欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

夕の鐘

2008-01-27 | poem
"この綱をしっかりと握って。自分の持っている力いっぱいに引くのです。
あなたのためだけじゃなく、この街の人たちのためにも。"
私は力いっぱいに綱を引きます。そして、手離すのです。
大きな鐘の音が街の方へと響いていきます。
その音は街へと広がっていき、夕空に抜けていくのです。
この街に夕を知らせる高台からの鐘なのです。

"もう一度しっかり綱を引き寄せて。今の鐘よりもさらに大きな響きをつくるのです。あの街のさらにむこうの人たちにも聞こえるように。"
私はまた力いっぱいに綱を引いて、そして、鐘の音を響かせます。
街のむこうにいる人たちのことを考えながら。ここから見える屋根や夕空を望みながら。
強い鐘の振動が私の胸にも伝わってくるのです。

"さぁ、もう一度。もう一度。"
鐘の音は何度も何度も街の方に広がっていきます。
そして、遠い夕空へと消えていくのです。
もうすぐ夜が来るのを知らせるために。
この街の人たちにあらゆるメッセージを伝えるために。
鐘の音は私の心の中に生きている強い振動となって響いているのです。