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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

日本からケイマン諸島に個人投資家が15兆円の証券投資 消費税増税より富裕層に富裕税をかけよう

2012年06月25日 | 新自由主義批判 所得の再分配と格差社会の是正

 

アメリカ大統領選挙を戦っている共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事は富豪として知られていますが、ほかの候補者から「所得を公開しないのはおかしい」との批判を受けて、2010年、2011年の個人所得を公開しました。

それによると、なんとロムニー氏の所得は、株式の配当や売買などでこの2年間で4300万ドル(日本円でおよそ33億円)に上り、しかも、ロムニー氏の納税額は所得の14%にとどまっていたのです。

アメリカの所得税の累進課税率の最高は35%。なのに、なぜ、14%の税金で済んでしまったのか。一つには、ロムニー氏が700万ドルも自分の宗教であるモルモン教に寄付して控除を受けていると言うことがわかりました。

さらにタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領ケイマン諸島などに資産を所有していたのです。

アメリカ大統領選挙 共和党のロムニー候補の税金逃れ発覚! 日米とも富裕層増税が必要だ


ケイマン諸島はAIJ投資顧問の資産消失事件やオリンパスの損失隠し事件にも登場しました。

オリンパス損失隠し事件における二つの監査法人の責任

 

 

このように、富裕層天国として知られるケイマン諸島に証券投資の形で流入した資金が2011年に15兆3603億円に上ったことが2012年6月24日、財務省の統計で分かりました。大手証券の説明によると、個人による高利回りの金融商品の購入が多くを占めているということです。


 美しい海と砂浜が広がるグランドケイマン島のリゾート地=4月、英領ケイマン諸島(共同)

写真

 日本から英領ケイマン諸島に証券投資の形で流入した資金が2011年に15兆3603億円に上ったことが24日、財務省の統計で分かった。個人に よる高利回りの金融商品の購入が多くを占めている。ケイマンはタックスヘイブン(租税回避地)として知られAIJの資産消失事件、オリンパスの損失隠しの 舞台になったが、巨額の個人マネーを吸収している一面も鮮明になった。

 ケイマンの金融商品は、欧米金融機関が世界各国のさまざまな債券などを組み合わせてつくる複雑な構成。これを日本の金融機関が国内で直接販売したり、自社開発の投資信託に組み入れたりしている。(共同)

 

 

2005年までは、日本とケイマンの関係は、大手銀行などが資金調達のためにケイマンで発行した証券を、生命保険会社などの機関投資家(個人ではなく企業が投資する場合)が購入することが多かったのだそうですが、国際決済銀行(BIS)による自己資本規制の変更を控え、メガバンクが証券発行に慎重になったことから、機関投資家は2006年には激減しました。

その後、低迷する日本国内株式市場での運用難を背景に、個人によるケイマンの金融商品購入が本格化しました。日本からの証券投資額は2010年には17兆8454億円となり、現行方式の統計が始まった2005年以降で最高額を記録でそた。そして、2011年も高水準を維持したということになります。

ちなみに、2011年に日本からの証券投資額が最も多かったのは米国で約94兆円で、金融取引の拠点であるニューヨークを舞台にした機関投資家による大規模な取引が反映されたましたが、ケイマンはこれに次ぐ2位で、ここでは個人による金融商品の購入が投資額を引き上げたというのです。

池上彰さん、しっかり解説してください!日米両国とも富裕層の税率は低く、貧富の差は拡大し続けています!

富裕層のポートフォーリオ











さて、株価低迷が続く日本にいると、富裕層が証券取引で稼いでいるなどとは想像しにくいわけですが、こうやって外国でbの証券取引で儲けているわけです。

では、証券取引であげた利益にかかる税金は何パーセントだと思いますか?

なんと10%に過ぎません。

それは、証券取引についての課税を20%とする証券取引への優遇制度があり、しかも、今は株式取引を活性化させるという名目でさらに10%に引き下げられているからです。

しかも、この証券取引に対する課税は総合課税ではなく、分離課税となっています。

分離課税を少し説明しますと、今の所得税の最高課税率は40%とされていますが、たとえば、あるお金持ちが実業では6億しか儲かり、証券取引では4億儲かったという場合、合計10億円の所得に対して40%の税金がかかって4億円税金を払うのではないということです。

普通の所得6億円に対して40%の税金で2億4000万円。証券取引所得4億円に対して10%で4000万円。あわせて2億8000万円しか税金を払わなくていいのです。

合計10億円の所得に対して計2億8000万円の税金ですから、所得税率は28%にしかなりません。

現に、財務省の調べでは、実際には年間1~2億円の高額所得者は、所得税を最高でも26・5%しか支払っていないのです。

株に投資すれば税金が極端に安く上がる!ということです。

そして、なんと、この分離課税を駆使することで、いま、

所得100億円以上の人は税金14・2%しか払っていません・・・・!

日本にも富裕税の導入を!年間所得100億円以上の富裕層は14%の税率でしか税金を支払っていない





上の図のように、日本では、高所得者優遇税制のせいで、富裕層は世帯数でも純金融資産でも増え続けています。

それは、下の図のように、日本の所得税の最高税率が1983年には75%あったのに、小泉内閣以降の減税措置で大幅に引き下げられてきたからです。

その結果、税収も低下傾向にあります。景気の後退も相まって、所得税の税収は19兆円から現在では14兆円と、年間5兆円も減ってしまっているのです。

アメリカではオバマ大統領が、富裕層が海外に資産を回避させても、これを追及して課税するという方針を打ち出しています。

日本も、復興増税だの税と社会保障の一体改革だのは、富裕層にそろそろ負担してもらうべきです。

彼らが眠らせている純金融資産に5%の富裕税をかけさせてもらうだけで、12・5兆円の税収になります。そうです。ちょうど消費税の5%増税分と同じ税収が得られます。しかも、彼らの金融資産以外には富裕税をかけないということにすれば、車や絵画や不動産を買ってお金を物に変えるでしょうから、ものすごい景気対策になります。

また、富裕層から集めた税金をたとえば生活保護費など社会福祉に投入すれば、格差縮小だけではなく、生活困窮者は扶助されたお金をほとんど消費してしまうのですから、これまた物凄い経済効果があるのです。

そのお金が回りまわって、企業の売り上げとして帰ってきて、かえって富裕層の所得も増え、資産も取り戻せます。三方一両得です。

消費税増税など、景気を悪くするばかりで、国税の収入も減って財政赤字はかえって悪化します。

全部を富裕税でまかなうことはありません。所得税や相続税の税率の累進性を高めること、分離課税の見直しなどキャピタルゲインへの課税を少し強化することと富裕税。これらの方策で得た税金を社会福祉に投入して格差問題の解決し、国内の購買力を高める。

これこそ内需拡大による、理想的な財政赤字解消と不況脱出法だと思います。


これにデンマーク、フランスを参考にした少子化対策を加えれば、日本は再びライジングサン。

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