磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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人形峠ウラン鉱害裁判-核のゴミのあと始末を求めて-

2011年08月20日 | 読書日記など
『人形峠ウラン鉱害裁判-核のゴミのあと始末を求めて-』
   土井淑平、小出裕章・著/批評社2001年

図書館の説明文。下「」引用。

「足尾、水俣、そして人形峠…。日本の鉱害史の空白を埋め、核のゴミの世紀に警鐘を慣らす市民運動家と科学者の共同作業。原子力の起点のウラン採掘地で何が起きているか?」



「はじめに」 下「」引用。

「一九九九年九月三○日に起きた茨城県東海村の核燃料加工工場(JCO)の臨界事故の衝撃も醒めやらぬ同年一二月一日深夜~二日未明、鳥取県と岡山県の県境に位置する人形峠周辺で、ウラン残土の撤去を求める鳥取県東郷町の方面(かたも)地区の住民らがウラン残土の一部を自主撤去し、岡山県斎原村にある核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターに直接搬送する実力行使を行った。-略-」

しかしながら、わずか……。下「」引用。

「核燃機構といえば、科学技術庁が主管してきた国の組織であり、これから大きな問題になろうとしている高レベル核廃棄物の深地層処分の中核的な研究機関と位置づけられている。しかしながら、わずか四○年前の原子力開発の入口で自ら出した核廃棄物のウラン残土のあと始末も満足にできず、公けに結んだ住民との契約も反古にするような国の組織が、何百万何千万何万年もの管理を必要とする原子力開発の出口の高レベル廃棄物の安全性や見通しをめぐって、どんなにおいしいことを言っても誰が信用するだろうか。」

高木仁三郎いわく……。下「」引用。

「お上が何とかしてくれると思ったら大間違いで、本来ならば核燃機構の不法行為を正すべき科学技術庁も通産省も、自らの監督責任を放棄して核燃機構の不法行為を容認し助長さえしてきた。それは薬害エイズ事件の原子力版といってよく、いま亡き高木仁三郎さんが強調してやまなかったように、日本の原子力行政はプレイヤーとレフェリーが一体で、およそチェック機能というものが働かず、官業癒着ないしは官官癒着の病弊から容易に脱出できない仕組みになっている。」

病理現象……。下「」引用。

「いまは亡き高木仁三郎さんが日本の原子力の審査機構について指摘したように、「いわばレフェリー役をやっている国が、同時に推進役」であり「レフェリーとプレイヤーが一緒になって旗を振っているような状況」がここにもある。これは、ウラン残土問題に限ったことではなく、原発の安全審査から『もんじゅ」事故やJCO事故などの身内調査に至るまで、要するに日本の原子力産業と原子力行政の全般にわたってあまねく見られる病理現象なのだ。」

もくじ

“ウラン爺さん”=東善作=人形峠のウラン発見。下「」引用。

「東は米軍のパイロットとして第一次世界大戦に参戦し、アメリカ・ヨーロッパ・アジアの三大陸の横断飛行を三回もやってのけ、第二次世界大戦後に日本に帰ってきてからというもの、ガイガー・カウンターを肩に北海道から九州の屋久島まで、全国各地を歩き回ってウラン探しに没頭した。
 その東が人形峠の北西に位置する鳥取県倉吉市の小鴨でウラン鉱を発見したのがきっかけとなり、東の即席を追跡した通産省工業技術院地質調査所による一九五五年一一月の人形峠のウランの露頭の発見へと至る。-略-」

小出裕章、市民グループと共に。下「」引用。

「この時期になると、京大原子炉実験所の小出裕章が鳥取県の市民グループと共に、鳥取県東郷町の方面地区でウラン残土撤去運動の先頭に立つ元採掘労働者の榎本益美さんの協力を得て、ウラン残土の放射能による環境汚染調査に精力的に取り組み、これが次々公表されて方面地区におけるウラン残土撤去運動に科学的根拠と大きなはずみを与えることになった。」

検出「記事1……モミ(※)から放射性物質」



ラジウム226。下「」引用。

「ラジウム226の放射能毒性は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による食品汚染で問題になったセシウム137より四九倍も強いので、方面貯鉱場跡のタケノコのラジウム226の放射能はセシウム137の四八○ベクレル/キログラムに相当し、国の放射能汚染食品の規制値たる四七○ベクレル/キログラムを越えてしまうほどの汚染であった。-略-」

「肺ガンを誘発する恐怖のラドン」 下「」引用。

「ウラン鉱山の被曝で一番の脅威は、何といってもラドンである。国連科学委員会よると、自然放射線による人間の被曝の約半分は、ラドンとその娘核種によるものである。ラドンは無味無臭の気体で空気より七・五倍も重く、世界中どこでも大地や岩石からしみ出していて、最近は石材などによる室内の汚染が問題となっているが、チェコや北米でも多数の肺ガンの犠牲者を出したことで知られるように、とりわけウラン鉱石の被曝の主役をなす危険な放射性核種である。チェコとドイツの境界に位置するエルツ山脈には、ウランを含有する銅やコバルトの鉱山があって、一六世紀ごろからこの鉱山の労働者に「肺の奇病」が多発し、一九世紀末になってこの奇病の正体が肺ガンと判明し、その後の調査でウラン鉱山労働者の約半数がラドンとその娘核種による肺ガンで死亡していたことも分かった。」

米国でも……。「コロラド高原の悲劇」 下「」引用。

「米国でも一九四○年代以降、原爆製造のマンハッタン計画により、同じ悲劇が大規模に繰り返され、米国有数のウラン鉱山地帯のコロラドでは、やはりウラン鉱山労働者の肺ガン死が「恐ろしい流行病」として「コロラド高原の悲劇」の名で伝えられることになる。」

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「二転三転したウラン残土の撤去先」

「安全性に問題はない」が原子力村の伝統芸か? 下「」引用。

「しかしながら、その覆土実験とやらも、ウラン残土のひとつまみをコンクリート製のマスに入れて土を被せると表面の放射線量が減ることを示し、「コンクリートピット方式によるウラン残土の方面現地保管は安全」ということを実証するという内容で、対策会議の松永忠君議長が「方面現地への残土永久保安案をねらったまやかしの調査・試験」と批判する抗議生命を出し、実験への立ち会いを断った方面地区自治会の山本良照会長も、「土で覆えば放射線量が減るのはわかりきったこと。方面から残土の撤去を求める方針は変わらない」と語った通り、実に馬鹿げた子供だましのお芝居であった。ごていねいにも、この実験に立ち会った専門会議のメンバーは、例によって例のごとく「安全性に問題はない」と型通りのコメントをしたが、幼稚園や小学校の学芸会でもあるまいし、聞く方が恥ずかしくなるような見え透いた口上はいい加減にしてもらいたいものだ。」

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小出認める……。下「」引用。

「小出裕章も認めるように、ウラン残土を堅い花崗岩の岩盤内の斜坑トンネルで永久保存するという構想は、その土地にウランの鉱脈がないことが地質調査で十分保障されるならば、少なくとも「放射能の閉じ込め」という観点からは技術的に「合理的」な案と考えられる。-略-」

「地権者も土地明け渡しと慰謝料を請求」

「人為的に高められた天然放射線」 下「」引用。

「-略-しかし、人為的な作業によって人類がラドンから被害を受けてきた歴史は長い。ドイツとチェコの間にはエルツ山脈があり、その周辺の鉱山労働者の間に肺の病気による死亡が多いことは一六○○年より前から知られていた。その原因が肺癌であることが分かったのは一九世紀末になってからであったし、その肺癌の原因がラドンによる被曝かもしれないと考えられたのは、一九二○年代に入ってからであった。
 「戦争の世紀」とも呼ばれる二○世紀に入ってウラン鉱山での労働はますます過酷になり、多数の労働者が劣悪な環境の下でラドンの犠牲になった。-略-」

政府統計のウソ。下「」引用。

「結局、日本はウランを全量海外から購入しているが、馬鹿げたことに、政府の統計は原子力を国産エネルギーに含めている。」







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