大分のさだまさしファンの独り言

大分に住んでいるさだまさしさんのファンです。所有のアルバムなどを紹介しながら不定期に思い出などを書いていこうと思います。

Sada Pedia 25 美しき日本の面影

2013-11-06 00:37:30 | SADAPEDIA

日本シリーズも終わり気がつけば11月です。早いものでもう今年も2カ月切っています。
さださんの40周年を祝うための、さださんのファンになりたての方にお勧めアルバムをご紹介するため、そしてこのブログに区切りをつけるための企画も今日から第五シーズン。あと17枚です。

今日からしばらくは最近のさださんのアルバムになります。

美しき日本の面影 (06.9.13)



1、桜人 ~序章 春の夜の月~ 2、桜桃 3、さよなら橋 4、献灯会 5、向日葵の影 6、鉢植えの子供 7、悲しい螺旋 8、愛の音 9、大晦日 10、天然色の化石2006 11、サクラサク 12、桜人 ~終章 しづ心なく~

とはいってももう7年前ですねぇ…

いつもの分類で分けると
①ヒット:C
シングル曲があり、ヒットしていればA、していなければB(ただしほぼ知名度なしならC)、シングル無しならC

②コミカル:C
関白宣言、関白失脚、雨やどり、私は犬になりたいなどのコミカル系があるか?
③国風:A’
飛梅、まほろば、修二会などの日本の文化、建造物などの曲があるか?
④恋愛ソング:B
いわゆる恋愛ソングが多いかどうか?ちなみにさださんの場合皆無のアルバムは無いです。
⑤社会性:B’
前夜、空き缶と白鷺、遥かなるクリスマスなどの社会的な曲があるか?またその程度により分類

私はこのアルバムを始めて聴いた時、「来たな!久々に」と思ったんですよ。自分好みの匂いがしたんです。
言うまでもなく?「桜人」のことです。万葉集などの和歌を題材にとった所ではなく、アレンジですね。ピンときたので。
ただ、二曲目、三曲目は最近のさださん(正確に言うとFOA(今のU-CAN)移籍後のさださん)の印象になりました。
誤解を承知で言えば、私は82年からのめり込んだ為、特に85年前後のアルバムの振れ幅の大きい(良く言えばチャレンジングな)所が好きなのです。よって最近の安定した(悪く言えば技巧が目立つ)曲は、心に長く残らない。良い曲だなとは思うけれどもそれが長く続かない。確かにレコーディングスタッフも素晴らしい。編曲も多分凝っているのだろうし、何よりCDから出てくる音が素晴らしい。とりわけ音は移籍後のCDは確かに良くなった。
でも、何かが違う。
基本私は新しいアルバムは最低車の中で通勤の時に20回以上は聴きます。今こうして久しぶりに聴き直してみても、随所に「いいなあ」と思うところがあるのですが、それが線にならない。
例えば向日葵の影のサビの切なさ(「さようなら・・・」件)は泣けるほどだし、鉢植えの子供の転調する所なんかは歌詞と相まって恐ろしいほどのリアリティを出しているし、悲しい螺旋の出だしはやばいしサビも良い感じ、と挙げればきりも無い。
分析をする立場ではないし、楽器音痴だし、アラフィフだし、未婚だし(関係ないか)、でもさだファンを長くやって来てうっすら気付いた理由があるんです。

少なくともボクの感想です。最近、特にこの10年のさださんの曲は目線が全てさださんになっている。さださんの価値観、感情、倫理観などによって構成されている。しかし、85年前後の曲は様々な人物像が描かれ、その輪郭がはっきりしている。
ボクの好きな「沈吟」の主人公。あれはボクのいつかの姿だった。「前夜」の主人公の冷めた目線は当時の多くの日本人の視線だった。「普通の人々」の主人公はバブルの時代の若者の姿に似ていたし当時流行ったトレンディドラマの主人公の暮らしみたいだった。「ひき潮」の主人公は都会に過ごす人たちの心の疲れをしっかりとあらわしていた。
もちろんさださんが作っている以上どの曲もさださんの影があることは確かでしょう。でも当時の曲は曲の中にさださんをあまり感じなかった。別の言い方をすればとてもうまく「分離」していた。この分離が様々な場面、人々の共感を呼んだのだと僕は勝手に思っています。
最近の曲は主人公がさださんであろうことが多いと感じます。もちろんそれが上手く行った場合は「遥かなるクリスマス」のように名曲になることはあります。しかしどうも共感、という部分が少なくなりました。ただしこれはさださんが悪いわけではなく、私の感受性、あるいは心の受信周波数が変わったことも挙げられます。
だからこそ、できないことは承知していますが、最近のアルバムを私の高校、大学時代に聴かせてみたい、そう結構本気で思います。

さて脇道(結構本気でしたが:汗)にそれました。このアルバムの話。

前段であんなことを書いた割にはこのアルバムは曲の1つ1つの完成度は高くなっています。とりわけ、先に挙げた「桜人」「向日葵の影」「鉢植えの子供」「悲しい螺旋」という中盤の曲は何度聴いても素晴らしい出来です。

ただ生意気を言えば、「天然色の化石2006」は蛇足だったと思う。曲自体は大好きだから余計に。この曲の中身である人間の葛藤、それは差別であり平和であり家族であり恋愛でありと多様だが、その心はやはりオリジナルアレンジの「夢回帰線Ⅱ」のスリリングでざっくりとしたアレンジの方がしっくりするし、何より2006のアレンジは落ち着きすぎで、こちらが落ち着かない。むしろライナーノートにもあるようにギターのみの方が良かったかなあ、と。
すでにご紹介済みだが、「天然色の化石」は是非「夢回帰線Ⅱ」のアレンジで聴いていただきたいと思う。まあ、好き好きじゃね~か、と言われればそれまでだが(笑)。

日本、そして桜や向日葵といった花由来の日本独自の季節を前面に出してその中に恋、愛、別れ、喜び、悲しみ、悩みを詰め込んだアルバムで統一感のあるものになっているので、良くも悪くも枠に入ったアルバムでしょう。

そうそうグレープ時代の吉田正美さんが3曲(3、4、5曲目)に参加しています。編曲も手がけているようなのでこれも一つの味わいどころになるでしょうか。


さてランキング。

1位「風見鶏」
2位「夢ばかりみていた」
3位「夢の吹く頃」
4位「ADVANTAGE」
5位「夢回帰線Ⅱ」
6位「私花集」
7位「風待ち通りの人々」
8位「自分症候群」
9位「おもひで泥棒」
10位「あの頃について」

ということで10位までには入らず、と言うことでした。

ネガティブなことも書きましたが、さだ-1にも書いたように曲そのものの出来は結構な物ですし、ボクの大好きサンドイッチ型(短い曲でプロローグ、エピローグのように使う)なので、10枚ほど聴いてから聴くとしっくりくるかもしれません。


では、また!