雑感日記

思ったこと、感じたことを、想い出を交えて書きたいと思います。

受注と量産事業の常識 昔話ー25

2007-01-30 06:42:31 | カワサキ単車の昔話
受注事業と量産事業の常識

1982,3年頃はまだ赤字事業部で本社の理解も乏しかった。

単車以外は、全て受注生産という会社の中では、受注事業の常識が主流になるのは至極当然のことである。
そんな中で量産事業そのものがどんなものかを理解をしてもらうのに骨が折れた。


今ならホントに笑い話の範疇であろうが,本社企画との間で真面目な話で論議された。

ニューモデルの開発時点で、試作車を何台も作り走行テストなどいろんなテストを行う。
新たな部品も使ったりするので、試作車は結構高く付くのが常識である。
開発費の話のときにこれが話題になった。

「そんなオモチャみたいな高いものを何台も造るのか。」と吃驚する。
「そんなことをしているから赤字になるのでは」と言わんばかりの議論になるのである。

確かに考えてみれば、船も鉄道車両も橋梁も、ぶっつけ本番で製造され試作などないのが当たり前で、それが受注事業の常識なのである。

こんな、お互いに持っている常識が全然異なっている人たちが、お互いを理解することはなかなか難しかったのである。


大庭さんが本部長に来られてからも、
棚卸しで「ラインを止めてビスやナットの数を数える」「そんな無駄なことは止められないのか」と言われたりした。
受注事業では棚卸しの概念がないのである。

決算時に部品在庫のうち、動かない部品を廃却する。
その金額はトータルすると億になったりするので、本当に捨ててしまうのかと驚かれて決済を躊躇されたことがある。
大前太さんと二人で「ちょっと印お借りします」と言って沢山あった書類に勝手に捺印させて頂いた。

確かに、注文さえあれば使える部品、不良品でもないものを捨ててしまうのは勿体ないのだが。
廃却という概念がないのである。これも事業形態の差であろう。


大庭さんは、
怖かったが一端理解して頂くと「自分もずっと以前からそう思っていた」というようなすっきりとした態度で支持して頂けたので、本当に説得甲斐もあったし気持ちが良かった。

本部長時代の懐かしい大庭さんの思い出である。


コメント (1)
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