葛西家家臣、金野氏の居城跡
一関市中心部から気仙沼市を結ぶ国道284号線。
一関市千厩町中心部(旧東磐井郡千厩町)の国道を沿うような形の、急峻な崖を持つ小高い丘に千厩城跡はあります。
城主は、この地方を治めていた葛西氏の家臣金野定俊が気仙横田より来往し、応永二十七年に本格的に丘陵を削り大規模な城館を築いたと云われています。
この本丸の頂上より阿弥陀堂が建立され、麓には城主の氏神として白山堂が愛宕山と対比して鎮座し、弓手川(千厩川)が自然の水堀となって人を近づけにくくする地の利をいかした天然の要害となっていました。
「仙台古城書上」によると 千厩城 南北二十八間、東西三十八間 城主今野(金野)右馬亟 と記されています。
本丸は、現在の千厩公民館・千厩体育館の辺りだったとされています。
天正十八年には最後の城主である馬之允重安は葛西氏の滅亡と同時に深谷にて伊達政宗の軍によって討死し、千厩城は破却されました。
千厩城はその地形から「茶臼館」とも呼ばれ、数段の曲輪を築く要害となっていました。
館山公園は、千厩城の出丸跡だと云われています。
公園内には曲輪跡と思われる平場や、土塁の跡が所々に残っています。
千厩城跡は大部分が住宅地や畑になっていて、当時のまま残っているのは館山公園のみとなっています。
館山公園から千厩町内を一望できます。
天文十一年、伊達稙宗が嫡子晴宗によって幽閉されたことに端を発する天文の乱は伊達家中のみならず、奥羽の諸氏を巻き込んだ大乱となったのです。
葛西晴胤は当初は父親の稙宗について「粉骨の働き」をしました(色部文書)が、もともと自立性の高い葛西領内の諸氏が一致して惣領にしたがうことはありませんでした。
そのことは、伊達氏も十分承知して、むしろ晴宗はこれを利用し千厩城主である金野氏をはじめ、大原氏、胆沢郡の柏山氏、三迫の富沢氏を個別に自陣に取り込んでいました。
【白山堂(松澤神社)】
現在の松沢神社となったのは明治時代の神仏分離令によってのことで、神明造の社殿(明治三十四年)には伊弉冊命を主神に誉田別命が祭られていました。
それ以前は、白山大権現を勧請し、ときに永正年中金野土佐家中の僧正を招き白山永正寺観音院といいました。
しかし、文禄三年の金山一揆で建物及び什物は焼失してしまい、神子ノ沢より御輿を担ぎ、寛文三年に祭祀して白山光龍寺となったのです。
当時の再建された本殿は、明治の神仏分離令により北ノ沢八幡神社に納められています。
【金山一揆 集結の地】
一関市、旧東磐井地方は気仙・江刺とともに有数の産金地帯でした。
ここから産出される金は一関藩の藩財政を潤していたのです。
豊臣秀吉は朝鮮出兵に際し、これらの金山を直轄地にし、文禄三年(1594)、浅野長政家臣で三人の金山奉行が奥州に下向し、これまで年一回の役金の納付を三倍としたのです。
金の産出量が全域で減少し始めていた時期だったため、約3000人といわれた旧葛西氏領内の堀り子は、この重税に耐えきれず、 この千厩村の白山堂に集結し、強訴を企てたのです。
これを「金山一揆」といいます。
千厩城の搦め手にあたるこの地は、町場から摩王坂を登る藤沢の街道の最初の峠にあたり、通称「六道長根」と呼ばれています。
千厩城の廃城間もない、文禄三年(1594)金山の堀子三千人が白山堂に集まり、一揆を起しました。
このとき、御本判大肝入白石十郎左衞門は伊達家に支援を求め、黒木中務宗元を侍頭とする鎮圧隊が、一揆の頭目三十八人を捕え、見せしめのため十二丁の柱を立て磔にしました。
六道塚はこの時、四つの塚を築いて堀子達の屍を埋めた所と云われています。
【参考文献】
【千厩館山公園MAP】
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【葛西氏関連書籍】
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