浜松といえばウナギですよね。
浜松随一の温泉地である舘山寺で働いていて、一番良く聞かれる質問が、「美味しい鰻を食べたいんだけれど...」というもので、困惑しながら地元の有名店「志ぶき」「うな修」「清水家」を並べて薦めるんだけど、本当を言うと、私はこのどれをも、自分で食べてみた事が無い。(だってウナギ高いもん)
こんな私も生まれも育ちも浜北原人ですから、小さい頃からウナギはよく食べ、(ギョウザと違って)今でも大好物だ。だけど、ウナギってのは親が「美味しい」と聞いてきた浜名湖畔の小売店で買ってきたものを、家で焼いて食べるのがメインで(スーパーで売ってるようなのも良く買う)、有名店ってほとんど行った事無いです。一般な浜松人ってどのくらいお店に食べに行くものなのだろうね。普通は家で食べちゃうんじゃないかね。市内の有名店はほとんどが観光客向けのものですよね。
一番困るのが、「地元の人しか知らないような隠れた名店を教えてください」って聞かれる事ですけど、、、、 知らねーよバカ。恐らく鰻屋って隠れて通うようなところじゃねーよ。(大概そんな人には「志ぶき」を薦めます)
が、「志ぶき」「志ぶき」って言い続けて、その志ぶきに一度も行った事のない人の良い私は、そろそろ罪悪感を覚えてきた。ほんとーにオイシイんだろうな? そもそも浜松市はうなぎ屋だらけなんだが、確かに他の諸都市と較べると異様な状況ではある。ウナギ都市ハママツ。その全てのお店に通うのは無理としても、舘山寺にある鰻屋ぐらいは自分で網羅してみたい。もしかしたら志ぶきよりも自分の好みに合うお店があるのかも知れない。そんなことを思って、探求の記録の為にこのブログに、「浜松グルメ」という新しいカテゴリーを作ったのでした。今の俺は凄く気負ってるぜ!
私のケータイにはつねづね鰻ストラップが(^^)
で、行ってみた。
浜松は全体がウナギ都市なのでウナギ屋なんてどこにいってもありますが、舘山寺町においてもその集中はいちぢるしく、まあ、舘山寺だけでウナギを食べ続けていてもきっと3年分に足るだろう。その店舗は志ぶきを始めとして、うな修、舘山寺園、浜乃木、松の家、うな助(関西風)、レストピア山崎、日の出(旅館)、かどや(蕎麦屋)、喜福、浜寿し(寿司屋)、弥平次、うなぎ家(ホテルさざなみ館の併設施設)などなどがあります。
舘山寺町は浜名湖に面しているので、うなぎ屋がたくさんあるのがあたりまえなんです。では、その歴史がどのくらい古いのかというと、、、
残念ながら、他の地域同様、最初期の情報はほとんどわからないですね。志ぶきのサイトを見ても、歴史的なことはほとんど書いてない。
舘山寺で現在残っているお店では、志ぶきより舘山寺のお寺により近い浜乃木が昭和20年創業で一番古く、志ぶきは昭和32年(1957年)の始まりだという。近隣の店も(舘山寺地区では)おおむね昭和30~40年代の始まりであります。
昭和31年に舘山寺遊園地の開発が始まり、昭和33年に舘山寺温泉の第1源泉が発見され、ロープウェイが開業したのが昭和35年なので、この周辺で観光ブームがあったのです。それ以前から舘山寺温泉は「景勝地」として知られていたのですが、「うなぎ屋」があったのかどうか、非常に気になる。
とはいえ、創業から55年も経っていますから、このお店は非常な老舗です。いまでは圧倒的な安定感で、この土地でお客を集めています。
私がお店が入ったのは午後7時過ぎ。お店はほぼ満員状態。観光客っぽい親子連れがめだちました。有名店ですからね。
すかさず上うな重(2200円)を注文。
(※このメニューは3月中旬から2400円に値上げされたようです。厳しい時節だなぁ…)
すごく良い色、とても香ばしい香り。
ひとかじりしてみますと、、、、 うん?
なんかちょっとした違和感があったのです。
うなぎといったらわたくしには「ふっくら」「やわらか」しているという印象があるのですが、
志ぶきの一口目には、それがなかったのです。
むしろ「香ばしい」「カリカリしている」と言いたくなる。
かなり丹念に焼かれているようで、「苦い」となる一歩手前まで絶妙に焼かれている。
かつて仕事上の知人に「志ぶきは辛い」と言われたことがありますが、
それが納得できるタレの味。
もちろん、美味しいですよ。
だがそれで、どうして「違和感を感じる」と私が言うのかというと、
食べログ等で、「ふっくら」「柔らかい」「タレが多め」などという意見を見ていたからです。
「ふっくら」じゃないと思うなあ。
うな重としては、とても個性的な味と感じたです。
まず第一にうなぎの肉厚。
志ぶきの鰻は「薄い」(←厚さが)と思いました。
もちろん、志ぶきたるほどの店、極上品の鰻を使っていると思います。でも、鰻は焼けば焼くほど小さくなる。
これは、絶妙の際まで焼かれていると思いますね。
しっぽの方は「カリカリ」と言ってもいいと思いますが、でも身の上の方は「ふっくら」というほどに肉が潤っているんだなあ。これは食べていて楽しい。
部位によるこの違いを味わうのが志ぶきのうなぎなんだ、そう思いました。
一番気になったことは、志ぶきの鰻には「小骨が目立った」ということです。
鰻の骨はとても小さく柔らかいので、たとえたくさんあっても気になる物ではないのですが、志ぶきのウナギはその食味もあってか、骨さえもおいしい歯応え、と感じました。
食べたのは「うな重の上」でしたが、食べ終わったあと「まだまだ食べたい」と思わせるぐらいでして、
でも追加でウナギを食べるのは(高いから)躊躇われてしまって、結局、すぐに蔵前家に向かってラーメンを食べました。が、当然ながら、腹の満腹具合に胃が悲鳴をあげてしまい、蔵前家を完食するのに難儀した。あたりまえだが。
ウナギを食べ終えたあとの、あの不可思議な「腹七分目感」はいったいなんなんだろう?
5月19日に再訪しました。 今度は更に食欲が高まっていまして、「上うな重」よりも100円も高い、「うなぎサンド丼」(2500円)を注文。
このサンドでは、うなぎが三切れになるというのです。
うなぎメニューがバラエティに富んでいるのも、志ぶきの魅力のひとつです。
ついでなので、「う巻き」(800円)も注文してみましたよ。
時間は平日の正午直前でございまして、「混んでいるかな」と心配して行ったんですが、先客は一組のみ。
やっぱり春の平日はそれほどでもないんだね。
…と思ったのですが、0:00を過ぎるとどばどばどばっと人が入って、席はほぼ満杯となった。さすがや。
驚くべき事は、わたくし一人を除いて、客の全ては年配者なこと。
前回来た19:00過ぎは家族づれが主体な印象がありましたから。
昼時にウナギを食べるのは年寄りが多いだね。しかし見る限り全ての人が元気いっぱいな老人ばかりだ。さすがだ。
30分くらい待って、一拍早く出てきたのが「う巻き」。
う巻きとはウナギを卵焼きで巻いた物ですが、そんな変な物生まれてこのかた食べたことないです。ほんと美味いのか?
ただの玉子焼きとしたら、信じられねーくらい高いぞ。
だが、これがまた、すこぶる美味だった。
中にくるまれているウナギそのものは、一度カリッと焼かれているうなぎが、もう一度潤沢な玉子に絡められて焼かれてしまっているので、「カリッと」「ふわっと」感はないです。多分前日に焼いたうなぎを巻いたとしても、同じぐらいにうまいだろう。
しかし、それをくるむウナギ味の玉子の玉子焼きときたら、、、
ウナギエキスって、万能の調味料じゃなかろうか。このう巻き、抜群に美味い。この玉子の部分の濃厚なウナギ味、しばらく忘れられないぞ。ビールが飲みたーい。
が、最初の一口か二口を味わうぐらいの素晴らしいタイミングで、私のうな重登場。
うなぎサンド、初見、見た目は普通のうな重なのですが、目に見える2枚に加えて、ご飯の中ほどに、3枚目のウナギが隠されているのです。なんかこういうのは宝探し的な楽しみがあるな。こっちはもういい年したおっさんなのに。
確かこの「うなぎサンド」のメニュー、うな修にもあったな。(あっちは3500円でしたけど)
前回感じた「腹七分目感」ですが、さすがにここまでウナギとごはんの量があると感じるはずもなく、非常に満腹な感じ且つウナギを堪能した感に満ち包まれて、お店を後にすることができました。ごちそうさま。
食べかけの写真ばかりでごめんなさい。
ウナギは、食べている断面をまじまじと眺めるのが楽しい。
結局、志ぶきを人に薦めるときは「個性的」「辛い」「香ばしい」のキーワードをもってすることにしますよ。
また、うなぎづくしになれるメニューがとても多いことも志ぶきの最大の特徴で、以後、私が志ぶきを人に薦める頻度はやっぱり多いでしょう。
うなぎ寿司(2450円)や殿様御膳(3850円)、おひつまぶし(2800円)等々を食べにまた来たいな。
知人に、「志ぶきに行った時に接客で気になることがあった」と言われたことがあるんですけど、私が行った2度ではそれは感じなかったな。そういえば、一度目わたしの目の前に重をトンと置いたのはいかにも職人っぽいいかつい男の人で、おそらく前述の知人はその人のことを指して言ったと思うんだけど、私には好ましい接客だった。一度や二度行ったくらいで雰囲気を判断するのは危険ですけど。
さて、志ぶきにはマスコット・キャラがいます。
それは可愛らしいお地蔵さまで、世にゆるキャラブームが蔓延する以前からここに立っていた記憶がありますが、
このお地蔵さまは2代目なんですって。
1代目の写真は志ぶきの公式サイトにあります。
そこによると、うなぎ地蔵の功徳は「精力アップ」なのだとか。わはは。
★うなぎ専門の店 志ぶき★
浜松市西区舘山寺町2252-2
電話 053-487-0153
関東風 タレの味やや辛め
創業 昭和32年
定休日 水曜日
営業時間 (平日)11:00~15:00、17:00~20:00
(月曜日のみ 11:00~通しで16:00まで)
(土日祝) 11:00~20:00(通しで営業)
席数50人 駐車場15台
お持ち帰りうなぎ有り
http://www.shibuki.jp/shop.html
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