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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

福島第一原発から流出し続けているセシウム汚染水17兆ベクレル 拡散し続けている放射性物質

2013年03月23日 | 福島原発事故

立錐の余地もなく福島第一原発敷地内に並んだ放射能汚染水の貯蔵タンク。急造したため、3年後には耐用年数が来てしまう。。。


 共同通信が本日2013年3月23日付けでセシウム17兆ベクレル流出か 原発港湾内濃度から試算」という記事をアップしましたので、わたしのほうはその情報はすでにNHKが既報だったので織り込み済みでしたが、一部改題・大幅加筆してあらためてアップします。

 以下、2013年3月18日付け記事 福島第一原発から流出し続けている放射能汚染水 拡散し続けている放射性物質より

 

 2012年12月、福島原発から北に約20キロ離れた沖合で獲れたアイナメが、1キロあたり2万5800ベクレルの放射線を検出し過去最高でした。。。。と思ったら、2013年1月、福島第1原発の専用港湾内で2012年12月に実施した東電による魚介類のサンプリング調査で、カサゴに似たムラソイから、放射性セシウムが1キロあたり25万4000ベクレル検出されました。

 ところが、東京電力は2月28日、福島第1原発の港内で捕獲したアイナメから、1キロ当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表しました・・・と思ったら、 東京電力は3月15日、福島第1原発の港湾内でとったアイナメから、魚類では過去最大値となる1キログラム当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表しました。現在のところ、これが過去最悪の数値です。

 もう、福島原発事故から2年も経っているのに、なに、いったいどんどん大量のセシウム汚染魚が見つかっているの!?一体どうなっているんでしょう、というのが私の疑問でした。

 実は、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、2012年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっているのだそうです。東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされる2011年6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があるということです。

(注 これが17兆ベクレルで、東電が事故直後に人為的にに流した1500億ベクレルの100倍以上というのが共同通信の記事です)。

 とにかく、また、東電は隠蔽していたのですね。

 ところで、東京電力は福島第1原発2号機にロボットを投入し、汚染水が漏れ出している可能性の高い配管8本を調べましたが、漏えい箇所を突き止められないまま!3月15日に調査を終了したと発表しました。

 こうして、福島第1原発からは放射性物質がどこからともなく漏れ続けていて、魚介類では生物濃縮が起こり続けているということになります。

いわき市沿岸の動物性プランクトンから高濃度セシウム→魚→人間と生物濃縮で内部被曝の恐怖38



 以前、福島原発事故で海に出てしまったセシウムは広島に投下された原爆152発分であること、また、そのセシウムは海流に乗って全世界に迷惑をかけた後、30年後にまた日本に戻ってくるという話を書きました。

 その結果、海では魚介類が放射能汚染され、生物濃縮が進み、いまだに基準値以上の魚が毎日のように陸揚げされています。東電は福島原発の専用港だけの話にしたがっていますが、2012年末には原発から遠い北海道の室蘭沖でも、漁獲されたマダラからも、国の基準値の上限にあたる1キロ当たり100ベクレルの放射性セシウムを検出されており、魚介の汚染範囲の広がりが懸念されているのです。

究極の環境破壊で世界中にヒバクシャを作る福島原発事故 そしてセシウム137は30年後に戻ってくる

 さらに、もっと恐ろしいシミュレーションが発表されていて、京都大学防災研究所のグループは、福島第一原発の事故で関東に降った放射性物質などの調査データを使い、東京湾に流れ込んで海底にたまる放射性セシウムを、事故の10年後まで予測するシミュレーションを行いました。

 その結果、放射性セシウムの濃度は2014年の3月に最も高くなり、荒川の河口付近では、局地的に泥1キログラム当たり4000ベクレル!に達すると推定されるということです。これは、2012年1月に福島第一原発から南に16キロの海底で検出された値とほぼ同じです。

 比較的濃度が高くなるとみられる東京湾の北部では、数年後、福島直近の海と同じく、平均すると海底の泥1キログラム当たり300ベクレルから500ベクレル程度と計算されたということです。

 つまり、今も東京湾には関東平野から、あるいは、福島原発から黒潮とは逆方向の海岸流でセシウムが流れ込み続けており、その結果、原発事故直後ではなく、来年の2014年3月に東京湾のセシウムが局所的には1キロ4000ベクレルにもなる最大の放射能汚染状態になるということですね。

東京湾が放射能汚染され続け2年後には1キロ4000ベクレルになる!まるで収束していない福島原発事故

 ちなみに、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)が、関西電力大飯原発(福井県おおい町)で東京電力福島第1原発事故と同レベルの事故が起きたとの想定で大気シミュレーションモデルで作成した予測があります。この予測は、放射性ヨウ素放出が6時間続き、影響が大きい「北風が長時間続く」気象条件で24時間の甲状腺被ばく線量を計算しました。

 その計算によると、福井県ばかりか、おおい町に隣接する京都府南丹市の一部が、コンクリート造りの建物への退避などが必要な「500ミリシーベルト以上」に達し、30キロ以上離れた京都市など広範囲でも、安定ヨウ素剤の投与が必要とされる「50ミリシーベルト以上」に達するということです。

 1000年以上歴史のある京の都も人が住めなくなるかもしれません。

大飯で原発事故があれば、琵琶湖では福島原発事故後の東京湾河口と同じく、セシウム汚染が10年以上続く 

 

 

 シミュレーションばかりではありません。

 2013年1月24日、原子力規制委検討会は「第2回特定原子力施設監視・評価検討会」を開催しましたが、その中で、東京電力は福島第一原発で増加し続けている放射能汚染水を海に放出する方針を明らかにしました。

 福島第一原発では、原子炉冷却のために継続的に注水を行っており、放射能汚染水は増加し続けています。現在は放出を避けるため、タンクに貯水していますが、1000基を超えるのタンクに約22万トンの処理水がたまり、汚染水処理に伴う廃棄物やがれきも 管理しています。この注水した水は建屋地下に流れ込む地下水と混じって、汚染水は一日400トンずつ増加しており、一部は処理して冷却に再利用できますが、大半はタンクにためるしかないのです。

 しかも、急増したタンクの耐用年数は2~3年。

 2013年度、敷地南側の駐車場など10万平方メートルをタンク造成地に充て、タンク容量を計70万トンまで増やす計画ですが、それでも、たった二年半で使い果たす見込みなのだそうです。しかも、北側の森は地盤が軟弱でタンクの長期保管に不安が残る。。。というわけで、猛貯めておけない放射性汚染水を、今回の放出計画を東電がとうとう言いだしたのです。

福島原発事故は収束していない 海に放出する放射能汚染水・4号機の危機・さらなる大地震と火山噴火の予兆

 


 もちろん実は、放射性物質を拡散しているのは放射能汚染水だけではありません。

 東京電力は2013年3月11日、2号機の原子炉建屋上部で、開けっ放しになっていた小窓「ブローアウトパネル」(横6メートル、縦4.3メートル)を金属のふたでふさぐ作業を終えたと発表しました。2号機からは現在、最大で毎時200万ベクレルの放射性物質が外部に放出されているというのです。

 閉止によって放射性物質の外部放出がどの程度抑制できるのかを今後調べるそうですが、まだわかりません。

 こうして、福島第1原発で事故が起こり、炉心溶融(メルトダウン)して核燃料が原子炉の外に落っこちてしまうわ、水素爆発してまさに爆発的に放射性物質が空へ海へと拡散するわした後も、放射性物質が漏れ続けているのです。

 たとえば、関東での肉類や山菜、キノコ類へのセシウム検出もなお続いており、2福島県を含む東日本の周辺地域にも広がっています。

 とくに菌類であるキノコは植物などに比べ、セシウムを取り込みやすく、2012年9月から千葉県が県内で使われている原木を検査したところ、2013年3月に全体の17%に当たる32万本が基準を超えているとみられることが分かりました。

 また、最近では牛肉などのほか、岩手県内で捕獲されたシカの肉から、120-160ベクレルのセシウムが検出され、シカ肉はすでに国の出荷制限を受けています。

 安倍内閣は、野田民主党政権が発表した福島原発事故収束宣言を撤回しようとしませんが、実際には、福島原発事故一つとっても、こういう八方ふさがりの状況です。汚染水の貯蔵問題一つとっても、どこから漏れているのかもわからず、それどころか貯水タンクが一杯になり、いずれは人為的に海に大量放出しなければいけないのは必至です。

 原発は一度事故を起こしたら取り返しがつかないのです。事故が起こる確率は高くなくとも、運転していれば必ず出る放射性廃棄物の処理の問題も含め、人間の手には余る代物です。だから、原発は廃絶するしかないのです。こんな原発をまだ維持し、それどころか新設しようという安倍自民党政権は狂気の沙汰としか言いようがありません。

福島原発事故から2年(2) 脱原発市民も原子力ムラも共に死なず

安倍自民党 究極の原発推進人事 総裁・幹事長・党三役全員が核武装論者か原発推進論者



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2013年 3月 15日 20:37 JST

アイナメから74万ベクレル─福島第1の港、過去最大=東電

 東京電力は15日、福島第1原発の港内で捕獲されたアイナメから、1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。食品基準値の7400倍で、原発事故後に捕獲された魚で最も高い。

 アイナメは2月21日、1~4号機の取水口付近で捕獲された。この場所は、事故直後に高濃度汚染水が流出し、拡散を防ぐため「シルトフェンス」と呼ばれる水中カーテンで区切られた内側という。これまでは51万ベクレルが最大だった。

[時事通信社]

 

しいたけ原木から基準超える放射性物質

3月15日 16時26分
しいたけ原木から基準超える放射性物質

原発事故のあと、千葉県の10の市で原木しいたけから基準を超える放射性物質が検出されたことから、千葉県が県内で使われている原木を検査したところ、全体の17%に当たる32万本が基準を超えているとみられることが分かりました。
千葉県は生産者にこれらの原木を廃棄するよう指導するとともに、安全な原木の調達を進めています。

千葉県では、おととし10月以降、10の市で原木しいたけから国の基準を超える放射性物質が検出され、出荷制限が続いています。
原木しいたけは成長する過程で原木に付着した放射性物質を吸収するため、国は1キログラム当たり50ベクレルを超える原木を使用しないよう基準を設けています。
これを受けて、千葉県が去年9月から県内で使われている原木186万本についてサンプル検査をしたところ、全体の17%に当たる32万本が基準を超えているとみられることが分かりました。
これらの半分は千葉県産、残りは福島県や宮城県といった県外から仕入れたもので、いずれも国が基準を示す前に生産者に渡っていたとみられています。
千葉県はこれらの原木を廃棄するよう指導するとともに、安全性が確認された原木を新たに調達する事業などを進めています。
さらに、県は出荷の再開を希望するすべての生産者について原木しいたけの検査をし、安全性を確認したうえで、出荷制限の解除に向けて国と調整を進めることにしています。

 


 
 東京電力福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した後の水をためるタンクが、増設のスピードを優先して溶接しなかったため耐久性が劣り、三年後には続々と大改修を迫られることが分かった。敷地内にタンクを増設する用地がなくなる時期とも重なる。処理水には除去が極めて難しい放射性物質も含まれ、このままでは、またも汚染水の海洋放出という事態を招きかねない。 (小野沢健太)
 
 処理水タンクは、帯状の鋼材をボルトでつなぎ合わせて円筒形にし、内側に止水材を施し、鋼材のつなぎ目はゴム製のパッキンを挟んで締め付ける構造。一千トン級の大容量タンクだが、一週間ほどで組み立てられる。溶接をして頑丈に造るより短期間で済むため、急増する汚染水処理をしのぐためには好都合だった。
 しかし、東電が「仮設タンク」と呼んでいたことが示す通り、長期の使用を想定していなかった。当初は二〇一一年度中におおむね汚染水処理は終わる予定だったが、現実にはタービン建屋地下に、今も一日四百トンの地下水が入り込み、原子炉から漏れ出す高濃度汚染水と混ざり、水量がどんどん増えている。
 処理した汚染水の一部は原子炉を冷やす水として再利用するが、使い切れない水は、次々とタンクを造ってためるしかない。処理水はセシウムこそ大幅に除去されているが、他の放射性物質が残る汚染水。漏れがないか、作業員が定期的にタンク群を見回ってボルトを締め直すが、無用の被ばくを招いているとも言える。
 タンクのパッキンなどの耐用年数は五年ほどで、一六年春ごろから改修が必要。そのころには、現時点で計画中のタンク用地も使い果たしている見通しで、新たな用地確保とタンク増設、改修を同時並行で進めなければいけなくなる。
 東電によると、すでにタンクは千基近くあり、このうち約二百七十基の改修が必要となる。
 準備中の新たな除染装置が稼働すれば、約六十種類の放射性物質は除去されるが、放射性トリチウムは残り、海への放出はできない。東電は一昨年四月、意図的に汚染水を海へ放出し、国際的な批判を浴びた。
 東電の担当者は「当初は急いでタンクを用意する必要があり、ボルトで組み上げるタンクを選んだ」と説明。最近になって東電は溶接したタンクを導入し始めたが、増える処理水に対応するので手いっぱいの状況だ。
 <放射性トリチウム> 原子炉内で発生する放射性物質の一つで、三重水素とも呼ばれる。水と非常に似た性質のため、現在、大量に処理する技術はない。福島第一にたまる処理水には、排出が認められる法定限度(1立方センチ当たり60ベクレル)の約38倍の約2300ベクレルのトリチウムが含まれている。新しい除染装置で処理してもトリチウムはそのまま残る。
(東京新聞)

 

福島第一2号機、汚染水の漏えい箇所わからず

 東京電力は、福島第一原子力発電所2号機にロボットを投入し、汚染水が漏れ出している可能性の高い配管8本を調べたが、漏えい箇所を突き止められないまま、15日に調査を終了したと発表した。

 漏えいが疑われているもう一つの場所「圧力抑制室」を調べるには、水中で動ける新ロボットを開発する必要があり、調査は長期化が避けられなくなった。

 事故で溶け落ちた核燃料を取り出すには、水漏れ箇所を修復し、原子炉の格納容器を水で満たす必要がある。東電は、格納容器の下部にある配管(直径2メートル)の破損を推定。その周辺は放射線量が高いため、東芝製の4本脚ロボット(幅約60センチ、高さ約110センチ、重さ約65キロ)を昨年12月から投入して撮影していた。

(2013年3月15日20時54分  読売新聞)
 
 

毎日新聞 2013年03月11日 20時03分(最終更新 03月11日 22時57分)

クレーンでつり下げられたブローアウトパネル閉止用のふた。右下の小窓が、開けっ放しになっていたパネル部分=東電提供
クレーンでつり下げられたブローアウトパネル閉止用のふた。右下の小窓が、開けっ放しになっていたパネル部分=東電提供

 東京電力は11日、福島第1原発2号機の原子炉建屋上部で、開けっ放しになっていた小窓「ブローアウトパネル」(横6メートル、縦4.3メートル)を金属のふたでふさぐ作業を終えたと発表した。閉止によって放射性物質の外部放出がどの程度抑制できるのかを今後調べる。

 小窓は建屋内の圧力を逃がす目的で設置されている。2号機では、隣接する1号機の水素爆発の衝撃で偶然開放。内部の水素ガスが排気され、建屋の水素爆発を回避できたとされている。

 2号機からは現在、最大で毎時200万ベクレルの放射性物質が外部に放出されている。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は記者会見で「できるだけ早く閉めたかったが、周辺線量が高く作業が難航した」と述べた。【中西拓司】

 

 

原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性

3月15日 4時15分
原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性
 

東京電力福島第一原子力発電所の専用港で、海水の放射性セシウムの濃度がほとんど下がらなくなっていることについて、東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があることが分かりました。
研究グループは、詳細な調査を実施すべきだ、としています。

東京海洋大学の研究グループは、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、去年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっていることから、原因の究明に役立てるため独自に試算を行いました。
試算では、専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるには1日当たり80億から930億ベクレルが流れ込んでいる計算になる、としています。
その結果、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降の1年間では、事故前の保安規定で定められた排出限度の73倍に当たる16兆1000億ベクレルが専用港に流れ出た可能性がある、ということです。
専門家によりますと、1年間に排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが流出したとしても、外洋の生物にはほとんど影響はありませんが、港の中に生息する魚介類が体内に取り込むおそれがあるということです。
東京海洋大学の神田穣太教授は「海水の測定データから、原発の敷地内の土が雨で流れ込んだ影響とは考えにくく、地下水や壊れた配管などを通じて汚染水が漏れ出している可能性がある。詳細な調査を実施し、原因を特定すべきだ」としています。
これに対し東京電力は「さまざまな調査の結果から、発電所の敷地から放射性物質が海に流出しているとは考えていない。ただ、専用港の海水で放射性セシウムの濃度が下がらない原因は分かっていないので調査を続けたい」と話しています。

 

 東京電力福島第1原発の港湾内で海水の放射性セシウムの濃度が下がりにくい状態が続いていることに関し、汚染水の海への流出が止まったとされる 2011年6月からの約1年4カ月間に、計約17兆ベクレルの放射性セシウムを含む汚染水が海に流れ込んだ恐れがあるとの試算を、東京海洋大の神田穣太教 授がまとめた。

 東電は、11年4月に1週間で意図的に海に放出した汚染水に含まれる放射性物質の総量を、約1500億ベクレルと推計しているが、その100倍以上に当たる。

 神田教授は「現在も地下水や配管を通じて流出が続いている可能性がある。すぐに調査すべきだ」と指摘している。

(共同)

 

福島第1原発 汚染水「背水」の処理 タンク増設もう限界

原発敷地内には、原子炉建屋内に流れ込む放射能汚染水をためる貯蔵タンクが並ぶ。汚染水の行き先がないまま増え続けている。(写真は代表撮影)

燃料取り出しに向けた防護カバー(右)の建設が続く福島第1原発4号機。多くの作業員が従事している(代表撮影)

 東京電力は1日、福島第1原発を報道機関に公開した。原子炉建屋内の放射能汚染水を取り除いてためる貯蔵エリアが初めてオープンにされた。汚染水処理は廃炉作業の目下の最大の懸案で、貯蔵容量の限界が迫る中、タンクの増設でしのぐ背水の処理が続く。(福島総局・若林雅人)

 巨大なタンク群が目の前に現れる。通称「セントン」。放射能汚染水を1個約1000トン貯蔵している。
 1~4号機の建屋内には事故直後に溶けた燃料を冷やした大量の水に加え、1日約400トンの地下水が流れ込む。稼働中の淡水化装置では放射性セシウム以外は除去できず、処理後も完全浄化まで貯蔵を強いられる。
 貯蔵量は現時点で26万トンで、飽和量の約32万トンに迫る。東電は2014年前半までに約8万トンのタンクを増設し、敷地を造成して15年度までに計70万トンの容量を確保する計画だ。タンクは既に敷地を埋め尽くすように並び、用地に余裕があるようには見えない。
 高橋毅所長も「地盤調査の必要があり、70万トンを現時点で確保できるとは言えない」と認める。
 62の放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)も公開された。1日約500トンの処理能力があり、汚染水浄化の切り札と言われる。
 12年秋に稼働を始める予定だったが、廃棄物保管容器の強度不足が判明し、今も稼働に至っていない。完成した設備に人影はなく、荒涼とした雰囲気が漂っていた。
 ALPSは処理水がいったん敷地内に保管される。東電は処理水を最終的に海へ放出する考えだが、漁業関係者が反発し、最終処理の見通しは立っていない。
 地下水の流入は止まらず、さまざまな濃度の汚染水に姿を変え続ける。方丈記の冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」が頭をよぎる。

◎重装備に全面マスク/収束作業、苦難との闘い

 福島第1原発事故の収束作業に当たる作業員3人が1日、福島県楢葉町のJヴィレッジで報道陣の取材に応じ、高い放射線量や気象条件と闘いながら続く作業の実態を語った。
 「臭いも色もなく、慣れるとだんだん恐怖感がなくなってくる」
 3号機のがれき撤去を担う鹿島福島工事事務所工事課長の小林弘茂さん(45)は放射線対策の難しさを挙げ、「作業員をいかに被ばくさせない作業計画を立てるかに苦心している」と語った。
 3号機は水素爆発して燃料が溶け、建屋上部の放射線量が毎時500ミリシーベルトと高い。作業は数百メートル離れた場所から無人のクレーンなどの重機を遠隔操作して実施している。
 「人類の誰も経験したことのない作業に使命感を持ち、技術を駆使して挑んでいる。何とか役に立ちたい思いで作業していることを分かってほしい」と涙ぐんで訴えた。
 日立GEニュークリア・エナジーの現場事務所長河合秀郎さん(58)は4号機からの燃料取り出しのため建屋をカバーで覆う工事に当たる。「重装備に全面マスク。15分で汗だくになり、下手すれば倒れる」と夏の熱中症対策が課題と話す。
 4号機は建屋上部のがれき撤去が進む。「事故直後は命の危険を感じた場面もあったが、1週間後には復旧の道筋が見えてきた」と言う。
 下請けの播州基礎興業(兵庫県姫路市)の名里之宏さん(52)は海への汚染水流出を防ぐ遮水壁の設置作業を担当している。「こっちの環境に不慣れで、凍った現場で足を滑らせている」と冬場の作業の難しさを明かした。

2013年03月02日土曜日

 

 

 東京電力福島第1原発の共用プールから、使用済み核燃料2500体を乾式キャスクという水を使わない鋼鉄製容器に移して屋外で仮保管するための準備が進んでいる。4号機使用済み燃料プールに残る1533体の燃料受け入れに向け、共用プール内にスペースを確保するための措置で、移送は4月に始まる。

 共用プールは4号機の西側にある別棟の施設で、燃料6377体が冷却保管されている。東電は1~4号機のプールの全燃料計3106体を移す考えだが、共用プールの収容量は既に約93%に達しており、移送にはスペースを空ける必要が生じていた。

 使用済み燃料は長期間熱を出し続けるため、日本の原発では主に、プール内で水を循環させて冷やしている。 しかし第1原発事故では4号機プールの冷却機能が失われ、燃料が水面から露出する恐れが指摘された 。

 共用プールの燃料は既に十分冷却されているため、移送後の保管には、電源を使わずに空気を循環させて自然冷却するキャスクが使われる。原子力規制委員会も、地震や津波の影響を受けにくいとして、キャスクによる保管を推奨している。

 キャスクは全長約5・5メートルの円筒形で、 1基 につき37~69体の燃料を収容できる。仮保管場所となる敷地内のグラウンドには、移送に備え11基が届いている。

 11月に始まる4号機からの移送に続き、2014年度末には3号機プールの566体も 共用プール への移送を開始する計画だが、1、2号機については、原子炉建屋付近の線量が高く、移送のめどは立っていない。

 仮保管場所には50基以上のキャスクが並ぶことになるが、いつまで仮保管されるのかや、仮保管後の扱いなどは決まっていない。

 (2013年3月11日、共同通信)

 

 

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 東京電力福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した後の水をためるタンクが、増設のスピードを優先して溶接しなかったため耐久性が劣り、三年後には続々と大改修を迫られることが分かった。敷地内にタンクを増設する用地がなくなる時期とも重なる。処理水には除去が極めて難しい放射性物質も含まれ、このままでは、またも汚染水の海洋放出という事態を招きかねない。 (小野沢健太)

 処理水タンクは、帯状の鋼材をボルトでつなぎ合わせて円筒形にし、内側に止水材を施し、鋼材のつなぎ目はゴム製のパッキンを挟んで締め付ける構造。一千トン級の大容量タンクだが、一週間ほどで組み立てられる。溶接をして頑丈に造るより短期間で済むため、急増する汚染水処理をしのぐためには好都合だった。

 しかし、東電が「仮設タンク」と呼んでいたことが示す通り、長期の使用を想定していなかった。当初は二〇一一年度中におおむね汚染水処理は終わる予定だったが、現実にはタービン建屋地下に、今も一日四百トンの地下水が入り込み、原子炉から漏れ出す高濃度汚染水と混ざり、水量がどんどん増えている。

 処理した汚染水の一部は原子炉を冷やす水として再利用するが、使い切れない水は、次々とタンクを造ってためるしかない。処理水はセシウムこそ大幅に除去されているが、他の放射性物質が残る汚染水。漏れがないか、作業員が定期的にタンク群を見回ってボルトを締め直すが、無用の被ばくを招いているとも言える。

 タンクのパッキンなどの耐用年数は五年ほどで、一六年春ごろから改修が必要。そのころには、現時点で計画中のタンク用地も使い果たしている見通しで、新たな用地確保とタンク増設、改修を同時並行で進めなければいけなくなる。

 東電によると、すでにタンクは千基近くあり、このうち約二百七十基の改修が必要となる。

 準備中の新たな除染装置が稼働すれば、約六十種類の放射性物質は除去されるが、放射性トリチウムは残り、海への放出はできない。東電は一昨年四月、意図的に汚染水を海へ放出し、国際的な批判を浴びた。

 東電の担当者は「当初は急いでタンクを用意する必要があり、ボルトで組み上げるタンクを選んだ」と説明。最近になって東電は溶接したタンクを導入し始めたが、増える処理水に対応するので手いっぱいの状況だ。

 <放射性トリチウム> 原子炉内で発生する放射性物質の一つで、三重水素とも呼ばれる。水と非常に似た性質のため、現在、大量に処理する技術はない。福島第一にたまる処理水には、排出が認められる法定限度(1立方センチ当たり60ベクレル)の約38倍の約2300ベクレルのトリチウムが含まれている。新しい除染装置で処理してもトリチウムはそのまま残る。

 

 

アイナメ51万ベクレル 第一原発港湾内で捕獲 魚類最大値

 東京電力は28日、福島第一原発の港湾内で捕獲したアイナメから1キロ当たり51万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。魚類の過去最大値。
 このほかムラソイからも27万7千ベクレルを検出するなど、測定した53点のうち16点で10万ベクレルを超えた。いずれも東電が港湾で進めている魚の駆除作業で捕獲した。これまでの最大値は昨年12月に捕ったムラソイの25万4千ベクレルだった。
 原発事故後、高濃度の汚染水が海水に流出しており、東電は「セシウムが濃縮された結果」とみている。東電は港湾口の海底(水深約10メートル)に高さ約2メートルの網を設置し、汚染土が堆積した海底付近の魚を湾外に出にくくする対策を講じている。
 本県沖では試験操業を除いて漁を自粛しており、港湾付近の魚が流通することはない。
 アイナメの検査結果は県漁協組合長会でも報告された。出席者は福島第一原発の港内に生息する魚の駆除の徹底や港湾口の閉鎖などをあらためて求めた。県漁連の野崎哲会長は「専門機関に検体を預けるなどして原因を明確に説明してほしい」と話した。

(福島民報 2013/03/01 11:02 カテゴリー:主要 )

 

 

基準5000倍超のセシウム 第1原発港湾のアイナメ

 東京電力は28日、福島第1原発の港湾内でとったアイナメから、魚類では過去最大値となる1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。国が定める一般食品の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)の5100倍に相当する。

 このアイナメを1キログラム食べた場合の内部被ばく線量は約7・7ミリシーベルトと推定される。このほかムラソイからも27万7千ベクレルを検出。いずれも東電が湾内で進めている魚の駆除作業で見つかった。

 東電は港湾口の海底(水深約10メートル)に高さ約2メートルの網を設置しており、汚染土が堆積した海底付近の魚を湾外に出にくくする対策を講じている。東電は「網をこれ以上高くすると船が通れなくなる。引き続き魚の駆除を進めたい」としている。

 水産庁などによると、これまで魚類の最大値は第1原発港湾内で捕獲されたムラソイの25万4千ベクレルだった。福島県沖ではミズダコなどの試験操業を除いて漁を自粛している。

 2013年3月1日 中国新聞

 

 

毎日新聞 2013年03月05日 東京朝刊

 東京電力福島第1原発事故からまもなく2年。水産物の放射性物質検査では、国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えるものはほとんどなくなった。一方、一部地域の魚からは、基準値を超える放射性セシウムが今なお検出されており、研究機関が原因を調べている。【斎藤有香】

 水産庁によると、原発事故後、今年1月31日までに東日本の海や川などで取れた水産物2万4848検体を検査。90・1%が基準値以下だった。このうち、福島県で77・9%、同県以外では97・3%が基準値を下回っていた。津波の影響で漁業が数週間操業できない間に、検査後の出荷を徹底。このため、基準値超の水産物が出荷されて一部回収できなかったのは、昨夏の1度だけだった。養殖魚は、生産者が事故後に取れた餌の使用を自粛し、福島県の一部を除いて基準値を超えたことがない。サンマなどの回遊魚も、基準値を超えたことはない。

 太平洋沖を北上する黒潮の影響で、千葉県銚子沖より南に分布する魚に汚染はほとんどないが、原発の南側から北茨城の沿岸、浅瀬に生息するアイナメ、ヒラメ、メバルなどの「底魚(そこうお)」では汚染度が高い。現地調査を続ける東京海洋大の神田穣太教授(化学海洋学)は「魚に放射性セシウムが入る原因は水か餌。きれいな水に移すと、1カ月で濃度は半分以下になる」と話す。チームは11年7月、福島県いわき市沖3キロ~沿岸の海底から、魚の餌になるプランクトンを採取した。岸から離れた場所ほどプランクトンの放射性物質濃度は低い傾向にあり、沿岸では1キロ当たり数百ベクレルが検出された。一方で、海水の放射性物質は検出下限値を下回っている。神田教授は「餌が汚染される仕組みを解明することが重要だ」と話す。

 昨年8月から今年2月にかけ、原発から北に約20キロ離れた沖合や、原発港湾内で取れたアイナメから、1キロ当たり2万~51万ベクレルの放射性セシウムが検出された。専門家の間では、事故直後に港湾内で汚染された魚が外に出たとの見方が強い。東京電力は今年半ばをめどに、汚染された魚が出ないように港湾と外海を仕切る魚網を、金属製で目の細かいブロックに替える。

 淡水魚は海産魚と比べ、放射性セシウムが体外に排出され半分になる「生物学的半減期」が3~4倍と、影響が長期化する傾向にある。ただ、水産総合研究センターの研究では、淡水魚のアユは事故後1年で放射性物質濃度が急減した。アユは生まれて1年で死ぬので、事故後に生まれた魚は汚染度が低いとみる。水産庁は汚染されていない魚に標識をつけて川や海に放し、世代交代の影響を調べ、漁場再生を目指している。

 

 

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3 コメント

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Unknown (通りすがり)
2013-03-20 09:28:51
重要な情報をありがとうございました!
電源喪失という同じ過ちを繰り返した東電!
怒りを通り越してあきれるばかりで
さもありなん、というあきらめの境地です。
こんな状況でオリンピック誘致ですんであきれ果てます
世界の人に迷惑掛けられない、イスタンブールに任せろですね。

汚染水タンクが2年間の割に少ないと思います
気になっていたら案の定漏れていた!
こんな状態で水産業が行われているんですから
基準が甘い放射能による内部被ばくで日本人はどうなるのやら!

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Unknown (horihori)
2013-03-21 20:09:51
F1はほんま綱渡りですね…まだ運は尽きてない感じだから、現場で働いている人達は大変な苦労をされていると思いますが、やはりもっと国を挙げて人事を尽くすべきだと感じます。

停電の原因と言われる小動物は、F1の中で生きている間に何を見聞きしたのか…どれだけ被曝したのか…小動物なら親世代が被曝した次の世代かもしれないから、その辺りを研究したら被曝と遺伝や次世代への影響なんかも何か分からないかなとか、とりとめも無い考えを巡らせました…
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汚染水 (kei)
2013-03-24 23:50:23
事故直後に、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏が、汚染水をタンカーで柏崎刈羽原発に運び、浄化装置に掛けるというアドバイスをしていましたが、何故それが行われなかったのかに興味が有ります。
氏は、地下水への浸透も危惧し、地下ダムを設けるべきとのこともいっていましたが、これも未だ手がける気配が有りません。
東電は被曝被害を食い止めたり、事故を引き起こしてしまった反省をすることよりも、自社の存続方法だけに意識が向いていると感じます。
致死量の毒物をばら撒いておきながら、その無神経さが恐ろしい。
こんな会社は早く潰さないと、国益を損ねるだけです。
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