路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

ハリケーンと中島みゆき

2009-12-05 | ★ほんの日常



小学校の頃だったと思う。

Hくんが転校生として私の学校へやって来た。

ほぼ同じ校区の子供達は、特別な理由がない限り

同じ中学へ行く。





彼は陽気な人気者で、

「地下鉄(一駅だが)よりも早く自転車で走れる男」という触れ込みで

自ら『ハリケーン』と呼んでくれと言い放った。

「何を、ホラ吹きめ」と誰もが思っていたが

事実、彼はちゃんと地下鉄(勿論一駅だが)よりも早く自転車で走り

次の駅に立ってにっこりと笑っていたのだ。





特別仲が良かった訳ではないが、

何故かHくんを思い出すのは

小学生の頃から大好きだった中島みゆきさんのコンサートで

偶然ではあるが、良く顔を合わせたからだ。

知り合いに会わないであろう筈の場所で、

偶然会うと不思議なもので

照れ笑いをしながら互いに互いを指差していた。





中学までは同じ学校だったけれど

頭の良い彼は私立の男子校へ行ったと噂に聞いていた。

それから3年が過ぎようとしていた矢先の事だ。




卒業を目前に、免許を取ったばかりの彼が事故で

亡くなったと言う事実を、風の噂で耳にした。





新品のホンダのバイクに乗った彼が

バイトを終えた夜に帰宅途中、自宅近くの坂に差し掛かった時

向かいの車も坂に差し掛かっていて、

ライトが上を向き、お互いに存在を確認できず正面衝突だった。

外傷はなく、病院に着くまで意識はしっかりしていて

救急車で搬送中、お母さんに

「大丈夫だよ」と、何度も言ったという。

そして、病院に着いた途端意識がなくなった。





頭の打ち所が悪かったらしい。

そのまま眠るように安らかな顔をしていたそうだ。





その後、私は大学へ行き

周りが車の免許を矢継ぎ早にとる中、

何故かバイクの免許を先にとった。

とりあえず普通にバイクにも乗っていたが

大きな事故にも遭わず

社会人になって、彼が亡くなった坂の上で

信じて疑わなかった学生時代の友人が私に嘘をつき、

大嫌いになった。





ハリケーン(台風)は、過ぎれば晴れる。




最近、みゆきさんが紫綬褒章を頂いて、

「棚から本マグロ」と言ったという新聞記事を目にした。



縁起でもない話だが、

もし、私とみゆきさんが死んだら

天国の(あるとすれば)コンサート会場で彼と会い、

また、

照れ笑いをしながら互いに互いを指差してみたい。











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※今日は長くてスイマセン。

コメント (4)
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