欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

暗がりもともなわない素直な詩

2011-09-30 | poem
小気味良いギターの音色。疲れ果て、頭をさげる人々のいる部屋で、言葉を語り続ける人がいます。
その人のやさしい語りかけに、まわりの人の心はしんみりとおだやかでいられるのです。
"なにをやっても先の見えない現実。
理不尽なことが横行し、それでも明日はやってくる。
頭で考えていても、とてもじゃないが割り切れない現実。
不満はそこらにあたりにたさん積み上げられていて、それでも生きていかないといけない現実・・。
いやで命をたとうとする者もいるけど、失望はしても生きることは捨てられはしない、わたしたち・・。"
言葉はゆっくりとおだやかな声で。
"頭の線をひとつくらい抜いて。割り切れない現実をなんとか渡っていこうと・・。
そすこしくらいぼけたふりをしていないと、そうしていると笑える自分がまだいるから。
確実な明るみなど今は探せない。でも、そんな時は多々あって。
それでも良いことは時折あるし、これからも自分の考えでは思ってもみない大きな流れはやってくる。
それでも、渡っていくのです。荒波の中を。時にさざ波であり、おだやかな日ざしに安らいだりもしながら・・。
雨に濡れ、雪に凍える日もあるけれど・・。
それでも生きていってる。好きか嫌いかそれすらわからない自分という色の乗り物で・・。"
薄暗くけむたい部屋。人々の疲れた心にこだまする言葉たち。
弾き語りの人が言う、吐息のようなつぶやきはこの部屋にいる人の安らぎ。
力強くはないけど、でも、暗がりもともなわない素直な詩。

夕暮れの白い月

2011-09-27 | poem
使い古した毛布にくるまり、子供が澄んだ目をして言うのです。
あの木の向こうの窓からこちらをのぞいているのはだぁれ?
枯れ枝のむこうの家に古びたカーテンの窓はあっても、人の気配はありません。
母親はやさしく言います。
どんな人が見えるの?
ママには見えないの? とてもきれいな服を着た男の子がいるよ。
そう言って、子供は目を輝かせるのです。
こっちを見て笑ってる。なにか良いことでもあったみたいに・・。
母親はもう一度家の方を見ますがまったく人影はないのです。
男の子は楽しそう? どんな良いことがあったんでしょうね?
子供は家の方を見つめながら、時折笑みを浮かべます。
きっともうすぐパパが帰ってくるんだわ。パパの車があっちから早くあらわれないか、うれしそうに見てる。
あぁ、いいなぁ。わたしのパパも早く帰ってきてほしいのに・・。
ママとわたしと。パパと一緒においしいものを食べたい・・。
あったかいものが食べたいわ。
母親は寒くなる夕暮れを前に、子供を抱き寄せて、
きっとパパは帰ってくるわ。あんなやさしいパパはいないから。
あの白いお月様がきっとわたしたちのことをパパに伝えてくれるから・・。

砂に刻んだ愛の言葉

2011-09-21 | poem
真っ白な海岸線。ひいてはよせる波のきわをわたしは歩いていくのです。
そこは以前わたしたちが愛をあたためあった場所。
歩く砂の感触はあの人そのものなのです。
波のざわめきはあの人の声。
大きな流木に腰かけ、あたまをあずけ目をつぶっていた。
そこでささやかれた言葉。
突然の別れがわたしたちには待っていました。
時代という大きな流れに引き裂かれてしまったふたつの意思。
今でも大きな流木が黒い色をして真っ白な海岸に点在しています。

"わたしたちはあの星々のように大きな世界にあって奇跡的なひとつの輝きになれるね"
うなずくあの人の胸にわたしの身体をあずけた。
今はその言葉と思いしかわたしの中には残っていないけど、それでもあの時の胸の高鳴り、明るみの確信を忘れることはありません。
あの人の声は確かに響いたのです。
"星々がかさなって、大きな輝きが生まれることを今感じているよ。
僕たちのヒカリがこの海岸のようにゆったりと大きなものであることを感じられる。
たとえひとときの別れが僕たちを悲しませようとも、この海岸にくれば今までの愛の記憶を呼び戻すことができる。
なくなったと思う心のすきまに、今でも脈々と続くあたたかさを思い出させてくれる。
ここで笑いあった日々を。今からもふたたび起こることを信じられるようにここに刻もう"

あの人は砂に刻んだのです。
わたしたちの永遠の愛を言葉にして。
たしかにひとりの時は愛が根づいてるのかわからなくなるときがあります。
でも、ここに来ると思い出すのです。
大きなゆったりとした愛を。これからも脈々と息づくたしかな明るみを。

青い石の刻まれたナイフ

2011-09-20 | poem



力なく手から落ちたナイフは白いシーツの上に・・。
こうして月あかりの中で、動かない男の背中を前にして、女は眉間にしわを寄せてうつむいてしまったのです。
サファイアの刻まれたナイフ。
これを男の背中に突き立てて、女は仲間の待つボートへと。
白い豪華客船ともこれでお別れできるのに、女はうつむいたまま動かないのです。
やがて、力なく立ち上がり、服を着て、部屋を出ていくのです。
ナイフもそのままに・・。ふたりの傾けたグラスには月の明かりが細かに輝いている。
デッキに出た女は振り乱したままの髪を整えようともせず、ただ月を見上げていたのです。
雲ひとつない明るい空。星の輝きは不思議にどこにもありませんでした。
女はゆっくりと船尾の方へと歩いていきます。
そして、胸につけたダイヤの輝きを手で確かめ、その船から姿を消したのです。

青空のもと、大きな街の港に船はたどりつきました。
頭痛をおさえながら男は船を降りたのです。
そして、港の硬い地に足をつけた時、船とそのむこうの海を振り向いたのです。
青い石の刻まれたナイフの訳を男は痛いほどわかっているから。
鋭い日ざしに揺れるあたりの景色にまぎらわされることなく、女の姿をその海に見ることができたのです。

波がやさしくうちつける港

2011-09-18 | poem


波がやさしく打ちつける港に今日も悲しい別れがひとつ。
女は波止場に立ち止まったまま、美しい夕日の輝きにも気づかない。
口からこぼれる言葉はどれも名残おしい男の面影をにおわすものばかり。
かすかな期待をのこし、姿を消した男に向けられる女の切実な思い。
ふたたび逢える日を夢見て、ふりむいた街角のミラーに男の姿を見るのです。
まるで昔の映画のような・・、雨に濡れたたずむ少年のような無垢な立ち姿。
愛する人の影を求めたから、心がこうして映し出したのでしょう。
ブラインドのように女の長い髪がその姿をかすませていったのです。

虹色の輝き

2011-09-18 | poem


人が街で恋をして、愛し、悲しみ、そして、そこに残ったあかしがまた新しい恋をするのです。
街の片隅にささやかれた言葉たちが集まりそのまま色あせて。そして、ふたたびヒカリがあたるのを待っているです。
今日もテーブルに置かれた色鮮やかな花をはさんで、男と女の会話がいくつもつくられていきます。
みんな海の泡と消えていきそうなきらめきを今日も味わいながら・・。
笑みを浮かべ、涙を流し、そして、眠りについて。明日の明るみを願うのです。
水面のむこうにあるヒカリを目をつぶり求めているのです。
ひとつ、またひとつと泡はできては消えていくけど、そこには確かな輝きが・・、なにかを残しているのです。
生きていてほとばしる感情の火花を今日もいくつも発しながら・・。
世界はまわっています。嘘か本当かわかない甘い言葉、真摯な気持ちも、街のいつるところでなにかのほとばしりとなって世界に刻んでいくのです。
愛の輝きを・・。中でも愛する人にささやく言葉はとてもピュアな虹色の輝きをしているのです。

大きな愛を聞かせてあげる

2011-09-14 | poem



"こうして弾いている音色はね、愛の唄。
あなたを一人前の男性として弾いてあげるわ。
大人になってきっと返してね、あなたの大きな愛情を。"

きょとんとしながらも男の子はじっと弾いている手を見つめている。
時折、お姉さんの顔を見上げてにっこり。
その笑顔にはもう男のはにかみが見てとれるのです。

"まだわからないかもしれないけれど、これが愛する女の気持ち。
大きくなっても大事にしてあげてね。
女性は守ってくれるような大きな気持ちが大好きだから。"

美しさの媚薬

2011-09-12 | essay


人は幸福を感じると美しくなるようです。
なに気ないしあわせを感じ笑みが出る時、自然と美しさを表現しているものです。
確かに幸福感を味わいながら暮らしていくのは難しいことですが、それでも楽しいことをうれしいことを見つけていくべきだと思います。

ふいに贈られたプレゼントにびっくりしたことはありませんか?
ほんのちいさな贈り物がとても心に響くときがあります。
そんな日常のちいさな幸福感をこれからも味わっていけるように・・。

最近、笑みを忘れた人になってはいませんか?
強さは生きるために必要なもの。耐える心も大切ですが・・。
それでもやさしい気持ちも明るい生活には欠かせないものです。
笑みの素敵な大人になりましょう。そんな笑顔を子供たちは不思議と見上げているものです。
なに気ない幸福感。日常に欠かせない美しさの媚薬なのでしょうね。