サッカー日誌 / 2014年07月15日


ビバ!ブラジルW杯時評(8)


ドイツ優勝への評価

決勝戦 ドイツ 1対0(延長)アルゼンチン
(7月13日 リオデジャネイロ)

★南米開催で初の欧州優勝
 決勝戦前日の記者会見でドイツのレーブ監督は自信に溢れていた。
 「ドイツが、南米で開かれた大会で優勝する初めての欧州のチームになれない理由があるだろうか?」
 延長戦にもつれ込む苦戦ではあったが、レーブ監督の言ったとおりになった。
 打ち上げられたテープが光輝きながら舞い落ちる中で黄金のFIFAワールドカップを掲げるドイツチームを見ながら考えた。
 「欧州のチームが南米で優勝したことに、どんな意味があるのだろうか」
 これまでに米国、メキシコを含め、大西洋の西側で開かれたワールドカップは7度ある。優勝はブラジルが3度、ウルグアイとアルゼンチンがそれぞれ2度。そのうち、1962年チリ大会以後の5度は、決勝戦の相手は欧州のチームだった。

★1958年のブラジルとの比較
 一方、欧州で開かれた10度の大会で南米のチームが優勝したのが1度だけある。1958年スウェーデン大会のブラジルである。
 今になってみると、このときのブラジルの優勝には、大きな歴史的な意味があった。
 第一にブラジルは「4:2:4」という新しいシステム(布陣)を欧州に紹介した。のちに「4:3:3」あるいは「4:4:2」に発展する「現代のシステム」のはじまりである。
 第二に17歳のペレがデビューした。20世紀最高のスポーツ選手になる天才の登場だった。ペレは個人のテクニックと判断力と速さの重要性を欧州に認識させた。
 ブラジルのサッカーの新しい発展を欧州に示し、その後の世界のサッカーの歴史を変えた優勝だった。
 それにくらべて、欧州のチームが、南米大陸の大会で優勝したことに、どんな意味があるのだろうか?

★単独クラブの良さ
 いまはテレビの衛星中継で、試合の様子がその日のうちに大西洋を越える。新しい戦法も戦術もワールドカップによって伝えられる時代ではない。
 アルゼンチンの先発メンバーは全員が欧州のクラブでプレーしている。欧州のスカウトが世界にくまなく目を配っているから無名の天才が突然、登場するようなことはない。
 そういう高度情報化社会の中で、サッカーがグローバル化した中でのドイツの優勝だった。欧州のチームが南米で勝ったことに不思議はない。
 もう一つ思ったのは、ドイツ代表がバイエルン・ミュンヘンを主力に構成されていることである。単独クラブの良さが代表チームに生かされている。
 南米の代表チームは、欧州のいろいろなクラブに所属している選手の「寄せ集め」である。そう考えると、南米にとって苦しい時代が、しばらく続くのかもしれない。


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サッカー日誌 / 2014年07月15日


ビバ!ブラジルW杯時評(7)


意欲を失ったブラジル

3位決定戦
オランダ 3対0ブラジル
(7月12日 ブラジリア)

★決勝前日、リオへ移動
 決勝戦の前日、午前の飛行機でサンパウロからリオデジャネイロに飛んだ。リオの国内線用サン・デュモン空港からマラカナン・スタジアムに直行。メディア・センターのテレビで3位決定戦を見るためである。
 3位決定戦をナマで見たことは、ほとんどない。内容のある試合を期待できないからである。
 準決勝で挫折した両チームは、すでに燃え尽きている。3位も1回戦敗退も優勝でなかったことには変わりはない。
 オランダのファン・ハール監督は「3位決定戦は意味がない。廃止すべきだ」と主張していた。
 準決勝で屈辱的な大敗を喫したブラジルにとっては、せめて3位決定戦に勝って国民に「お詫びのしるし」としたいところだが、すでに町からカナリア色のシャツは消えている。ブラジルの国民にとっても3位は無意味なのである。

★開始早々のPK
 3位決定戦のキッククオフ3分にブラジルがPKをとられた。テレビで見た限りの話だが、このPKはおかしかった。
 オランダの選手がゴールを目指して突進したのを、ブラジルの選手が追いかけて、ペナルティエリアに差し掛かったところで、後ろから相手の肩に手を掛けて止めた。オランダの選手はペナルティエリア内に倒れ込んだ。アルジェリア人の審判はPKをとった。
 テレビの再現映像で見たところでは、ブラジルの選手が相手の肩に手を掛けたのはペナルティエリアの外である。オランダの選手が倒れこんだのはペナルティエリアの中である。これはPKだろうか?
 半世紀も前の話だが、サッカーの競技規則を管理している国際FA評議会の決定事項を読んだのを思い出した。
 「反則の起きた時点をいつとするか」という問題についての決定である。

★反則の起きたとき
 「反則の始まった時点とする」というのが、評議会の決定だったと記憶している。
 この決定が現在も生きているとすれば、ブラジルの反則はPKではなく、ペナルティエリアのすぐ外からのフリーキックである。ブラジルの選手の行為が「得点機会阻止」であれば退場になってもおかしくない。あるいは、オランダの選手が、わざとペナルティエリア内に倒れ込んだとして「シミュレーション」をとることも考えられる。
もちろん判定は主審の権限である。それに主審はビデオで判定するわけではない。だから「誤審」だというつもりはない。
しかし、勝負としては無意味な3位決定戦も、審判技術向上のための材料を提供するためには意味があったのではないかと、余計なことを考えた。
 試合はオランダが2点を追加して3対0で勝った。ブラジルは、まったく意欲をなくしていた。


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