VIII.黄色の部屋(虹の世界) D098.[イエロー・ルーム] 「うわー、まぶしいな」カールは叫んだ。 ユリカは「光がいっぱいって、感じよ」と嬉しそうだ。 そして、風は吹いていなかった。しかし、風が吹くことは大切なことである。風が吹かねば、飢饉が起こることだってあるのだ。 しかし、そんなことをユリカもカールも考えてはいなかった。なぜなら、この黄色の世界は誠に気分がいいのである。 「ここが、黄色の部屋か」 カールは、うっとりしている。 ユリカは、 「あ~あ」 と言いながら背のびをした。 それから、ユリカはわらの山の上に寝ころんだ。 ユリカは、とってもゆったりとした気持ちになった。 そして、ユリカは、 「わたし、なんだか」 とカールに言った。 カールは、にたにたして、 「なんだか……」 と、陽気にきいた。 ユリカは、しみじみと話す。 「わたし、なんだか、ママがきらいじゃなくなったの」 「そう、それはよかったね」 カールは、とても喜んでくれた。 ユリカは、 「なんだか、楽しい」 とカールに話した。気分がとても軽く感じるのである。 カールは、 「そう、前途に光明を見いだしてきたね」 と難しいことを言った。 「どういうこと」 「望みがでてきたってことさ」 ユリカは、カールを見て、あることに気がついた。 「あっ、カール」目をぱちくりさせた。 カールは、のん気に、 「なぁに」 とだけ、返事した。カールは眠いのである。ほっとしたからだろう。 「あなたの体から二色しか光が出ていないわよ」 ユリカは指さして言った。 「あっ、本当だ」 カールは驚いていた。 「どういうことかしら、だいだい色と、赤色だけよ」 ユリカは考えこんだ。 「きっと、むらさき、あい色、青、みどり、黄色の部屋は通ったからだよ」 カールは、わかったようなことを言った。 「じゃ、あと、ふたつの部屋を通れば、地上に帰れるのね」 ユリカは、のん気に言った。
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