家に長年お気に入りで使っているガラスのボールがあります。20年以上も前にサントリーの安ワインを買ったときに景品でもらったものです。朝は主人がシリアルボールとして使い、夜の食事作りのときには普通の調理用ボウル代わりとして、卵を溶いたり、刻んだ材料をちょっとよけておくなどに使うのに重宝しており、1日中キッチンに出っ放しになっています。
たいていの食器は出番が多いアイテムほど壊れるリスクが高いので、気に入ってヘビロテしている器ほど寿命が短いのですが、このボールだけは大変丈夫でしぶとく生き残っています。
景品や100均で衝動買いしたような器は、食器棚の整理のたびに処分の対象になるのですが、この子だけは、なぜか愛着があって捨てる気になれません。
先日、お教室にこのボウルと同じような形の器が仕入れられているのをみつけ、速攻で購入し、師匠オリジナルのデザインパターンをいただいて彫ることにしました。自分で一からデザインを起すのはとてつもない時間がかかるので、ついつい、横着してしまいました。
そうそう、このサイズ、この深さ!縁の部分が若干開いているのが使い勝手が良いのです。
そしてとにかく分厚い。サントリーのボウル同様にヘビロテできそうです。
しかし、実はこの作品、残念ながら失敗作です。ぱっと見は問題なさそうですが・・・。
よーくみると・・・。
拡大してみると、葉脈の部分に不自然なコブのようなものがありますね。その部分が今回の失敗です。作業完了後、マスクをはがした瞬間にすぐ理由がわかりました。
今後の反省のために自分のために原因と今後の対策をログっておきます。私と同じようにサンドブラストを学習中のみなさんの参考になれば幸いです。
この葉脈部分はとても細くて、普通にサンドブラスト吹きつけてもなかなか砂が入っていかず、うまく彫れません。その場合、ノズルをガラス表面に局地的に近づけて吹きつける圧をかなり上げて、砂を入れていきます。
しかし、強い圧力で吹きつけると、マスクした部分のシートがめくれあがり、余計なところにまで砂があたってしまうのです。お花見のときに地面に敷いたビニールシートを想像してください。強い風が吹くと、シートの角の部分がめくれあがってしまう、あんな感じですね。
上の画像をよくみると、葉脈が枝分かれするところでコブができています。その部分はマスク部分が鋭角です。その鋭角の先端部分が砂の圧に耐え切れず、シートがめくれたようです。
もともとのデザイン画の原寸はこの3倍ぐらい大きいものでしたが、師匠にこのボウルのために絵柄のサイズを縮小していただきました。すると、葉脈が細くなりすぎて、サンドブラストに適したミニマムサイズを下回ってしまい、今回の失敗につながったということです。
対策としては、シートをガラスに貼ってから、細過ぎる絵柄部分を適切な太さに修正してからカットすべきでした。すると砂があたる面積が多くなり強い圧でノズルを近づけて吹きつける必要がなくなります。
つまり、想定内の"事故”だったにもかかわらず、予測できなかったので、まだまだ経験不足で未熟だということです。
二度と同じ失敗を起さないようにとの自戒の念をこめて、このボウルはずっと大切に使ってあげたいと思います。