磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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沖縄戦が問うもの

2010年09月16日 | TOP【もくじ】
『沖縄戦が問うもの』
   林博史・著/大月書店2010年

--総論的な本です。

帯に書かれてあります。下「」引用。

「我々は、幾たび沖縄に“捨て石”を強いるのか--
くりかえす苦難と矛盾の原点にある沖縄戦。その全容を、「集団自決」や住民動員のあり方など33の論点から多角的に検証。沖縄戦を「問い」として現在に引き継ぐための、第一人者による入門書。」



「なぜ「集団自決」への日本軍のかかわりが問題になるのか」
「自由主義史観研究会」が問題提起。下「」引用。

「ここで焦点となった「集団自決」問題をとりあげたグループである「自由主義史観研究所」は、この問題が「日本軍の名誉に関わるものであり、児童生徒の健全な歴史認識及び国防意識の育成にとって見過ごすことができない」(『歴史と教育』二○○五年四月)としている。つまり旧日本軍の名誉を回復することと、今日における国防意識の育成が切り離せないと考えていることがわかる。」

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自衛隊との関わり……。下「」引用。

「自衛隊が、今日の「日本軍」として戦争に参加するうえで、軍隊への信頼と忠誠を得る必要がある。軍隊は、市民に命を投げ出すことをも求めるので、そのために無条件の忠誠を確保しようとする。だから、その国の軍隊が間違ったことや犯罪を犯したという事実を認めようとしない傾向がある。」

フィリピン人を人質にした日本軍、マニラ戦。下「」引用。

「日本軍はフィリピン市民を人質状態で監禁し、そのことによって米軍の砲撃の犠牲としただけでなく、組織的に多数の市民を虐殺した。ベイビューホテルに多数の女性を監禁し集団レイプしたケースは、日本軍による残虐行為として際立っていた。また同盟国のドイツ人や、中立国のスイス人、スペイン人ら白人たちも虐殺の対象とされた。敵国民とみなされたフィリピン人の人々と、沖縄の人々に対する日本軍の対応を同じだと言い切れないにしても、民間人であっても敵の保護下に入ることも許さず、犠牲を強いた点では共通している。」

南京大虐殺の軍隊が沖縄戦へ。下「」引用。

「第三二軍司令官の牛島満中将は、歩兵第三六旅団長(少将)として一九三七年の南京攻略戦に参加していた。同旅団が属した第六師団は南京大虐殺を実行しているので、彼の旅団もこの一連の残虐行為にかかわっていたと見られる。
 第三二軍の参謀長を務めた長勇中将も上海派遣軍司令部の情報主任参謀(中佐)として南京攻略戦に参加、指揮下の師団から、捕虜をどうするのかという問い合わせに「ヤッチマエ」とくりかえし命令していたことが知られている。彼は、第三二軍参謀長として、沖縄の新聞紙上で、県民が餓死するといっても食糧をやらないと公言していた」

南京大虐殺の参謀長長勇は沖縄32軍の中将

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根こそぎ動員された沖縄住民。

沖縄戦での疎開とは……。下「」引用。

「疎開とは、軍の戦闘の邪魔になる者は去れということであり、飢え死にしても軍は知らないというのである。実際に沖縄戦の中でその通りのことが続発した。」

捏造記事。下「」引用。

「また人々を駆り立てるために嘘の記事もつくられた。『朝日新聞沖縄版』一九四二年九月一○日付に、危篤の子どもをおいて、あえて五日間の軍事訓練に参加した人が美談として報道されているが、これは戦意高揚のために捏造された記事だった」

軍神大桝」キャンペーン。

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組織的におこなわれた……。下「」引用。

「日本軍による住民虐殺、スパイ視は、決して一部の心ない将兵によるものだけではなく、日本軍の組織的な犯罪だった。沖縄戦の中で、住民をスパイ視する宣伝が軍や県、新聞などによってなされていたことが、西原だけでなく各地で同じような事態を引き起こす要因になったのではないだろうか。」

ハンセン病患者の沖縄戦。下「」引用。

「一九四○年時点で日本全国に一万五七六三人の患者がいたが、沖縄では一四五三人だった。有病率(人口比)では沖縄は本土の一八・五倍という高い比率を示していた-略-
 沖縄戦においては、住民は根こそぎ動員する戦時体制の強化が、同時にハンセン病患者の隔離政策の徹底化を意味することとなった。
 二つの療養所に収容された患者たちの自活を余儀なくされ、なおかつ壕堀りや食糧増産作業に狩りだされた。-略-」

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「障害者の沖縄戦」 下「」引用。

「障害者の沖縄戦の体験についてはまだ知られていない。障害者の場合、健常者よりも悲惨な死に方をしたことも少なくなく、そのため遺族が証言をしない。あるいは語ったとしても公表することを拒む場合も少なくない。またろうあ者の場合、通常の聞き取りという方法ができないということもある。
 耳が聞こえないと、米軍機が飛んでいてもわからないので外を歩いていて、スパイだとみなされたり、そのために攻撃を受けて、まわりの人々からはあなたのせいで攻撃されたと非難されることになる。-略-」

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「非国民」が命を救った。下「」引用。

「沖縄戦の中で、住民たちを守ったのは誰だったのだろうか。少なくとも日本軍ではなかった。住民を守ろうとした軍人はいたが、それは個人的な行為であって、軍としての組織的な行為ではなかった。
 住民たちを守った人々は、日本軍や政府の命令、教えに反して行動した人である。」

「非国民」 下「」引用。

「確かに軍や政府の宣伝や教育にだまれさていた人々が多かったが、他方、そうした嘘を見ぬき自分の頭で状況を考え判断し行動した人たちも決して少なくなかった。かれらは当時の言葉でいえば「非国民」であったが、その「非国民」こそが多くの住民の生命を救ったのである。このことは国家の言うことを批判的にとらえ、自らの頭で考えることの大切さを示している。」







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