黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

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『池島全景 離島の《異空間》』発売

2017-05-04 05:26:28 | 池島炭鉱
黒沢永紀著の『池島全景 離島の《異空間》』は、長崎市の池島にある池島炭鉱跡の全貌を収録したビジュアル書籍。

久しぶりの更新は新刊のお知らせです!
すでに拙blog内の記事で何度もとりあげた、
長崎にある<池島炭鉱>の全貌を、
12年間にわたる取材で撮影した画像約400点と、
図やイラスト、簡単な解説でまとめた、
『池島全景 離島の《異空間》』発売です!





黒沢永紀著の『池島全景 離島の《異空間》』は、長崎市の池島にある池島炭鉱跡の全貌を収録したビジュアル書籍

※画像はクリックすると拡大します

池島は、長崎県の中部、外海(そとめ)地区から7kmの海上にある、
周囲約4km、面積約0.86㎢の小島で、
ほぼ東京ディズニーランドとシーを併せた広さの小島です。

池島にあった池島炭鉱は1959年に営業を開始し、
2001年まで操業した九州最後の炭鉱。
いわゆるエネルギー革命後の時代を操業した炭鉱なので、
その経営はオイルショックの時を除いて常に逆風でした。
しかし、そのおかげで究極のコスト削減が計られ、
国内の炭鉱が辿り着いた最終型の炭鉱ともいえます。





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海底坑道は総延長約96km(閉山時)、
採掘区域は約33,300ha(東京23区の約半分)もあり、
石炭の採掘機器をはじめとした、
最先端の各種設備が投入され、
“海底の大工場”とまで評されたほどです。





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海底坑道で人を運んだ時速50kmの「女神号慈海」号は、
炭鉱電車の中では世界最速。





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また、石炭の生産工場には「バリウェーヴ水選機」と呼ばれる、
実用化世界初の特殊な装置を備えた石炭選別機もありました。
池島には、石炭の生産工場が、
操業時の形でそのまま残っていますが、
これは国内の炭鉱跡の中でも唯一です。





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特筆すべきは、
国内初の海水淡水化装置を併設した火力発電所です。
湧き水がほとんどない池島では、
炭鉱進出の時から給水船による供給が行われていました。
しかし、増える人口への対応や、
時化での欠航による水不足解消のために、
1967年に海水淡水化の装置が開発され、
以降、島民の水はほとんどこの造水機でまかなわれたといいます。





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離島炭鉱ゆえ、軍艦島と同様に、
島の中にたくさんの炭鉱アパートが林立しています。
約50棟ある炭鉱アパートの中でも、
特に8階建てと呼ばれる4棟のアパートは、
近未来的なルックスでとても魅力的。





黒沢永紀著の『池島全景 離島の《異空間》』は、長崎市の池島にある池島炭鉱跡の全貌を収録したビジュアル書籍
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ちょっとレトロな印象の手術室は、
炭鉱が運営した鉱業所病院のもの。
事故と隣り合わせの炭鉱にとって、
設備のしっかりした病院は不可欠ですね。





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島内には、閉山後に繁殖したネコがたくさんいて、
その数は島民よりも多いといわれます。





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また、実際の坑道を再利用しての、
炭鉱見学ツアーも開催しています。
元炭鉱マンのガイドによる生の炭鉱体験は、
リアルな炭鉱を体感できる貴重なもの。





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炭鉱施設内を除いて、
ほとんどのエリアを自由に見学できることから、
軍艦島より面白いともいわれる池島。

鉄の炭鉱施設、コンクリート炭鉱アパート、
そして海や山の自然が絶妙に融合した離島の《異空間》を、
ぜひ、ご覧になって下さい。

◆池島全景 離島の《異空間》◆

価格:2,300円(税抜)
変形B5版/160ページ/オールカラー
発売元: 三才ブックス
発売日: 2017/04/29
ISBN-10: 4861999553
ISBN-13: 978-4861999550

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