意見には個人差があります~(風の軌跡収録)
これも幸せブギと同様の傍流系の曲である。これはちょっとコメントに困る。理由は幸せブギに書いた通りである。やはり曲は発信者の想いが聴く側の心にはまることでより大きな反響を生むのだろうと思う。そういう意味で私はこの手の曲が苦手なのです。

それ以外にも戦争に関連した曲はありますが省略いたします。

F元気出せ系(励まされる?曲)
さださんの曲の中で聴く人に勇気や元気を与える曲は80年代終わりから90年代辺りにでてきて最近多くなってくる。
但し、いわゆる主人公などのように歌を聴いてこっちが勝手に勇気を「もらう」曲から、90年代前後から、直接的に「勇気づける前提」で書いた曲へ変化している気がする。どちらの方が好みかはやはり聴く人の問題だろう。

1、主人公(私花集収録)
さださんのファンの中ではいつでも人気トップを保っている曲で、この曲に勇気づけられる人は多いのだろう。感覚的に男性よりも女性の方にファンが多い。先日ミュージックフェア―でこの曲を歌ったときに(ファンの中では人気があるが)「当時は売れなかったです」「後で人気出るならその時買ってね」と言っていたがあれはネタだろう。シングルで発売したのは88年で、オリジナルのLPが78年、さらには新録音の帰郷ですら86年。要はアルバムの方が先の曲だったのでそのあとのシングルが売れるわけがないからだ。それをもってして「あの時買ってくれ」というのは頑張ってアルバムを買い続けてきたオールドファンにはちょっときつい冗談ではないだろうか(苦笑)。
2、まんまる(ADVANTAGE収録)
この曲をこのジャンルに入れてよいのかはわからないが、少なくとも私はこの曲で何か勇気づけられる。アレンジも含めてシンプルなのが素晴らしい。
3、男は大きな河になれ(夢回帰線収録)
映画のテーマソングになって、さらにはその映画が人間の成長物語的な話なので、それに見合った歌詞になった。曲はおなじみのクラッシックから材をとったので相変わらずファン以外には知名度はないものの聴きやすい曲だと思う。
4、勇気を出して (風待通りの人々収録)
実質的に直接的な勇気づける曲の最初だと思われる。ちなみにこのアルバムの1曲目の「夢と呼んではいけない~星屑倶楽部」も同系統の曲である。
5、理・不・尽(夢の吹く頃収録)
これも個人的な勇気づけられる曲。若干好き嫌いはあるかもしれないが、悩んでいるときに聴くとしみるはず。どちらかというと仕事の悩みの方が効くと思う。
6、夢ばかりみていた(夢ばかりみていた収録)
これも直接的でかつ聴く人に語り掛けるようになっている。アルバムの出だしなのでとても盛り上がるアレンジになっている。
7、予約席(おもひで泥棒収録)
映画「一杯のかけそば」のテーマソングだったが原作者のトラブルで少し変な感じになった。ただし曲自体に罪はない。「がんばって」と語り掛けられて奮起するとかしないとか。
8、六日のあやめ(さよならにっぽん収録)
曲調はこの系統とは違うが、不器用な人間が一所懸命に生きていく応援歌だと思う。取りようによっては「もうひとつの雨やどり」の風味にも取れる。
9、君を信じて(古くさい恋の唄ばかり収録)
作中「君」と呼びかける(おそらく)さださんの体になっているが、「君」を自分に置き換えられることが出来ればかなり勇気づけられると思う。
10、幸せブギ(夢唄収録)
これは社会派系の中にも入れたが、一応がんばろうぜ!というメッセージ曲でもあるので入れた。個人的に今のさださんへの分岐になったと思っている曲。
11、不器用な花(心の時代収録)
これも落ち着いたアレンジだが六日のあやめと同様に不器用な人間を励ます曲になっている。タイトル通りだが、「不器用な君」を励ます形になっている。
12、So It's a 大丈夫 Day(夢のつづき収録)
これは直接的に元気出せの曲だが、曲が軽く、韻などの遊び心があって個人的にはこの系統では指折りで好きな曲。
13、人生の贈り物(すろうらいふすとーりー収録)
この曲で勇気づけられるためには、ある程度の年齢が必要だろう。また勇気づけられるというよりもどちらかというと四字熟語の「吾唯足知」的な曲だろうか。よって私には少し重い。
14、春爛漫(恋文収録)
例の深夜の番組で歌われたので、多分一定のこの曲のファンがいるのだろう。「小さなはずれは当たりの貯金」など歌詞に工夫が見られる。
15、ちからをください(とこしへ収録)
今恵まれていない人の心を代弁したような曲。ただしその対象がはっきりしないため(あるいは個人によって異なるため)このジャンルの歌の中ではもう一つという感じもする。
16、大晦日(美しき日本の面影収録)
これも深夜の番組で歌われた記憶がある。時期的な限定があり、やなことは忘れようぜ!と考えればいいのだろうか。
17、明日咲く花(美しい朝収録)
何度聴き直しても記憶できないほど旋律が難しい(と思う)曲。「よく頑張ったね」と言われたい思いの人は一度聴くべきかもしれない。
18、桜の樹の下で(Sada City収録)
東日本大震災とかぶっているアルバムなので、どちらかというとそっちの応援歌。
19、SMILE AGAIN(もう来る頃収録)
出来たのは90年代だと思う。よって最近の曲にはない旋律の新鮮さがある。平たく言えば曲がとても良い。
20、君は歌うことが出来る(第二楽章収録)
アレンジがアルフィーの高見沢さんで一風変わった曲。どちらかというと表現者(アーティスト)へのメッセージソングで、一般性というか万人性があるかどうかは不明。


見落としなどあるかもしれません。また元気系の曲は感覚的なモノなので、聴いた後「これ、ちがくね?」という印象を持っても私は責任が取れません。あしからず。
さらにこの系統の曲が最近のアルバムに多いことが私の最近の鬱屈とした感想の現況かもしれない、と思ったりもする。いや、深い意味もないし、是非もない。

残りは本当の最終回で!