華やぐ時間

時の豊潤なイメージに惹かれて 。。。。

映画  ” ディパーテッド ” 

2007-01-22 10:26:42 | ★映画  
わたしの好きな香港映画 「 インファナル・アフェア 」のリメイク版です
観終わってから気づいたのですが  監督はマーティン・スコセッシだったのですね
この作品 ( 死者 という意味 )は オリジナルの脚本がいいのだなぁと あらためて思いました

オリジナルのほうでは アジアのその時代の猥雑が  よく描かれていたと思いますが
この映画でも 今より古い時代のアメリカにおけるアイルランドの人たちの社会状況やマフィアが
横行する社会背景を見せて  警察側・マフィア側の周到で非情な計画を 観客に伝えています
オリジナル3部を一本にまとめた運びのせいだけではなく  全編に緊迫感 スピード感がありました
暴力 殺人 卑猥な言葉 蔑みの言葉   荒く殺伐と 男たちが生きてるその場の必死が見えます

身内に犯罪者のいるディカプリオは優秀な警官になるけれど  自分の中の激しい暴力性も見せて
そのぶん 人間の感情 行動に幅が見えるような演技でした
潜入してから目の当たりにする凶暴な暴力や殺人と  自分の素性がばれないかという恐怖感が 
彼の内面の脆さのようなものを増幅させて  ストレスが痛ましいほどに ひりひり伝わってきます
映画 ”アビエイター ”の作品のときよりも  いっそう神経質で繊細で  切実に独りでした

マット・デイモンも 高級マンションに住み 出世していくエリート警官ながら どことなく落ち着きがない
オリジナル作品では トニー・レオンやアンディ・ラウに社会から抹殺されている哀感を感じましたが  
この映画での緊張と焦燥感は  これはこれで ディカプリオとマット・デイモンに適役だと思います

マフィアのボスのジャック・ニコルソン   何を考えてるか しようとしてるのか窺いしれないような
暗くて 不気味な どっしりとした存在感がありました
だらしなく下品で 汚い言葉や卑猥な言葉を言い  人への暴力にも 無造作なように行なう殺人にも 
心の痛みなど何も感じない人間のように見えるのに  ときおり 孤独や哀愁がよぎる表情をするので
人間の多層な感情がほの見えるような  不思議な可愛げのある きっちゃないオヂサンでした
自分が街のどういうところを歩き 人とどのように接してきたかが ラストのあの場面になるのですね

警官も犯罪者も  平安のない生きる場だなぁと思います
人が建物の屋上から落ちてくるシーン  エレベーターのドアが開いたと同時に頭を撃たれるシーン
暴力と殺人だらけのこの映画なのに  生きる厳しさも 無念も はかなさも 感じられました
誰もがウソをつき 本当のことを隠して生きているストレスや葛藤のなかで  女医マドリンの存在は
主人公たちにとって 自分の心が素に戻れる 大切な関係だったのだろうなと思います
報われるか否かはともかくとして  暴力と殺人の匂いフンプンのこの映画の中で 普通人の感覚の
女医の存在は  ほっとする花でした

    


コメント (2)
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