『文藝春秋 2011年12月号』
木俣正剛・編/文藝春秋2011年
特集名 大型企画 真相開封35
「朝日新聞 私は原発批判記事を書いて左遷された」吉本光一(元朝日新聞科学部記者)。 下「」引用。
「福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から半年が過ぎても、地上に降り積もった大量の放射性物質や汚染水の処理は、捗っていない。「想定外」が言い訳のように繰り返されている。しかし、朝日新聞科学部記者だった吉本光一氏が、この種の「重大事故」は仮想の絵物語でなく、それに備えない限り原発の安全性は保証されない、と問題を提起したのは、三十九年前のことだった。」
「朝日ジャーナル」 下「」引用。
「筆者は一九七二年、「疑惑深まる軽水炉の安全性」(「朝日ジャーナル」、六月二十三日号)、「原子力めぐる市民の選択」(同、八月十一日号)を発表した。そして、原子炉のカラ焚きなど重大事故を訴えたのが、九月に発表した「問われる原子力利用の安全性」(中央公論別冊・経営問題」秋季号)だった。
論文では、主として次の三点について論じた。
一・原子炉のカラ焚き防止の方策が万全といえない
二・原子力利用の安全性確保は開発に携わる研究者だけが担う問題でない
三・原子力利用をめぐる原子力研究者と国・社会との「契約」」
「発表直後に出された転勤辞令」 下「」引用。
「この問題提起は、原発を否定するものではなく、原発とわが国社会が共存するための条件を提示したにすぎない。筆者に、当時在籍していた東京本社科学部から北海道支社報道部へ、突然の転勤の辞令が出されたのは、雑誌の発売日から三週間ほどたった後だった。発令は十月一日付、論文を掲載した雑誌の発行日と同じだった。-略-」
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「水谷功 東京電力と小沢一郎事件をつなぐ「この男」」森功(ノンフィクション作家)。下「」引用。
「東京電力・福島原発と、「政治とカネ」問題で裁判の渦中にある小沢一郎・元民主党代表の政治団体への違法献金で名前のあがったゼネコンは、東電から原発がらみの工事を受注し、そこには不透明な金の流れが浮かび上がる。政治家・東電・ゼネコンを結ぶ人脈の中心にいたのが“最後のフィクサー”白川司郎である。-略-」
「水増し工事から数億円が流れる」フィクサー白川。下「」引用。
「○六年七月、水谷は十一億円もの巨額脱税事件で東京地検特捜部に逮捕される。このとき脱税の原資と疑われたのが、東電発注の福島第二原発残土処理事業における水増し工事だ。六十億円の事業費のうち、数億円が白川周辺に流れたのではないか、という疑いが浮上。白川だけでなく、東電会長の荒木に対する捜査もおこなわれた。
「水谷建設は、白川さんのお陰で原発事業に携わってきた。水谷さんと白川さんは敦賀原発で知られる福井県の原発建設からタッグを組んで工事に携わっている。まるで兄弟分のような仲だと思います」
水谷建設の取引先業者はそう振り返る。白川は水谷の自家用ヘリに同乗し、原発建設現場を視察に訪れる。そんな間柄だ。
そんな白川司郎も昨年、自宅にまで担保を設定され、絶体絶命かのように見られた。だが、実はそうではなかった。西松建設関係者が言葉を足す。
「四十億円の貸金は、昨年中に半分くらい返済してきています。一年も経たないうちに二十億円も返すとは、タダものではない。その力の源泉はやはり東電との関係でしょうね」
自ら経営する警備会社「ニューテック」で青森県六ヶ所村にある「核燃料サイクル施設」の警備を受注。東電も出資し、発電所の使用済み核燃料を処理するプルトニウム生産工場だ。関係者を驚かせた自宅の担保設定。四十億円もの借入は、核燃料サイクル施設の警備による収益をはじめとした東電の仕事で返済してきたとみて間違いないだろう。-略-」
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木俣正剛・編/文藝春秋2011年
特集名 大型企画 真相開封35
「朝日新聞 私は原発批判記事を書いて左遷された」吉本光一(元朝日新聞科学部記者)。 下「」引用。
「福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から半年が過ぎても、地上に降り積もった大量の放射性物質や汚染水の処理は、捗っていない。「想定外」が言い訳のように繰り返されている。しかし、朝日新聞科学部記者だった吉本光一氏が、この種の「重大事故」は仮想の絵物語でなく、それに備えない限り原発の安全性は保証されない、と問題を提起したのは、三十九年前のことだった。」
「朝日ジャーナル」 下「」引用。
「筆者は一九七二年、「疑惑深まる軽水炉の安全性」(「朝日ジャーナル」、六月二十三日号)、「原子力めぐる市民の選択」(同、八月十一日号)を発表した。そして、原子炉のカラ焚きなど重大事故を訴えたのが、九月に発表した「問われる原子力利用の安全性」(中央公論別冊・経営問題」秋季号)だった。
論文では、主として次の三点について論じた。
一・原子炉のカラ焚き防止の方策が万全といえない
二・原子力利用の安全性確保は開発に携わる研究者だけが担う問題でない
三・原子力利用をめぐる原子力研究者と国・社会との「契約」」
「発表直後に出された転勤辞令」 下「」引用。
「この問題提起は、原発を否定するものではなく、原発とわが国社会が共存するための条件を提示したにすぎない。筆者に、当時在籍していた東京本社科学部から北海道支社報道部へ、突然の転勤の辞令が出されたのは、雑誌の発売日から三週間ほどたった後だった。発令は十月一日付、論文を掲載した雑誌の発行日と同じだった。-略-」
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「水谷功 東京電力と小沢一郎事件をつなぐ「この男」」森功(ノンフィクション作家)。下「」引用。
「東京電力・福島原発と、「政治とカネ」問題で裁判の渦中にある小沢一郎・元民主党代表の政治団体への違法献金で名前のあがったゼネコンは、東電から原発がらみの工事を受注し、そこには不透明な金の流れが浮かび上がる。政治家・東電・ゼネコンを結ぶ人脈の中心にいたのが“最後のフィクサー”白川司郎である。-略-」
「水増し工事から数億円が流れる」フィクサー白川。下「」引用。
「○六年七月、水谷は十一億円もの巨額脱税事件で東京地検特捜部に逮捕される。このとき脱税の原資と疑われたのが、東電発注の福島第二原発残土処理事業における水増し工事だ。六十億円の事業費のうち、数億円が白川周辺に流れたのではないか、という疑いが浮上。白川だけでなく、東電会長の荒木に対する捜査もおこなわれた。
「水谷建設は、白川さんのお陰で原発事業に携わってきた。水谷さんと白川さんは敦賀原発で知られる福井県の原発建設からタッグを組んで工事に携わっている。まるで兄弟分のような仲だと思います」
水谷建設の取引先業者はそう振り返る。白川は水谷の自家用ヘリに同乗し、原発建設現場を視察に訪れる。そんな間柄だ。
そんな白川司郎も昨年、自宅にまで担保を設定され、絶体絶命かのように見られた。だが、実はそうではなかった。西松建設関係者が言葉を足す。
「四十億円の貸金は、昨年中に半分くらい返済してきています。一年も経たないうちに二十億円も返すとは、タダものではない。その力の源泉はやはり東電との関係でしょうね」
自ら経営する警備会社「ニューテック」で青森県六ヶ所村にある「核燃料サイクル施設」の警備を受注。東電も出資し、発電所の使用済み核燃料を処理するプルトニウム生産工場だ。関係者を驚かせた自宅の担保設定。四十億円もの借入は、核燃料サイクル施設の警備による収益をはじめとした東電の仕事で返済してきたとみて間違いないだろう。-略-」
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