欅並木をのぼった左手にあるお店

ちいさいけど心ほっこり、French!テイストなお店♪

人魚と旅人

2013-04-30 | une nouvelle
そこは真夜中ひっそり眠りの世界。
旅人が深い森の中を歩いていくと、急に夜空がひらけてきて・・。
そこには泉がひろがり、ほとりには輝くパープを奏でる人魚がいました。
うっとりするような演奏。
旅人はしばらく聞きいっていましたが、やがて、こうたずねてみたくなって、
"もし・・、心うるおうすばらしい音色だ。わたしもそのようなものが奏でられるたら、いつもしあわせを感じていられるのに・・。"
すると、人魚は指をとめて、
"これはわたしが神さまから与えられた大切な宝物。
でも、以前はこんな曲を奏でることはできなかった。
それがいつの日か、こうして心うるおう音色を手にすることができたのです。"
"それはどうしてなのでしょうか!?"
旅人の問いには力がはいっていました。
人魚は目をつぶり、ふたたび弦をはじきなからこう答えたのです。
"それは・・、とても不思議なことですが・・。
心の中にほほ笑みが存在することを知ったのです。いつもそこに気持ちをあわせて、いま求めているものを奏でていけば・・。
これはなにも演奏だけにかぎったことではありません。
どんな行いにも通じるものです。"
人魚はいとおしそうにハープを持ち替えて、
"ほほ笑みに即したことを行っていけば、自然と求めるものは手に入れられるのでしょう。
ほほ笑がその人をしあわせへと導く、とても素敵なことだとは思いませんか?
"そんなことがあるのでしょうか・・?"
人魚は泉に入りながら、こう言い残していったのです。
"わたしは信じてみたのです。
心を澄まし、ほほ笑みを感じながら生きてきた。
すると、不思議なことに世界はほほ笑みの国へと変わっていったのです。
この世の不思議な一面にわたしはその時から触れることができたのです。"

黒猫がうながすその先に

2013-04-28 | une nouvelle
飼ってる黒猫のソフィアがこっちをむいてにゃ~んとなく。
理由はわかってる。さっき僕がママにしこたまおこられてたから。
やるせない気持ちで窓辺にいる僕に近寄ってきて、またにゃ~んとなく。
君の気持ちよくわかるよ。でもしかたのないこともあるんだって、そう言ってるみたいに・・。
そうはわかっててもやりきれないこともあるんだよ!って。
でも、ソフィアの目はくりくりこっちを見つめっぱなし。
はずかしいからやめてくれよぅ。同情ならいらないぜってタンカきってみて、なんだかうつむいて・・。
すると、ソフィアがぴょんと窓にあがって、むこうを見るように促してる。
なんだよぅ、街を見たっていつもと変わらないじゃないか・・、んっ?
いつもの景色に、なにか明らかに違うむものがまざってる。
通りむこうの建物のそのむこう、いつもあるオシャレな塔のそばをカラフルな熱気球がふわりふわりと浮かんでた。
ん~?なんと・・。
これはまるで不思議な遊園地みたいだなぁって。たくさんのカラフルポップな熱気球がのぼったりおりたり。
まったくめずらしいこともあるもんだなぁって。
これはお前の魔法かなぁ♪ 
ソフィアはちょこんとそばにすわったまま塔の方を眺めてる。
しばらく熱気球を見ているうちに、こんなステキな出来事が転がってるんだから、ちいさなことでクヨクヨしててもはじまらない♪
な、そうだろう?って意外に立ちなおりは早くて。
ソフィアの頭をなでながら、これからもまんざらではないのかなぁ♪って。
すると、とってつけたようにまたにゃ~んとなく。
お前、まるでこっちの気持ちをお見通しみたいだなぁ♪

あとで聞くと、オシャレな洋服会社のイベントがたまたまやってたらしい。
でも、いいんだよ。僕にとってはソフィアが教えてくれた、ステキな魔法の遊園地。ちいさな悩みもかるく吹っ飛ぶ、この世の不思議のひとつだって、いまも信じているんだからさぁ♪

笑顔を失わずにいられる勇気

2013-04-23 | une nouvelle
しあわせになるのになにが一番大切かと問われたら・・。
ある人はこう答えました。

"胸の中にある宝物をいつまでも大事にできる人のことです。
人はだれでも自分のいちばん魅力的なヒカリを胸の中に宿しています。
マイナス思考や悲しみなどが暗がりをつくり、ヒカリをおおってしまうのです。
しかし、そんなときはこう心がけましょう。
胸のヒカリを大切にしている人を見習うのです。
生きるうえで守っていくものをわかっている人は輝いています。
たとえ苦労がともにあったとしてもです。
そのような人に出会い、ふれあい、どんなことを感じどんなことを考えているのか学びましょう。
つきなみの言葉かもしれませんが、それがしあわせへの一番の近道です。"

そして、最後にこう付け加えました。
"ステキな人に共通することがひとつあります。
それはどんな時でも魔法を信じていることです。
それがかなうものだとどんな時でも笑顔を失わずにいられる、そんな勇気をもっている人のことですよ。"

街角で唄う吟遊詩人のセリフ

2013-04-19 | une nouvelle
世の中なんて気分がふさぎこむことばかり♪
でも、そこで下をむいてるようじゃ暗がりさんの思うつぼ!
この世は悲しむためでも苦しむために生きてるんでもない。
上をむいてごらんよ。空は青々とステキな雲が悠然とただよっているじゃない♪
あんな風におだやかに、軽やかにこの世を渡っていきたいよぅ♪
そんな時にはこうつぶやくのさ。
"この世界をつかさどってる神さま、どうか魔法の音楽が聞こえてきますように。
夢見心地で明るい出来事がむこうからやってきますように!
だれもが聞いて心を踊る唄を。
ふしぎな音程が心のしこりをとりさってくれて、楽しさだけが心に響くように♪"

胸の中の秘めた箱

2013-04-18 | une nouvelle


"人は胸の中にとじこめてしまったものをけっしてひらきはしないでしょう。
それは、ひらけばそこになにがあるのか白日の下にさらされてしまうから。
どんなものでも、人の中にあるものは見せない方がいいのでしょう。
深海のような胸の中にある自分の輝きを。
そのまま潜ませていてこそ自分の思う宝物だし、これからの心の明かりにもなってくれるのですから。"

paris

2013-04-18 | une nouvelle



"そこでくりひろげせられる夢物語の裏には人には言い尽くせない悲しみがひそんでいます。
そして、悲しみをほんのわずかも表さない演出がまた人の心を引きつけ離さないでいるのです。
その街には奥深い色合いが潜んでいます。
だから、人はその街を魔法の宝石箱と呼ぶようになり、いつかは行ってみたい街として羨望するようになったのです。"

知らないうちに星が話し続けていること

2013-04-16 | une nouvelle
星が語りかけてくれるコトバって知ってる?
なにもジャズミュージシャンが三日月に乗ってギターを奏でているのとはわけが違う!
これはとっても不思議な本当のお話。
だれの耳にも届いている、ロマンチックな真実なのさ。

僕らの耳になにを語ってくるかって?
それは・・、
この世で起こった魔法のお話。
主人公が魔法をとおして、しあわせの足がかりにするちょっぴりなが~いお話さ。
どうしてこんな話がはじまったと思う?
生きるのに必要なものを人が見失いはじめたから!
あわただしさや便利さの裏にある不安や悲しみの中で人はなにかをいつも探し求めているでしょ?
それでも出口の見えない迷路に迷い込んでしまった僕たちへの、生きるヒントなのさ。

話は潤いに満ちていてとてもオシャレな話。
だれの耳にも届いてるはずだけど、だれもが聞いてるわけじゃない。
孤立したカチコチな心にその声は響いていかないからね。
そうじゃない人の心にはこの語りは心地よく、明日の希望になりうるものなんだよ。

どんな感じの響きかって?
じゃあ、眠る前にこう口ずさんでみなよ。
"この一日をどうもありがとう。
心は生きるために疲れきってしまいました。
心地いい詩を、星の語りを、どうかわたしにお聞かせ下さい。"ってね。
きっと響いてくるはずだよ。
この世のどんな詩人よりもステキな表現で元気になる言葉をね♪

ふとった道化師は真夜中に語る

2013-04-15 | une nouvelle
人が眠りの世界でなにか探し物をしている頃、
最近買ったアンティークのオルゴール箱が勝手にひらいて・・。
ふとった道化師の男が、自慢の笑みをうかべてあらわれる。
ウトウトしてる僕の耳になにやらささやいてくるのさ。

"おうぃ、お前さんよぅ。
きらめき探しってコトバ。聞いたことはないだろう?
だれもがうらやむきらめきの毎日を送るためにさ。
いまお前さんが一番欲しいもの♪"
"おうぃ、お前さんよぅ。
どうしたらそれが手に入るかって?
それは自分で探さなきゃ意味がないやね。
でもよ・・。このオルゴールを明日処分されちゃたまらないからなぁ。
よし、今夜は特別♪"
道化師はちいさな手のひらを僕に近づけて、
"ほら、見てみなよ♪"
僕が眠い目をこすっていると、手のひらの上に美しいダイヤのような輝きが・・。
"とても美しいだろぅ。これはあらゆるもののきらめきを集めてつくってるんだ。
日常にあるすべてのもの、あらゆる出来事にきらめきはかくされているのさ。
毎日をそういう目で見つめたことはないだろう?"
にこりと道化師はステッキを背中からとりだし、コツリと僕のおでこをたたいた。
"ここがいけない。頭でっかちじゃ何もはじまらないからな。"
ちくりと痛いステッキに完全に目をさまされた僕。
"これだけは忘れないことだな。
どんな知識や知恵よりもきらめきを探す方がしあわせへの早道さ。"
もう一度、美しい輝きを間近で輝かせて、
"ようく見てごらんよ。
ふふ、その笑顔だ。好奇に満ちたまなざし♪
すべてものにそのまなざしを向けられるように努力するんだね。
それにはささいなことにも関心が必要なのさ。
さっきのきらめき探しだよ。
どんなものにも美しく輝ける要素がかくれてるんだ。
いまキミのまなざしはそんな宝物を見つけられる術をもってるってわけさ。
どうだい♪ これですこしはわかってきただろう?"
ふたたびオルゴールの箱へと戻っていく道化師。
"では、これにて失礼。
君が新しい扉をひらしてくれることを願ってるよ。
さっきの好奇なまなざしだ。キミのステキな笑顔。
笑い顔はなしあわせへのカギさ。きらめきを集めた扉はもうすぐキミの前に。
ステキな人生はすぐそばまできているよ。
願わくばそのかたわらに、このオルゴールもおいてもらいたいところだがねぇ、お前さん♪"

花売る魔法使い

2013-04-11 | une nouvelle
店じまいをはじめた北駅入口の花屋の女性。
押し車のカゴにはわずかながらの花たちが。
電車の出たあと、ものしずかになったあたりを見ながら、せっせと帰り支度。
ふと女性が振り向くと何人かのお客がお花を見ている。
いらっしゃいませ。もうのこりわずかですからお安くしときますよ。
最初の客が、
この赤い花はどんな幸運が訪れるのかしら?
えっ? 女性はちょっと面くらって、でも、
そうですねぇ。たくさんの愛情に恵まれるようにと・・。
そう、素敵ねぇ。ひとついただくわ。
ありがとうございます。
次の客も、
この黄色い花はどんな幸運が訪れるの?
えっと~。これは豊かさが舞い降りてきますのよ。心が明るくなる豊かなものが実る花ですね。
それはすばらしい。ひとついただこう。
次の客も。
このちいさな鉢植えは、どんな幸運が?
そうですねぇ。魔法の花を咲かせますわ。花のひとつひとつに願い事を聞いてくれる妖精が住み着いてくれますの。
そう。それはいただかねば。
ありがとうございます。
客もいなくなって、ようやく一息。押し車を押して帰ろうとする女性に、
お姉さん。
振り返ると、オシャレした男の子がひとり。
坊や、もう遅いのよ。早くお家に帰りなさい。
うん。
男の子は素直に返事して、
でも、お姉さん。さっき言ったお花のしあわせ。あれは本当のことだよね?
え? これにはちょっと言うにとまどっていると、
お姉さん、僕は信じてるんだよ。だから、お姉さんが信じなきゃだめだよ。
お姉さんはね、しあわせ配るかわいい魔法使いだって僕は友達に自慢してるんだからさ♪

選んだ者には魔法の国

2013-04-11 | une nouvelle




夜もふけたBarで、ひとりグラスを傾けてた老人。帰るまぎわに、
"不思議なこともあるもんだ。
この世はまるで魔法の世界じゃないか。
ワシはもうすこし冷めたシビアな世界かと思っていたんだ。だが、あの男の言うことは本当だった。
あの男は言ったんだ。この世は信じるものによって見る世界が変わってくるってな。
魔法を信じて暮らしてみなよって。
きっとうしろから魔法が追いかけてきて、ジイさん、これからはよろしくやろうぜって笑ってくれるからってさ。
それがさ・・。その通りになったんだよ。
なにもこんな話、信じてくれとは言わない。
だけど、あの男の話は本当だったんだ。それがワシの中で驚きだったんだよ。"
金を払いおえ、ドアをあけるとき、
"この世は捨てたもんじゃないらしい。それはとてもいいことだ。どこかの本に書いてある通りさ。
選んだ者には魔法の国、らしいなぁ。"