ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ビゼー:ピアノ作品集 by 金田仁美

2014-06-22 | CDの試聴記

久しぶりの投稿になります。
ブラウザを IEからクロームに変えたこともあり、なかなかパソコンが思うように動いてくれない(汗)

6月は、週に1回のペースで計4回講演があり、それも毎回異なるテーマだったので、準備が大変だった。
でも試練の4番勝負も、あと1回を残すのみ。
気を抜かないで頑張ろう。

先週残念だったのは、やはりワールドカップ。
一人少ないギリシャに勝てなかった原因については、専門家を含め語りつくされているので、多くを言うつもりはない。
ただ、最終戦に向けては、ゴールが見えたらひたすら貪欲にシュートを狙ってほしい。
「そこに山があるから登る」というシンプルな考えでいいじゃないか。
それと、4年かけて築き上げたスタイルは変えないでほしい。
自分たちのこのスタイルで負けたら仕方がない、というくらいハードな練習をしてきたはず。
混沌とした状況で頼りになるのは、やはり「型」だと思う。
今日一日休養に当てて、充電したこともいいだろう。
泣いても笑ってもGL最後の試合。後悔しないように頑張ってください。

ブラジルも日本も、今の季節は湿度が高い。
このじめじめした気候が得意な人はあまりいないと思うが、私も大の苦手。
得体のしれない息苦しさのせいで、それが体調にも影響してくるのだ。
そんな中、不愉快なじめじめ感を、暫し忘れさせてくれるような爽やかな音楽を聴いた。
ビゼーのピアノ作品集。

ビゼーといえば、何と言ってもカルメン。
あとは、「アルルの女」や「美しきパースの娘」といった劇音楽をオーケストラ用にアレンジした組曲。
そして、私の大のお気に入りである交響曲。それと声楽の好きな人には、「真珠採りのタンゴ」のオリジナルであるオペラも含まれるだろうか・・・。
でも、よく聴かれるのは、だいたいこのくらいまでだろう。
ピアノ曲は、私自身あまり聴いたことがない。
今回、金田(かなた)さんのアルバムを聴きながら、昔、グールドの演奏でビゼーの変奏曲を聴いたことを、ようやく思い出した。
まことにお恥ずかしい次第だ。


金田さんの弾くビゼーは、アレンジ物もピアノのオリジナル作品も、いずれも 実に爽やかな音楽だった。
ビゼーは、リストが認めるほどのピアノの名手だったらしい。
カルメン組曲のピアノ版と聞いて、私は管弦楽作品に負けじと華麗で派手な方向の音楽かと勝手に想像していたが、さすがにピアノの名手だけあって誠に理に叶ったアレンジだ。
音の数が少ないことを逆手にとって、見事な音楽に仕上げている。
金田さんの演奏も、力まず真摯に向かい合っていて実に気持ちのいい演奏。
私がとくに気に入ったのは、冒頭の夜想曲ニ長調。30歳の時の作品だそうで、揺れ動く心理状態を瑞々しく歌い上げていて、思わず引き込まれる。
それと、あまりに有名な「アルルの女」第2組曲のメヌエットも秀逸。
このメヌエットは「アルルの女」に含まれる音楽ではなく、「美しきパースの娘」の楽曲というのはよく知られているが、ピアノで弾かれたこのメヌエットのピュアな美しさは、何物にも代えがたい。

また、このアルバムには1曲だけ異質な音楽が含まれている。
演奏会用半音階的変奏曲だ。
この曲を初めて聞いたのは、先述のグールドのアルバムだが、そのとき「これが本当にビゼーの音楽か?」という強い思いにかられたことを覚えている。
グールドの演奏では、半音階でゆっくり上昇するバスに導かれて、驚くほどの緊張感を内包しながら音楽がさまざまな変化を見せていた。
だからこそ、途中で長調に転じた箇所が、砂漠のオアシスの畔に咲く花一輪という風情で、実に印象的だった。
金田さんの演奏は、さすがにグールドほどの緊張感と奈落の底に突き落とされるような切迫感はない。
その代り、よりひたむきで真っ直ぐな印象を与えてくれる。そして、息苦しくないだけ、私はいっそう音楽そのものの魅力を味わうことができた。
中間部のオアシスの美しさも特筆ものだ。
この変奏曲が、やはりアルバムのメインだった。
単に爽やかさだけではない素晴らしい感動を与えてもらったことに感謝です。 


ビゼー:ピアノ作品集
<曲目>
1. 夜想曲ニ長調
2. 『カルメン』組曲
3. 海洋画
4. 演奏会用半音階的変奏曲
5. 3つの音楽的素描
6. 『アルルの女』第1組曲(ビゼー編曲)
7. 『アルルの女』第2組曲

<演奏>   金田 仁美(ピアノ)
<録音>   2014年4月24日
<録音場所>大阪・吹田 メイシアター 中ホール

 

コメント (3)
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