◆ Football Kingdom ◆

日本代表、欧州リーグ、Jリーグを動画と図解にて分析。リバプールを追跡中。
そして、Leeds United を応援中!

Theater of Calcio - ACミランvsマンチェスターU 【CL06/07】

2007年05月03日 | チャンピオンズリーグ06/07
■ UEFA チャンピオンズ・リーグ06-07 準決勝2nd leg 
   ACミラン(3-0)マンチェスター・ユナイテッド
    ・前半11分 カカ(ACミラン)
    ・前半30分 セードルフ(ACミラン)
    ・後半33分 ジラルディーノ(ACミラン)

    ACミラン決勝進出


この試合の詳細は、ブログランキングにてサポーターの方のエントリーをご覧下さい。


■ 雨のサン・シーロ、Theater of Calcio

激しい雨が降りしきるサン・シーロ。
1st legを勝利したマンチェスター・ユナイテッドの選手・監督そしてサポーターは、この結果を予想していただろうか?同じイタリアのクラブ、ASローマを驚異的な得点差で地獄に落とした“赤い悪魔”もこの日の試合は悪夢のような試合だった。
また、多くのサッカーファンもACミランが魅せた戦いに“経験”という一言では片付けられない強さを感じたことだろう。そして、午後の陽射しの中でプレーするフットボーラー達にとってこの夜のサン・シーロはこの暗黒のスタジアム・・・フットボールではなく紛れもないカルチョが演じられた。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのポルトガル人ウィンガーは何度もイタリアの猟犬ガットゥーソに倒された、イングランドの若きエースも老獪なミランの壁の前でただ立ち尽くすだけだった。結果は3-0。

3週間後アテネで行われる決勝戦は、2年前のイスタンブールでの戦いと同じカードになった。「ACミラン vs リバプール」今夜勝利したACミランのメンバーにとっては過去のどんな試合よりも大きな意味を持つリベンジマッチとなるであろう。

■ ユナイテッドの敗因

◆ 守備面
この試合、試合の立ち上がりから気になったのは、マンチェスター・ユナイテッド(以下、ユナイテッド)の選手がなんとなく浮き足立っている、リズムを掴めないでいると感じたことでした。

ユナイテッドは1st legとほぼ同様のフォーメーション[4-3-3]で両ウィング的にC・ロナウド、ギグスを配置していました。そして、中盤の3枚は「キャリック、スコールズ、フレッチャー」ミランとは対照的に前線からプレスを仕掛けるのではなくいわゆる“引いたプレス”で迎撃するという守備でした。ところが、個々の選手がゾーンで守りつつも自分のゾーンに入って来た選手とボールを潰しきれませんでした。まるで、反町JAPANのような守備でコースを切っているだけのように・・・(苦笑)“相手を潰しボールを奪う”という闘志のようなものが希薄でした。逆にミランはスライディングをしても止めてやる、奪ってやるという中盤での攻防が一つのポイントだったと思います。

◆ 攻撃面 - 3トップの典型的な落とし穴
1st legでは、C・ロナウド、ルーニー、ギグスが頻繁にポジションチェンジを繰り広げ3トップの一つの攻撃の形として素晴らしいサッカーを繰り広げていたユナイテッドでしたが、この試合では皆無に等しかったと言えます。

ユナイテッドの攻撃は、やはりC・ロナウドとルーニーという2人の攻撃的なプレーヤーとギグスに依存している所が大きいのですが、この中でも攻撃の起点はなんと言ってもC・ロナウドです。ところがその攻撃の起点を潰されていました。厳密には、ミランの守備システムのはまってしまっていました(詳しくは後述)
1st legではスコールズやフレッチャーが後方から攻撃参加をして“チームとしての攻撃の厚み”を感じさせましたユナイテッドでしたが、この日は全くもってナッシングでした。この3トップが各ポジションで孤立。

準決勝のもう一試合「リバプールvsチェルシー」のチェルシーでも感じたのですが、3トップの場合、2トップのケースとは異なり前線での選手の距離間などが難しく今回のユナイテッドのように孤立したり攻撃に厚みが出ない事があります。例えば、シンプルな局面として見れば、ミランは2CBでルーニーをケアすれば良い訳です。チェルシーもドログバがリバプールの2CB(キャラガー、アッガー)に封じ込まれていました。

ルーニーにロングボールを放り込んでもネスタが競り勝っていましたし、ただでさえ中央からのコースは開けてくれないミランですので、そうなると必然的にサイドへ・・・しかし、そのサイドも潰されてしまった。それこそ、リバプールのようなハイタワーのFWがいれば放り込んでという別のルートも出来るのでしょうけど・・・サッカーにおいて攻守は、表裏一体のもので、必ずしもミランの守備だけが良かった訳ではなく攻撃も良かったと思います。その反射的結果がユナイテッドに現れたと思います。

■ ACミランの勝因

ミランは、自分達のリズムでサッカーをしていたように思えました。このことが顕著に現れたのが前半で決まった2ゴール(カカ、セードルフ)だったように思えました。
また、ミランはマルディーニを欠いていたのですが、その分チームとしてまとまっていたような気がしました。個人的にマン・オブ・ザ・マッチの活躍をしたのは、ガットゥーソだと思います。また、ゴールを決めることは出来なかったものの、インザーギがFWに入った事により守備から攻撃へシフトする際のバランスが良くなったと思います。詳しくは後述。

◆守備面 - C・ロナウド封じ
この試合、ACミランとしては絶対に封じ込めなければならないユナイテッドの選手は、クリスチャーノ・ロナウドでした。左のウィングに位置したC・ロナウドですが、ミランは右SBのオッド、そして右SHのガットゥーソのWチームで完璧に封じ込んでいました。後半はC・ロナウドもこの辺を把握してPA付近でわざとつっかけてFKを取ろうとしていましたね。しかし、ゴールには繋がらなかった。

前述の通りユナイテッドのに対して前線からプレスを仕掛け後方からのパスコースを限定。そして、サイドへ意図的に追いやりそこで潰す。このような守備システムでユナイテッドに攻撃の形を作らせませんでした。

 1.前線からユナイテッドのCBなどにプレスを仕掛け、中央へのパスコースを消し、サイドへ意図的に展開させる。
 2.ユナイテッドの次の起点は、両ウィング(ギグス、ロナウド)ここでミランはWチームでボールを奪う。


◆攻撃面 - インザーギ効果?とカカのプレースタイル
一応、フォーメーション図は便宜上[4-4-1-1-]としていますが、場合によっては、[4-3-1-2]のような形で「インザーギ、カカの前線。その下にセードルフ」という形も攻撃時には、随所で見られました。また、この日のインザーギは交代する後半22分まで勢力的に前線から守備をしていました。

試合後のインタビューで自らのプレースタイルの変化についてカカ自身が語っていました。
さらなる向上とは、複数のポジションでプレーできるようになることも意味している。

「僕は以前に2トップの後ろでプレーするのが好きだと言っていた。それからややこしいことになった。今は、トップ下でプレーすることもFWとしてプレーすることも覚えなければならない、と言っておきたい。それでうまくいきつつある」

引用元:スポナビ -
ミランのカカ「自分自身の最高点に達した」

個人的には、この試合に出場した2人の選手、カカ(ACミラン)とC・ロナウド(マンチェスターU)が現在最高峰の攻撃的MFだと思っています。それは、昔のようなトップしたでゲームをコントロールするタイプのMFが絶滅したと言っても良い昨今の欧州サッカーシーンにおいて攻撃的MFに求められるのは、フィニッシュへ繋がるパスではなく、自らフィニッシュへ持ち込むプレーだと思うのです。また、伸びしろのある2人ですのでさらなる成長を遂げるのではないかと思っています。

■ ACミランの3ゴール

◆ ACミラン、1点目(カカ)
◆ ACミラン、2点目(セードルフ)

◆ ACミラン、3点目(ジラルディーノ)
(2つのシーンで省略)
 
 

最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
よかったらクリックお願いします。
最近、Jリーグの試合に関して書いていなかったので、もしかしたらGW中に1試合くらい書く予定です。

■ リンク - ブログ検索 
PING受信対応の人気ブログランキング/blog検索サイト。ブログ連動プロフィールや便利なアフィリエイトツールを提供中。芸能人ブログランキングが人気!
にほんブログ村 サッカーブログへブログランキング・ブログ検索ポータルサイトのにほんブログ村。
人気ブログランキング、ブログ検索、トラックバックセンター、アンケート掲示板などが大人気(無料)
人気ブログランキング【ブログの殿堂】
ブログの殿堂は人気ブログや話題の記事をユニークな視点で集めたブログポータルサイトです。

■ ピックアップ 過去エントリー | ワールドカップ、日本代表、Jリーグ、欧州サッカー、その他
ドイツW杯ドイツW杯 総括
日本代表ジーコJAPAN『W杯ドイツ大会、総括』
敗因と日本サッカーの一つの問題点 - 日本vsブラジル【プレーバック ドイツW杯】
(オーストラリア、クロアチア戦のリンクも有り)
JリーグAFC チャンピオンズリーグ '07 日程表
欧州サッカー準備中



最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ピルロシステムの完成 (CSKA352)
2007-05-04 01:07:17
この試合はよく見れてません。
CFインザーギ、シャドストライカー兼WFカカー、トップ下兼左MFセードルフだったのでしょうか。

以前リヴァプールと決勝を戦ったときは、2ラインの間をトップ下カカーがドリブルと2トップの見事な動きで4-4-2を崩しました。
このときは右SBがカフーで、ガットゥーゾも前も後ろも真ん中(ピルロのところ)もケアしなくてはいけませんでした。
左はマルディーニとセードルフでバランスを取っていましたが、セードルフはピルロのカバーまでできなかったでしょう。

今は両SBは突破力はなくとも若く守備力もあり、4バックになれば堅牢です。
ピルロの両脇はアンブロジー二とガットゥーゾが分担しておりサイドもSBと協力してつぶせます。
SBが高い位置を取り、カカーもセードルフもチャンスになるまでは無理に上がらないと思うので、
中盤がやたら厚く、プレスも効いて、テクニシャンぞろいでボールもピルロを基点に支配できることでしょう。

捕まえにくいトップ下が二人いる相手に4-4-2のリヴァプールはご用心です。
コメント連続失礼 (CSKA352)
2007-05-04 10:50:28
シェフチェンコ、ロナウドの不在が問題視されていましたが
カカーがFWとしてボールを受けられるなら問題ないですね。
むしろ守備時は4-4-のブロックでゾーンDFに徹する分安定します。
Unknown (yunapure)
2007-05-05 00:31:56
マンUはその前の国内試合では2点ビハインドから4点を奪い逆転勝利してましたので、勝敗は別にしてノーゴールってのは考えられなかったんですけど、この試合のミランはMVPを誰にするか難しいくらいベストパフォーマンスだった選手が多かったですね。
まさに戦っていました!!
マンUには流れを変える選手がサブにいなかったですし、「雨に負けてる」と中継では言われていましたが快晴でも同じ結果だった…と思います。
コメントのお返事 (コージ)
2007-05-07 00:58:57
CSKA352さん

こんばんは。
04-05シーズンの決勝を再度見ましたが、はっきり言ってあれは、エアポケットに入ったような不思議な現象だったと思います。ミランの選手も信じられなかったでしょうし、リバプールの選手達も驚いていたでしょうね。
実際、リバプールというチームで考えれば、今の方が実力は上だと思います。特にFWの差は大きいと感じました。
コメントのお返事 (コージ)
2007-05-07 01:00:24
yunapureさん

こんばんは。
私も同感です、さしてあの試合では雨の影響は大きくなかったと思います。ユナイテッドはユウナさんのおっしゃる通り、次に打つ手がなかったってのが正直な所でしょうね。
鳥肌 (まゆ)
2007-05-23 14:34:15
先日やっと見ましたよ、この試合!!(オソッ)
コージさんの記事でお勉強してから見たので、
納得しながらみることができました。
ルーニーなんてほとんど影的だったような・・・
C.ロナウドも、見事に消されていましたね。
ガットゥーゾすごいスキです私(笑)
ジラルディーノのゴールにも鳥肌が立ちました。
2点目直前のマンU側のミス、致命的なものになりましたね。
カカーも伸び伸びとプレーしていたイメージ!!
今日のミラン×リバプールは燃えますね~~!
コメントのお返事 (コージ)
2007-05-23 22:01:31
まゆさん

こんばんは。
残念ながら、その両チームは敗退してしまいましたね。
来シーズンは、ユナイテッド注目でしょうね。

コメントを投稿