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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

税と社会保障の一体改革 富裕層の所得税・相続税を増税し、富裕税の創設を! 消費税増税は被災者直撃!!

2011年07月01日 | 所得の再分配と格差社会の是正


下の図のように日本の所得税は世界でもまれに見る低い水準です(緑が所得税 赤が法人税)


 

 

所得税の最高税率は1983年には75%ありましたが、小泉内閣以降の減税措置で大幅に引き下げられ、税収も低下傾向にあります。所得税の税収は19兆円から現在では14兆円と、年間5兆円も減ってしまっているのです。

今の最高課税率は40%とされていますが、実際には年間1~2億円の高額所得者は、所得税を、最高でも26・5%しか支払っていないのは下のウィキペディアにあるとおりです。分離課税を駆使することで所得100億円以上の人はかえって税率が減って税金14・2%だなんて、年間所得が330万円の人が20%もし払っているのに酷すぎます。

 

せめて最高税率60%にして、最高税率の方々だけではなく、きめ細かく累進課税率を上げることで、高所得者からの所得税歳入を上げて低所得者への歳出に回す所得再分配、格差社会の是正を図るべきです。たとえば、現在の最高税率の対象となる納税者に対する税率を20%上げると得られる税収は彼らだけでも年間7000億円得られます。そこまでいかない高所得者もあわせると消費税を5%上げるのと同じ3兆円はすぐにも得られるのです。

 

冒頭の図のように、以上のような高所得者優遇税制のせいで、わずか2年間で富裕層は4%増え、その資産は19%も増えています。所得税はどうしてもかいくぐられてしまいますから、富裕層への資産税・富裕税も創設すべきです。

 

 


相続税も税率構造が緩和され、課税対象者は現在4%程度でしかありません。日本という資産を生かして財産を残せたのですから、税率アップと共に控除枠を見直して、せめて上位2割の相続財産については相続税を支払ってもらうべきでしょう。そうでないと生まれながらにして差がつく貴族社会になってしまいます。

 

法人税も支払っていない企業が多すぎます。法人税を上げると企業が海外に逃げると言いますが、海外の労働賃金が安いので海外進出する企業はとっくにしてしまっています。法人税のアップでさらに海外流出が増えるわけではないのです。これも日経や産経の流すデマです。

「日本の法人税は大企業を中心として優遇税制を敷いており、ソニーの12.9%を筆頭に、実際の負担率が極めて低い状況である。また、日本の法人税率の高さが海外移転の主な理由ではないことも一部調査で明らかとなっている」(ウィキペディア 「法人税」より)

 

 


さらに、日本は高額所得者への社会福祉が手厚いので、社会保障をしたあと、格差が広がるという世界で唯一の国です。富裕層への年金などは大胆に減額すべきです。

 

東日本大震災 復興財源構想 消費税増税反対!所得税の累進課税率アップと富裕税導入で所得格差減らせ

 

 

マスメディアは消費税増税の日程を確定せよとまるっきり庶民無視の論調ですが、消費税は低所得層、被災者・被災企業を直撃します。今、被災地と日本経済がそれに耐えられないのは明らかです。


税の改革は、直接税=所得税・法人税・相続税の累進課税率アップ。

社会保障の改革は、富裕層への福祉カット。


税と社会保障の一体改革は、こんな単純なことでいいのです。

 

 

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ウィキペディア 「所得税」 より

「所得税の最高税率は1986年までは70%であったが、一旦37%まで下がり、2007年度では40%(課税標準1800万円以上)になっている。しかし、財務省によると、2007年現在の申告者の実際の所得税負担率は、所得が1~2億円の納税者(26.5%)がピークになっている。それ以上の高額納税者は逆に下がり、所得100億円以上では14.2%となっている。これは、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等は、他の所得と分離して納税する分離課税が選択できるためである。分離課税は通常の納税(総合課税)に比べ税率が低い物が多く、また高額所得者は、分離課税が適用できる所得の割合が高いことが多い。その結果、高額所得者の実質税負担率は低くなるのである。たとえば株式等の譲渡所得は、金融機関などを通した上場株式は2011年分までは7%(他に住民税3%)、2012年分以降は15%(住民税5%)。それ以外は2011年分までは20%(所得税6%)、以降は上場株式と同等の税率が設定されている。上場株式の場合、2011年分までは所得が195万円を超え 330万円以下の納税者に適用される税率10%より低くなっている

 

 

琉球新報 社説

高齢化率上昇 国民を疲弊させて改革か 2011年7月1日

 政府・与党は、経済状況の好転を条件に消費税を2010年代半ばまでに段階的に10%に引き上げる方針を決めた。社会保障と税の一体改革の原案では「2015年度までに10%へ段階的引き上げ」となっていた。党内の根強い反対論に配慮し修正した。
 民主党は09年衆院選で消費増税を4年間は行わないとしており、増税方針は政権公約違反だ。大幅増税路線への政策転換は、いずれ選挙で国民に信を問わねばならない。
 「歴史的な決定だ」と自賛する菅首相に、違和感を禁じ得ない。
 一体改革案は、優先課題として(1)子ども・子育て支援、若者対策(2)医療・介護等のサービス改革(3)年金改革(4)「貧困・格差対策」「低所得者対策」―を掲げる。
 社会保障制度を国民のニーズ、時代の要請に適合する形で見直すのは必要なことで否定はしない。だからと言って、財源を直ちに消費増税に求めるのは短絡的だ。
 増税はあらゆる手を尽くした末の最終手段だ。徹底した歳出改革もなしに増税に頼るのは論外だ。
 民主党が鳴り物入りで始めた事業仕分けは切り込みが不十分だ。日本経済や国民生活の疲弊をよそに、米軍への「思いやり予算」を端から聖域視した点などは象徴的な例だ。省庁や官僚の「利権の温床」と言われる特別会計への切り込みも中途半端なまま。歳出改革を徹底したとは到底言えない。
 菅政権は今回「将来世代への付け回しをするのは政権党の体をなさない」「先送りすれば国債価格が下落する」と半ば脅し文句で反対論を押し切った。これを見過ごすほど国民の目は節穴ではない。
 この十数年の経済政策のありようから、消費増税が景気減速を招き、企業経営の破綻、リストラ、失業、生活の困窮、進学・就職難、無保険世帯の増加、うつ病や自殺など「負の連鎖」の引き金とならないか懸念される。
 「負の連鎖」を防止するセーフティーネットなどを一顧だにしない政策決定の在り方は、国民を置き去りにし暴走以外の何ものでもない。
 一体改革が社会保障の立て直しに成功する保証はどこにもない。国民が増税に耐えられず困窮する危険性もあるだろう。国民不在の意思決定は非民主的で時代錯誤も甚だしい。長い目で政治の安定を考えるなら遠回りでも決定を凍結し議論を仕切り直した方がよい。

 

 

 


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10 コメント

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はぁ… (kaka)
2011-09-20 04:54:18
好きですねぇ

金持ち叩きというかなんというか

そのツケを払わされるこっちの身にもなってほしいものです…
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叩いているんじゃないんです (ray)
2011-09-20 08:17:48
お金持ちを批判しているのでもないんです。
少し負担を元に戻して欲しいだけです。
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Unknown (Unknown)
2011-09-20 17:52:13
日本人はどんなに重税を課しても、外国へ逃げたりはしませんよ。いつもこの島国に逃げ帰って来るんです。日本から出るのが怖いんです。
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増税はデフレを増進するので増税に絶対反対 (カフェ)
2011-09-21 06:37:30
 上記のkara様とUnknown様のご意見は、日本国内の同様な増税問題で、必ず登場する一般国民、住民のいわゆる常識的な見解です。
 そもそも、この問題を一言で、云々すること自体が難問の一つでして、色々と夫々の考えをじっくりと述べて、議論してみることが、大変大切でしょう。
 わたし個人は、この時期に増税を、総て経済的なデフレの国際、及び国内危機に、直面している最中に強行すすことに、絶対反対です。
 ケインズ主義の歴史的なルーズベルトTVA計画を、アメリカの経済学博士課程セミで、勉強した体験、その国際経済の政府エコノミスト、また大学教授として実地へ調査に行って、国の施策に反映してきた経験からの結論です。
 
 
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財政再建は夢のまた夢 (Bon)
2011-09-21 23:02:08
しかし、法人税をさらに減税し富裕層には優遇税制、一体どこから税金を取ろうというのだろう。一般勤労者は約三分の一強が非正規でおまけにワーキングプアと言われる層が増大してきている。
また、消費税による財政再建が模索されているが、そもそも消費そのものがこの様な状況の中冷え込んでいるのに、いくら消費税を上げても入ってくる税金はそれほど上がらないだろう。それどころかますます消費を冷え込ませ、経済そのものが崩壊の危機を迎えるのではないか。
次の世代に「つけ」を残さないと言いながら、崩壊した日本を次世代に残してどうするのだろう。
相対的に見ても日本の法人税が高い訳ではないし、企業の大半は法人税そのものは海外移転の理由ではないと言っている。また、今は逆に歪な株式市場が企業の「健全な発展」を阻害している面が多い。そこへの税制面からの改革が必要なのは当然だろう。
それらを通して健全な税制を構築すべきと思う。
それと消費税の増税などは「高給官僚」の天下りの禁止により税金の無駄遣いを廃止してからの話であるのは言うまでもない。
消費税の税制そのものも色々問題があるのでそれも法改正が必要ではあるだろうが。と長くなりすぎたのでここまでと言うことで。
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ばかばかしい (共産主義反対)
2011-10-21 22:42:54
累進課税こそ間違っている。これを正当化できる論理はありえない。
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ばかばかしい(共産主義反対)さんへ (Unknown)
2011-10-22 00:16:46
 ばかばかしい(共産主義反対)さんへ、累進課税と共産主義は、何らの関係もない。
 税法の課税とは何か、また共産主義とは何か?を、勉強したことがなくて、「正当化できる論理がない」など、自分で論証できないので、勝手なイチャモンを付けているだけだ。
 学力も、高校生の社会科レベル以下、情けないネ!
返信する
感想 (ちぇき)
2011-10-29 01:17:49
市場で取引された価値物に貢献したものが貢献におうじてその対価として報酬をえるのは当然です。それと同じように、そのような高額な報酬を対価として得る機会をもったものはその機会を得た対価としてみあう税金を支払うべきです。日本が諸外国と比べてその税制に改善の余地があるのなら、改善すべきだと思います。とても勉強になりました。
ありがとうございます。
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Unknown (Unknown)
2011-10-30 10:11:15
高額所得者はそれ相応の努力をしています。リスクもおかして事業を成功させないといけません。国民皆平等と憲法でうたっているので、所得税率も同じにし、消費税を大幅に上げ、消費した分税金を払う.こうすれば暴力団など所得を隠しているところからも、税金が取れます
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貧困層に近いです (ねこね)
2016-10-28 17:14:39
一人親、一人子供です。
年金は年所得で170万ですが、今は特養です。2割負担で4段階になるので請求額は月17万超えです。
私は55歳ですが3.11で会社がクローズし、再就職するも1号俸スタートになったので年収がこれまた400万ぐらいです。

これ以上、親の財布に手を突っ込まれると、特養の費用が賄いきれず、そうなると介護離職して在宅介護を強いられそうです。

でも私の勤めている会社は大企業の親族会社なので、なんの実力が無くても彼らは最初から年収15,600,000万です。彼らの冬のボーナス260万は私の1年間の生活費です。

そんな生活です。
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