サッカー日誌 / 2014年07月17日


ビバ!ブラジルW杯時評(9)


FIFAのW杯運営批判(上)

入場券は余っていた

★FIFA GO HOME
 ブラジル・ワールドカップの開幕前、サンパウロの市内から開幕試合の会場のスタジアムに行く道路からよく見える水路の土手に「FIFA GO HOME」という大きな落書きがあった。落書きというより抗議のプラカードというべきだろう。
 「FIFA(国際サッカー連盟)がブラジルの大衆の反感を買っているという話は本当なんだ」と思った。
 サッカーのワールドカップは、オリンピックを凌ぐ経済規模のスポーツ・イベントである。オリンピックを凌ぐようになった原因の一つは、アマチュアリズムを理念としていたオリンピックに対して、ワールドカップは商業主義を取り入れることをためらわなかったことである。
 ところがテレビの放映権料収入が巨額になるとともに、FIFAの商業主義が拡大し弊害が目立つようになってきた。それが開催国との対立を生むようにもなった。
「FIFA GO HOME」の抗議は、その表れである。

★チケットの販売方法
 問題の一つに「チケットの販売方法」がある。
 ワールドカップは「開催国が入場料収入ですべての経費を賄う」という考えから始まった。したがって当初はチケットの販売は開催国のサッカー協会の権限だった。
 ところがテレビの放映権が巨額になるとともにFIFAはすべての収入をFIFAのもとに集める方針をとり、現在はFIFAの代理業者が世界中の入場券販売を扱っている。
 前回の南アフリカ大会までは、チケットの一定数を各国のサッカー協会に割当て、各国の指定旅行業者がチケットとホテルをセットにしてツアーを売り出していた。
 したがって日本のサポーターは日本の旅行業者が売り出すチケットとホテル付きのツアーに参加してワールドカップを見に行くことができた。
 しかし、この方式は、割当チケット横流しなどの問題を生み、ブラジル大会では、やり方が変わった。

★ネット販売の弊害
 ブラジル大会では、チケットはすべてFIFAがインターネットを通じて、いろいろな方式で、何度にも分けて売り出した。何度にも分けるから1度あたりの販売枚数は比較的少なくなる。一方、買うほうは毎回、応募する。家族や友人の名を借りて応募する人もある。そのため見かけの競争率は高くなり、手に入れ難いようにみえる。
 しかし、実際には同じ人が何枚も手に入れるので、現地では余った入場券を売っている人がかなりいた。特定の試合以外は、入場券は余っていた。
 旅行社は、割り当てを受けられなかったので入場券を含めたツアーを売り出すことができなかった。そこで、航空便と宿泊だけのツアーを募集し「チケットは各自で確保してください」としていた。実際にはチケットを手に入れる方法はあったのだが、チケットを手に入れることができなかったために、観戦ツアーを断念した人もいただろう。また、パソコンの操作に慣れない人にとってはFIFAのサイトに申し込むのも厄介だっただろう。
 今回のFIFAのチケット販売方法には、批判が多かったようだ。
 ぼくの考えでは、以前のやり方のほうが弊害は少ないように思う。手馴れた旅行社を通じてツアーに参加できるほうが、一般のサポーターにとっては便利だろう。



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