『平和へのさざなみ RIPPLES TO PEACE
原爆の写真から生まれた中学生たちの詩』
井尻登美代〔編〕/NHK出版2002年
このような先生がおられるのですね……。ボクは宮沢賢治やジョン・レノンのファンなので、一人でやっていました。
中学校の授業で、写真をみて詩をつくるという。やりたくない人にはきついことかもしれません。心がないと書けませんからね。下「」引用。
「井尻富美代(川崎市立南河原中学校教諭)
「写真から想像力をふくらませて、皆さんに詩を書いてもらいます」
「えぇー! 難しそう!」「どんな写真?」「できるかなあー?」
戸惑いを隠せない生徒たちの表情が、いまでも思い出されます。その授業は、私にとっても初めての試みで、少々不安がありました。しかし、一年生、二年生で行なった様々な創作活動のなかで彼らが見せた豊かな感性を確信していた私は、きっと今回も素敵な詩を書いてくれるだろうと思っていました。
「写真から詩を書かせよう」という発想は、教科書での学びの発展として、何らかの表現活動をさせたいという思いから生まれました。」
『想像力』=イマジン。ジョン・レノンの歌を思い出しました。下「」引用。
「『ヒロシマ・コレクション』のあとがきに、「たんなる表層を撫でることはできても、深く読み込むことは至難の業といえるでしょう。その至難の業を可能にしてくれるのは、他人に対する愛に支えられた『想像力』です」という土田ヒロミさんの文章があります。この考えには、私が詩作を通して生徒たちに望んでいたことと同じでした。経験をした人にしかわからないことがあると思います。しかし、その状況をできる限りしっかりととらえ、想像力を駆使して、理解しようとすることは可能だと思います。生徒たちは私の意図を理解した上で、卒業後もこの学習で得たことを生かしてくれることを知り、嬉しく思いました。」
index
一枚の写真といっても、一人一枚ではなく、好きな写真を一枚選んだということで、一枚の写真に何人もが書かれてもいます。
では、ボクも。
イマジンします……。
ただ言われて、ここまで弟を背負ってきた。
荼毘にふすために……。
死後、それほどたっていない……。
それは死後硬直していない……。
少年はたっていた。
--直立不動、そのつもりだったが……。
背中の弟は重く、上体は前に傾く……。
--直立不動……。
少年は軍国主義の時代に生れた……。
兵隊さんが憧れの職業だった。
学校でも教師が兵隊さんの素晴らしさを教えてくれた……。
--少年は直立不動。
こんな苦しいときこそ、兵隊さんのように……。
だけど、少年は海のむこうの兵隊さんが、こんな状況をつくったとは思えなかった……。
--鬼畜米英。
それすら、今は脳裡にはない……。
強く、強く、強く……。
心臓はただそううっていた……。
苦しんでいた弟を、
冷たくてかたい土の上にはおきたくない。
--ボクはお兄ちゃん!
これは、夢……。
まさに夢かもしれない……。
--弟は……。
夢であってくれ……!
兵隊さんは、どんな時にも泣かないぞ!
--そう心の中でいって、自分自身をはげます少年……。
この写真は↓の本より。
トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録
もくじ
目 次
index
原爆の写真から生まれた中学生たちの詩』
井尻登美代〔編〕/NHK出版2002年
このような先生がおられるのですね……。ボクは宮沢賢治やジョン・レノンのファンなので、一人でやっていました。
中学校の授業で、写真をみて詩をつくるという。やりたくない人にはきついことかもしれません。心がないと書けませんからね。下「」引用。
「井尻富美代(川崎市立南河原中学校教諭)
「写真から想像力をふくらませて、皆さんに詩を書いてもらいます」
「えぇー! 難しそう!」「どんな写真?」「できるかなあー?」
戸惑いを隠せない生徒たちの表情が、いまでも思い出されます。その授業は、私にとっても初めての試みで、少々不安がありました。しかし、一年生、二年生で行なった様々な創作活動のなかで彼らが見せた豊かな感性を確信していた私は、きっと今回も素敵な詩を書いてくれるだろうと思っていました。
「写真から詩を書かせよう」という発想は、教科書での学びの発展として、何らかの表現活動をさせたいという思いから生まれました。」
『想像力』=イマジン。ジョン・レノンの歌を思い出しました。下「」引用。
「『ヒロシマ・コレクション』のあとがきに、「たんなる表層を撫でることはできても、深く読み込むことは至難の業といえるでしょう。その至難の業を可能にしてくれるのは、他人に対する愛に支えられた『想像力』です」という土田ヒロミさんの文章があります。この考えには、私が詩作を通して生徒たちに望んでいたことと同じでした。経験をした人にしかわからないことがあると思います。しかし、その状況をできる限りしっかりととらえ、想像力を駆使して、理解しようとすることは可能だと思います。生徒たちは私の意図を理解した上で、卒業後もこの学習で得たことを生かしてくれることを知り、嬉しく思いました。」
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一枚の写真といっても、一人一枚ではなく、好きな写真を一枚選んだということで、一枚の写真に何人もが書かれてもいます。
では、ボクも。
イマジンします……。
ただ言われて、ここまで弟を背負ってきた。
荼毘にふすために……。
死後、それほどたっていない……。
それは死後硬直していない……。
少年はたっていた。
--直立不動、そのつもりだったが……。
背中の弟は重く、上体は前に傾く……。
--直立不動……。
少年は軍国主義の時代に生れた……。
兵隊さんが憧れの職業だった。
学校でも教師が兵隊さんの素晴らしさを教えてくれた……。
--少年は直立不動。
こんな苦しいときこそ、兵隊さんのように……。
だけど、少年は海のむこうの兵隊さんが、こんな状況をつくったとは思えなかった……。
--鬼畜米英。
それすら、今は脳裡にはない……。
強く、強く、強く……。
心臓はただそううっていた……。
苦しんでいた弟を、
冷たくてかたい土の上にはおきたくない。
--ボクはお兄ちゃん!
これは、夢……。
まさに夢かもしれない……。
--弟は……。
夢であってくれ……!
兵隊さんは、どんな時にも泣かないぞ!
--そう心の中でいって、自分自身をはげます少年……。
この写真は↓の本より。
トランクの中の日本 米従軍カメラマンの非公式記録
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