台湾新幹線こと、台湾高速鉄道は2007年の開業後、在来線台湾鉄道の乗客を多数奪い取った。台湾鉄道は乗客を確保するため、各種の対策をとって台湾高速鉄道を迎え撃った。このような台湾高速鉄道と台湾鉄道だが、なぜか台湾高速鉄道の台中駅で5月23日より、そして台湾高速鉄道の高雄左営駅では5月26日よりライバルであるはずの台湾鉄道の駅弁が販売されている。
5月24日、台湾の大手日刊紙はいずれも大きな見出しで台湾高速鉄道の駅で台湾鉄道の駅弁が販売されているニュースを報じた。5月24日の大手日刊紙の見出しを見てみよう。
『自由時報』:台湾鉄道の弁当が台湾高速鉄道の駅に進出、初日は505個売れた!
『聯合報』:台湾高速鉄道台中駅で台湾鉄道の弁当販売開始
『中国時報』:台湾鉄道の弁当が台湾高速鉄道に突入、売れ行き好調
『蘋果日報』:台湾鉄道の弁当が台湾高速鉄道に進駐
台湾鉄道の弁当が台湾高速鉄道に『進駐』
大手日刊各紙の見出しに出ている『進出』、『突入』、『進駐』という言葉から今回の台湾高速鉄道の駅での台湾鉄道の弁当販売開始に対する台湾のメディアの見方が伺える。『自由時報』は『台湾高速鉄道は台湾鉄道の乗客を奪い取ったが、これらの乗客の胃袋を奪い取ることはできない』と書いた。ここで言う『胃袋』は弁当に対する支持の意味だと思う。『聯合報』は『台湾高速鉄道開業後、常に劣勢に立たされている台湾鉄道は弁当で大逆襲』と書いた。『中国時報』は乗客の話を引用して『台湾鉄道が台湾高速鉄道に攻めてきた。』と報じた。戦況の熾烈さが想像できるだろう。しかし、当の台湾高速鉄道と台湾鉄道は何とも思わないようだ。
排骨飯(豚の骨付きあばら肉)や鶏腿飯(鶏の腿)など六種類ある
台湾高速鉄道も老舗の台湾鉄道と同様に弁当を売っている。ただ、値段と味の濃さが違うだけ。台湾高速鉄道の弁当は一個台湾元120元、台湾鉄道は一個台湾元80元と台湾元100元2種類ある。台湾高速鉄道の弁当がさっぱりしているのに対し、台湾鉄道の方は比較的濃い味。台湾鉄道の弁当が売れることで、台湾高速鉄道の弁当を買う人が少なくなるのではと心配する人もいるが、台湾高速鉄道は5月23日の夕食時間の前にすでに弁当を600個あまり売った。初日に弁当を500個あまり売った台湾鉄道に負けない勢いを見せている。
台湾高速鉄道では2008年に弁当を販売し始めた。しかし、一個台湾元120元、しかもすべての列車ではなく、昼食と夕食の時間帯に運行される列車でしか販売されておらず、一編成での販売個数も十数個から三十個であるため、乗客は台湾高速鉄道の弁当を買おうとしてもなかなか入手できないのが現状。かつては「幻の弁当」と呼ばれた。このため、台北駅から台湾高速鉄道に乗る人の多くはあらかじめ台湾鉄道の弁当を買いに行く。しかし、現在、台湾高速鉄道と台湾鉄道が駅を共用しているのは台北駅と板橋駅のみ。この二つの駅で乗る人だけが台湾鉄道の駅弁を買えるわけだ。
台湾鉄道のオリジナルグッズも売っている
台湾鉄道は台湾高速鉄道のほかの駅の利用者も台湾鉄道の弁当を入手できるようにするため、台湾高速鉄道から場所を借りて駅弁を売る小さな店を設けた。初日の5月23日午後6時時点での販売個数500個あまりは台湾鉄道台中駅の一日当たりの販売数の二倍に相当するという。
現在、台湾高速鉄道台中駅で売られている台湾鉄道の駅弁は値段で分類すると、台湾元80元と台湾元100元の二種類。台湾元80元の駅弁は排骨飯、鶏腿飯など四種類。台湾元100元のものは日本式の豚カツカレーと北京ダックの二種類。この二種類は台湾高速鉄道の台中駅でしか売っていない。新聞の報道によると、日本式の豚カツカレーが最も人気が高いという。
これが人気者の日本式豚カツ弁当の外観
日本語の説明もある
人気商品豚カツカレー弁当の中身。右上のカップにカレーが。
これは『台鉄先生こと、ミスター台鉄』
台湾高速鉄道台中駅内に設けられている台湾鉄道の駅弁売り場は一番出口のAの近くにある。左営駅の台湾鉄道駅弁売り場も一番出口の近くにある。売り場に面して左側に台湾鉄道敷設120年を記念するために発売されたマスコット『台鉄先生』が置かれており、非常に目立つ。駅弁のほかにも台湾鉄道のオリジナルグッズやジュースなどが売られている。営業時間は午前9時30分から午後7時まで。
一部の乗客曰く:『台湾高速鉄道に乗りながら台湾鉄道の駅弁を食べられて最高』。皆様も一度試してみませんか(旺)
台湾高速鉄道の逆襲で、日本式豚カツ弁当もカツカレー弁当も、台湾鉄道駅で売ればいいのにな、と思います。
買ってから蓋を開けて、中味が気に入らないと言って取り替える手間が省けて客も店も、大喜びでしょう。
昔は、家鴨のゆで卵弁当があったのに、今は肉ばっかりですね。