この人を完全にブロックしたほうがいい。
政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて内閣全体で取り組むため、安倍首相を本部長にすべての閣僚が参加する推進本部を設置し、2015年7月24日午前、総理大臣官邸で初会合を開きました。
この中で、安倍首相は
「2020年の7月24日が東京オリンピックの開会式です。きょうからちょうど5年後の7月24日にオリンピックが開幕します。
世界中の多くの人々が夢と希望を分かち合える歴史に残る大会、東日本大震災から復興を成し遂げた日本の姿を世界に向けて発信する大会となるよう、取り組んでいきたい」
と述べたそうです。
遠藤五輪担当相も、盛んに東日本大震災から復興した日本の姿を世界に見せたいなどというのですが、それならば、オリンピック開催が震災からの復興に大きくマイナスになることを直視しなければなりません。
私が新国立競技場建設問題に関する報道で一番ショックだったのは、競技場建設で出てしまう残土の量が膨大で、これを運び出すのに1日100台の10トントラックでは10年!かかるので、東日本大震災の復興に回っているダンプカーも含め、全国からトラックを呼び寄せないといけないということです(モーニングバード調べ 7月8日)。
つまり、オリンピックは震災からの復興の妨げになりかねないのです。
2020年東京五輪の開催まで5年となった24日、東京都江東区のシンボルプロムナード公園で東京五輪・パラリンピック組織委員会と東京都の主催のカウントダウンイベントが開かれた。陸上のメダリストらによるリレー教室では、小学生らがバトンパスを教わり、元気に走っていた。
開会が近づくにつれてお祭り騒ぎが高まるだけに冷静な監視が必要。
もちろん、財政面でも同様です。
例の森元首相は、新国立競技場を含むオリンピック全体の費用について、当初は約8000億円と見積もっていたのですが
「最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」
「ソチは5兆円かかっている。五輪は大変なお金がかかると、あえて申し上げたい」
だなんて言っています。
新国立競技場が最初1300億円というのがそもそも高すぎたんですが、全体で8000億円もかかるなんて、不明にして知りませんでした。
まして、2兆円?
そんな金があるなら、福島原発事故の復旧や震災の復興に使うべきでしょう。
5兆円かけたソチなんてこんな状態ですよ。
さあ、地獄のオリンピック跡地めぐりを始めよう。より
ちなみに、昨年、2014年の2月にやったばかりのロシア・ソチオリンピック。
半年後の8月にはゴーストタウンになった。
お金の面だけでなく、震災復興ではもう人手不足が深刻化しています。
オリンピックにお金が使われるとなると、今後5年間、建設業界などは上に述べたトラックや重機ばかりでなく、作業員を首都圏に集中させることになり、反射的に東北地域は人手不足に拍車がかかるに決まっています。
福島原発事故の復旧にも悪影響が出ます。
こうなると、「原発事故を完全にコントロールしている」と一国の宰相が大ウソをついてまでオリンピックを招致したこと自体が間違いだったということになります。
オリンピック招致の最終プレゼンで大嘘をついた安倍首相「福島原発事故は完全にコントロールしている」
こんなことを後で言う人の戦争法案なんて、危なくて乗れるわけがない。
ですから、オリンピック招致を辞退しようという意見が出るのはとてもいいことだと思うのですが、私個人としては、今からオリンピック招致自体を返上しましょうという運動は、どうしても成功のイメージが持てません。
ならば、オリンピックはやるけれども、できるだけ金を使わない真の意味での「コンパクトオリンピック」を目指そうというのが現実的だというのが今回の記事です。
既存の施設を使って、お金を極力使わないということは、それだけ物も人も東京に集中させないことにつながるので、相対的に東北が助かります。 資材と手間賃の高騰も抑えられます。
また、こういう計画変更の見直しなら、やることがどんどん減るので開催にも十分間に合います。
たとえば、新国立競技場については末尾にあるように、国立競技場の設計図を使ってそのまま復元すれば、環境破壊も周辺団地の取り壊しも地域住民の移転も必要ないという有力な案が出ています。
2520億円が1300億円に戻ったら、半額になったからまあいいや、ではダメです。最初から吹っかけられてぼられそうになっていたのですから、さらにその半額のロンドン・北京以下にさせないといけません。
これから人口がどんどん減るのですから、新施設なんていりません。まさに、オリンピック招致に失敗していたらこういう東京のはずだった、というのと同じくらいのゼロベースで、人・物・金を動かさないコンパクトオリンピックを提案します。
安倍首相は戦争法案も白紙撤回しろ。そして、新国立競技場建設計画を「白紙に戻す」にもだまされない。
私もこの問題に関心が薄すぎたと反省しています。
ゼネコンを支持基盤にする自民党は常に無駄な開発をしようとするので要チェックです。
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毎日新聞 2015年07月24日 09時30分
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設に伴い、予定地の南側にある都営団地「霞ケ丘アパート」が取り壊される。ここに来て政府が競技場の建設計画を一から見直すことになり、転居を迫られる住民からは戸惑いの声が聞かれる。五輪開幕まで24日でちょうど5年。
◇五輪開幕まで5年
「壊す前に何か方法がなかったのかしら」。アパートで1人暮らしの柴崎俊子さん(88)は、新国立競技場計画の白紙撤回を複雑な思いで見つめる。
アパートは前回1964年東京五輪を控えた60年、国立競技場周辺の再開発で建設が始まり、10棟が建ち並んだ。それから半世紀余、国立競技場は建て替えのため解体され、新競技場の敷地は拡大されることになった。これに伴ってアパートは16年にも取り壊されることが決まり、跡地は公園となる予定だ。
新国立競技場は計画が見直されても、収容人数を従来の5万4000人から、五輪会場に必要とされる8万人に増やす方針は維持される見通し。周囲に「人だまり」のスペースが必要になるため、アパート取り壊しの計画は変わっていない。
新国立競技場の従来計画のデザイン募集が始まった12年夏、住民に移転の話が伝えられた。その頃は約230世帯が暮らしていたが、今は約135世帯。6割程度が高齢者だ。
「環境が変わることは、年寄りにとって本当にマイナス」と柴崎さんはこぼす。近くの別の都営住宅への入居を希望するが、間取りは3DKから1DKになる。高齢のため利用している介護ベッドを新居に置いたら、部屋がいっぱいになる。
現在もアパート取り壊しに反対する声はあるが、地元町会長の井上準一さん(69)は「希望を持って元気で移転しようと思っている」と言い切る。それでも一連の騒動で、競技場の足元で暮らしてきた住民の感情がかき乱されるのではないかと懸念する。「(競技場が)小さくなるんだったら、動かなくていいんじゃないかって思う人も出てくる。今になって何でという気持ちはありますよ」【武本光政】
◇都の再開発構想に影響も
新国立競技場を含む神宮外苑地区では、東京都が「スポーツの聖地」と位置づけた再開発構想を掲げる。ただ、新国立競技場の計画見直しで構想に影響が及ぶ可能性もある。
都は今年4月、ともに老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を場所を交換して建て替え、さらに新たなスポーツ関連施設を設ける構想を公表した。
構想によると、対象エリアは約17ヘクタール。20年大会前に日本スポーツ振興センター(JSC)がラグビー場を解体して五輪用の駐車場などに活用し、大会後は明治神宮が22年度末までに野球場をつくる。その後、現在の神宮球場と神宮第2球場を解体し、跡地にJSCが25年度末までにラグビー場を整備する。新ラグビー場完成までは新国立競技場を活用する。
ところが、19年5月だった新国立競技場の完成予定は、計画見直しで20年春にずれ込んだ。
秩父宮の解体開始時期は未定だが、一定期間、このエリアで大きなラグビー大会が開けない可能性もある。
日本ラグビー協会関係者は「『聖地』だったこの地域でラグビーができなくなるとしたら、一時的でも寂しい」と話す。【飯山太郎】
山岸一生 松沢憲司 2015年7月24日09時25分 朝日新聞
2020年東京五輪の開会式は7月24日に行われる。開幕まであと5年となったが、大会関係者は、白紙に戻った新国立競技場建設計画の練り直しに追われ、大会理念の普及や被災地復興への取り組みは後回しだ。競技会場も各地に広がり、選手の輸送対策も急務となる。そんな中、招致成功の立役者は「一人でも多くの人に良かったと思われるような五輪に」と願う。
タイムライン:新国立競技場
1カ月前の高揚感は消え、ひっそりした船出だった。23日に動き出した新国立競技場の整備計画再検討推進室。6月26日、五輪・パラリンピック推進本部が立ち上がったときは安倍晋三首相も事務局に駆けつけて祝ったが、推進室の立ち上げ式は非公開で淡々と行われた。
ここ数日で関係省庁や東京都からスタッフがかき集められ、約20人体制でスタートした推進室。喫緊の課題は振り出しに戻った新国立競技場の整備計画策定だ。批判を浴びた総工費をどこまで抑え、どんな競技場をつくるのか。アスリートらにも話を聞きながら9月をめどに計画をまとめ、デザインや設計・施工業者を一括で選ぶ入札を行い、来年1月か2月に設計を始め、20年春の完成をめざす。
だが、この1カ月間の混乱のつけは大きい。
「五輪の大きな目的の一つは大震災から復興した日本を見てもらうこと。早い時期に被災地に赴きたい」
6月25日に就任した遠藤利明五輪担当相は就任会見でそう抱負を語っていた。
東京五輪に向けた首都圏の建設ラッシュで資材や人件費の高騰に拍車がかかり、東日本大震災の被災地の復興が遅れかねない。五輪を復興に生かす道筋を描くのも、五輪相の重要な役割とされる。被災地での五輪追加競技の開催やトレーニング地としての活用が検討されているが、新国立の対応に追われ、遠藤氏の被災地訪問さえ実現できていないのが実情だ。
一方で、「五輪予算」の要求は後を絶たない。警察庁や消防庁は自民党の調査会に、テロ対策の一環として増員や最先端装備の開発を報告しているが、「ここぞとばかり、各組織のやりたいことを盛り込んだ印象がある」(自民党議員)。7月15日、遠藤氏にパラリンピックへの支援を要請した野田聖子・前党総務会長は「私は欲張りなので、できるだけ(予算を)頂きたい」と記者団に語った。
選手育成、外国人観光客対策、バリアフリー化。調整の仕切り役であるはずの五輪・パラリンピック推進本部だが、幹部は嘆く。「正直言って、今はとにかく新国立。他はとても手が回らない」(山岸一生)
■財源・輸送、難題が山積み
開催都市の東京都は、大会後も恒久的に残る競技施設と、14~17階建ての22棟のマンション型の選手村(中央区晴海)を整備する。新たに造る競技会場だけでも7施設。招致決定後の試算で当初予定の約3倍となる4584億円まで膨らむことが判明し、バドミントンなど3会場の建設を中止することで、2469億円まで圧縮した。
着工済みは1施設のみで、残り6施設はこれから実施設計に入る。ただ、都の担当者は「(新国立競技場のような)国のシンボルになる施設を造るわけではなく、一般的なスポーツ施設。ノウハウの蓄積はある」と自信を見せる。
2006~09年度に積み立てた4千億円の「開催準備基金」を充てる。新国立競技場に加え、5年先まで、同時並行で都心の建設ラッシュが続き、資材高騰や人手不足も懸念される。都幹部は「コストは経済状況にも左右され、防ぎ切れない増加もあり得る」と話す。
会場計画の見直しにより、招致時に掲げた「世界一コンパクトな大会」の売りは消えた。千葉市の幕張メッセや神奈川県藤沢市の江の島など選手村から30~60キロに会場が分散され、移動手段の確保という課題も出てきた。
首都高などに選手や関係者の車を優先的に通すオリンピック専用レーンを設けて対応する方針だが、地域や時間帯によって大渋滞が起きる可能性もある。大会組織委員会と都は30日に国やさいたま、千葉両市、警視庁などと輸送連絡調整会議を開き、本格的な協議を始める予定だ。
サイバーテロ対策も急務だ。12年ロンドン五輪の期間中には、公式サイトが約2億1200万回の不正アクセスにさらされた。国内では6月に、日本年金機構がサイバー攻撃を受けて約101万人分の個人情報が流出した。東京の組織委は今年、NTT、富士通、NECの3社とスポンサー契約を結んだ。森喜朗会長は「サイバー攻撃に対する防御システムを作るため」と狙いを明かす。
組織委は昨年10月、大会の基本コンセプトとして、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の三本柱を掲げた。人種、宗教、性別の違いを認め合い、選手それぞれが最高のパフォーマンスを披露し、日本が成熟国家として世界に前向きな変革を促すのが狙いというが、まだ広く認知されているとはいいがたい。組織委幹部は「今後このビジョンに沿った大会スローガンを練ることになる」と話す。(松沢憲司)
東京五輪、想定の倍以上「2兆円超すかも」 日本はそんなに余裕があったの?
いったい、いくらかかるのだろう――。2020年に開かれる東京オリンピック・パラリンピックにかかる経費が、「最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」そうだ。
大会施設や交通インフラの整備などを含めた、大会にかかる経費の総額というが、新国立競技場でさえ当初の1350億円から2520億円に膨れあがっているのだから、もしかしたら「2兆円超」では済まない可能性もないとはいえない。
「ソチは5兆円かかっている。五輪は大変なお金がかかる」
2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は2015年7月22日、東京都内の日本記者クラブで会見。大会施設の建設や交通インフラ整備など大会にかかる経費の総額について、「最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」と述べた。
新国立競技場の建設を含めた大会にかかる経費は当初、約8000億円を見積もっていた。その3倍近くに膨れあがると想定しているようだ。
さらに森会長は、五輪史上最高の大会経費が投入された2014年のソチ冬季大会を引き合いに、「ソチは5兆円かかっている。五輪は大変なお金がかかると、あえて申し上げたい」と強調した。
新国立競技場の建設問題は「白紙」になったものの、多くの国民の気持ちがいま一つスッキリしないなか、森会長のこうした発言にインターネットでは、
「まだ間に合う。イスタンブールでやってもらえ」
「なんだか景気のいいな(笑)なんなら自腹でやってくれ」
「新国立競技場の仇は他の施設で取り返す!www 3倍の2兆円だぜ」
「またハコモノを造るんだよね。バブル時代からまったく変わってなくって呆れるわ」
「金輪際、五輪なんか開催しなくてよし」
と、厳しい声が目立つ。
ただ、なかには
「国内で金が回るイベントなんだから、盛り上げて景気よくやりゃいいんだよ」
「2兆=日本のGDPの0.4%。余裕だぜ」
といった、理解を示す声も。ちなみに、森会長が引き合いにしたソチ五輪の開催経費は500億米ドル。当時のロシアのGDP(国内総生産)は1兆8000億米ドルで、その比率は2.6%だった。
じつは、森会長は2014年10月にも大会経費が当初の見込みを大きく上回る、と話していた。五輪開催が決定する前の計画にそって競技会場を整備した場合、円安の進展や東日本大震災からの復興で建築資材や人件費が高騰している影響から、「総額で1兆円とは言わないが、それに近いお金になる」と、五輪組織委員会の試算をほのめかした。
それから、わずか9か月で2倍にハネ上がったわけだ。
当初の計画は総額約8299億円だった
一方、東京都の舛添要一知事は早くから計画の「甘さ」を指摘。東京都が常設会場となる東京オリンピック・パラリンピックの会場整備計画を見直し、バドミントン会場の「夢の島ユースプラザ・アリーナA」とバスケットボール会場の「アリーナB」、セーリング用の「若洲オリンピックマリーナ」(いずれも江東区)の3会場の建設を中止した。
東京都は、五輪招致時には新たに10会場を含む常設会場を1538億円で整備する計画だったが、資材高騰の影響や周辺整備などを含めて約3倍の4584億円に膨らむ見通しとなった。そのため、3会場の建設を取りやめて、約2000億円を圧縮した。
代替施設は、バスケットボールが「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市)、バドミントンは「武蔵野の森総合スポーツ施設」(新設、東京都調布市)。セーリングは「江の島ヨットハーバー」に変更される。
東京都は「基本的には7施設、約1500億円の上限に近づけたいと考えています」と話す。今後、計画が具体的に進む過程で経費が膨らんだとしても、「できる限り(1500億円の)範囲内に抑えたい」と強調。会場のさらなる見直しもあるかもしれない。
とはいえ、国から新国立競技場の建設費用の一部負担を持ちかけられたり、代替地となった江の島ヨットハーバーにしても施設の拡張・改修の程度によっては一部費用を求められたりする可能性もある。費用がかさみそうなことばかりだ。
ちなみに大会施設は、新国立競技場は国が、東京都の常設施設は都が、仮設会場の整備は五輪組織委員会が費用(723億円を拠出)を負担する。
招致段階の詳細な計画を示した「TOKYO 2020立候補ファイル」によると、当初は競技場の運営費など大会運営にかかる予算として3412億円。加えて、競技会場や選手村の建設、東京都内にあるスポーツ施設の改修、セキュリティーや通信インフラ、医療施設の整備などの間接的な費用として4887億円。あわせて8299億円が必要になると試算していた。
五輪推進本部初会合 首相“準備加速を”
この中で、安倍総理大臣は「2020年の7月24日が東京オリンピックの開会式です。きょうからちょうど5年後の7月24日にオリンピックが開幕します。世界中の多くの人々が夢と希望を分かち合える歴史に残る大会、東日本大震災から復興を成し遂げた日本の姿を世界に向けて発信する大会となるよう、取り組んでいきたい」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「大会までの期間が限られているなか、新しい整備計画の策定に全力を挙げ、2020年のオリンピック・パラリンピック開催までに新しい競技場を間違いなく完成させ、世界の人々に感動を与える場としていきたい」と述べ、新しい国立競技場の建設を含め大会の準備を加速するよう指示しました。
推進本部では、テロやサイバー攻撃への対処などの安全対策や、大会の円滑な運営に向け、複数の省庁にまたがる施策を盛り込んだ基本方針を作成することにしています。
2520億円という巨額の建設費に批判が集まっている新国立競技場。政府は見直しに舵を切り始めているが、この問題に「新国立競技場は建てちゃダメです」とブログやTwitterで主張し続けていたのが、一級建築士で建築エコノミストの森山高至さんだ。1月に掲載したインタビューでは、なぜこの問題が起こったのかの根本を掘り下げた。
では、なぜ今になって問題が表面化したのか。見直した後のプランはどうすべきなのか。話を聞いた。(取材日:7月16日)
■ゴタゴタの末の見直し劇の裏には何があったのか
――ついに、政府が見直しを入れようとしています。森山さんはずっと建ててはダメだと訴えてきましたが、一気に動いたのはこの2カ月ほどの出来事ですね。水面下では何が起こっていたんですか。
プロジェクトを推進するJSC(日本スポーツ振興センター)がなんとかして修正案の設計図で施工できないか、とずっともがいてたのは事実です。そこに2520億円の話が出てきた。
報道を見た政治家が、ゼネコンを呼んで説明させたら、難航していることがわかって、その話が官邸に行き、菅官房長官が下村文科相を呼び出し、下村文科相がJSCを呼び出し、「どうなってるの?」「実はうまくいってないんです」という話が共有されたようですね。
2520億円という巨額の工費で非難が集中した、JSCが作成した修正案
――下村文科相が舛添東京都知事に「500億出せ」というやりとりがあったあたりから、一気に報道も加速しました。
私の聞いたところでは、下村文科相と文科相の山中伸一事務次官の間で「なんで突然、2520億円なんだ」「いや、東京都に500億出させるから大丈夫です」というやりとりがあったらしいんです。
それに舛添さんが「なんで一役人にそんなことが決められるんだ」とキレた。そして官邸が下村文科相に指示して、会談を持つようにセッティングして、舛添さんはマスコミの前で「そんな話は聞いてない。500億は払わない」と言った。
あれは舛添さんのナイスプレーだったと思います。今まで「決まってることだから」と役人がこっそり進めていたことが、これで一気に財源問題、政治問題化して、報道がドカーンと増えた。そして世論が反対に傾いた。政府は政治決断を求められた。ざっくりとした流れはこういうことです。
――この問題の重要人物の一人、安藤忠雄さんは、会見で「デザインを決めただけだ」「自分はその先は知らない、国民と一緒なんだ」と言って、騒動の当事者でないことを強調していました。
国民と同じなわけないじゃないですか。審査委員長なのに。
――行政上の権限がなかったとしても、審査委員長として何かできたんじゃないかと思うのですが。
それは言えるでしょう。有力者ですから。間違いないのは、安藤さんは役人や政治家に対して、「ザハ案のままやろう」とプッシュしていたということ。「世界の安藤」として、組織委員長の森喜朗さんを信じさせて今まで沈黙していたわけですから。責任重大ですよ。でも、関西では安藤さんは神様だし、ヒーローだから、「安藤さんは悪くない、被害者だ」ってムードがあるのも事実でしょうね。
――安藤さんは「ザハ案でやりたい」とまだ訴えています。
ザハ案は捨てなきゃもうどうしようもないです。
――ザハ・ハディドには14億円支払われることになっているのが、国会で明らかになりましたよね。この額は妥当ですか?
おかしいですね。払いすぎだと思います。ザハの仕事に比べて、支払額が大き過ぎます。
図面を書いて、見積もりの査定もして、工事の管理もして、というのならわかりますが、「デザイン監修」と言って、絵を描いて口出しするだけでこの額はちょっと法外。そこには、ザハのアイディアや実作業ってほとんど入っていないと思うんです。
だけど「デザイン監修」という名目で、十数億のお金を動かしたい人たちがいる。私は、すごく怪しいと思っています。安藤さんが自分の選んだザハ案から程遠いJSCの修正案にこだわるのも不可解です。ザハでないと困る人がいっぱいいるんでしょう。
――ザハ案を残したい人がその理由として挙げるのは、国際公約だから、というのがありますよね。
あれは嘘ですよ。IOCのトーマス・バッハ会長は「ちゃんと間に合わせてね」って言っているだけ。第一、安藤さん自体が「建築のコンペじゃない、ただのデザイン案のコンペなんだ」って言っちゃったんだから、もう公約も何もないでしょう。
コンペで選ばれたハディド氏の原案
――今は、森喜朗さんも現行案をゴリ押ししている、と批判されていますよね。
森さんはどうでしょうね。今は政治家でもないですし、予定通りできるといいなー、新しい競技場でラグビーやりたいよなーって、ただの「待ってるおじさん」ですよ。
森さんと安倍さんや下村さんやらは政治家でありながら、師匠と弟子みたいな関係なんですよ。みんな、「師匠の言うことは絶対です!」って。「あんたたち落語家なの」って思いますよね(笑)おかしいでしょ。これが森ワールドなんでしょうかね。きっと、ついて行っている人からしたら、面倒見のいいおじさんなんでしょうね。
いずれにしても、安藤さん、森さんと、この問題の大御所、オールスターが登場したんで、見直しへもう走り始めてるということです。
2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗氏
■古い国立競技場の復活、これしかない
――これからの話をします。まず今、森山さんは自民党に勉強会に呼ばれたりしていますね。それは見直しが動き始めているからだと思いますが、実際、そこでどんな話をしているんですか。
もう、今まで言っていたことを何度も繰り返しているんです。それは3つ。「無理だから白紙に戻せ」「省庁またいで役人と有識者集めた首相直轄の組織を作れ」「古い国立を再現しろ」と。
――他のコンペの受賞案で建てるという報道もありましたが、安藤さんの会見を見る限り、コンペ自体がコストを精査していないんですから、無理ですよね?
無理でしょう。安藤さんもおっしゃってるとおり、要は絵を描いてもらっただけのコンペなんで。コンペの中から選ぶとすれば、まともに建つのは伊東豊雄さんの案だけ。伊東さんだけは、きちんと建つものじゃなきゃダメでしょう、というのをきちんと考えていたから。だから、一次審査では1位だったんです。それを、誰がやったかはわからないけど、伊東さんを中傷する怪文書を撒いて落としたんです。これは事実。こういう経緯があるから、伊東さんのが建つからといって選ばれる可能性は低いでしょうね。
伊東豊雄さんの案
――では、森山さんが政治家に訴えているビジョンは?
白紙に戻して、スピードアップできる建築設計案にするということです。
私が考えているのはすごくシンプルなこと。競技場は本来、フィールドがあって観客席が取り巻く、単純なものなんです。円形か楕円形。幾何学的に対称形だから、同じ部品を積み重ねて建てられんです。自動車だってそうでしょ。ベースになる車体があって、その上に乗っかるデザインのバリエーションで、何車種かできる。オリンピックの基準に適合する形を使えばいいんです。じゃあ、その上のデザインはどうするのか。
僕が提唱しているのが、旧国立競技場の復元です。
それによって、先人たちの遺産、レガシーの共有ができる。旧国立競技場の図面は残っているんだから、DNAでマンモスを再生するように、今の技術で作ればいいんです。
現実的に考えたら、これが一番早いんです。
見直すとなった時に「じゃあ新しいデザインは、どんなものを誰に頼むんだよ」という揉めそうな問題をすっ飛ばせるから。国民の同意も得やすいし、専門家同士で足を引っ張る必要がなくなるんです。ついでに、旧国立競技場の見た目を踏襲すれば、神宮の景観を守りたい、という要望もクリアできます。元の図面があるから、設計も時間がかからない。すぐに着工できる。
伊勢神宮は、何十年かおきに、同じ建物を作って引っ越しますよね。あれと同じように近代建築における「遷宮」というのをやればいいんです。
――「遷宮」ですか。伊勢神宮と同じくらい、旧国立競技場は大切なものだと?
そうです。旧国立競技場は、派手さはないけど、機能性とシンプルを突き詰めた大傑作です。本来日本人が持っている文化の一つと言ってもいい。漆の器とか日本刀とかと同じように、本質を突き詰めた美。それくらい、建築物として「完成形」だったんです。壊しちゃってまた、気づいた人も多いんじゃないかな。だからまた、あれ作ろうよ。っていうことです。自民党の勉強会でも同じ話をしました。けっこう、賛同は得られたんじゃないかな、と思うんですけどね。
――新しいプロジェクトは、どういう組織で進めるべきですか?
官邸主導のもと、つまりは首相直轄で「真の有識者会議」を作ることです。もう他人事じゃ済まされないですから。文科省、国交省、JSCと、省庁またいで関連する役人たちと、民間から槇文彦さんとか、建築家の先生を入れる。そしてこの意思決定機関は議論をフルオープンにする。それしかないと思います。
――ゼロベースでやった場合、着工のデッドラインはいつですか?
2016年3月です。今の案だから時間がかかるっていうだけなんですよ。シンプルな構造を選べば2年あれば大丈夫です。
――逆に、最悪のシナリオに進むとしたら、どういうことが考えられますか?
ないと思いますが、仮にザハ案を強行した場合、アーチが作れず下の基礎だけ作って終わり、というのは十分あり得るでしょうね。で、2000億くらい使って難工事やったけどできなかったね、これ以上お金かけられないからオリンピック後にそのまま放置。みたいな。誰も幸せにならない。ゼネコンも利益が出ない。アーチを作ろうとしたら、アーチを作るための仮工場を建てなきゃいけないですから。死人も出るでしょう。そういう工事なんです。ザハ案は。
――そういう意味でいうと、安藤さんの会見は象徴的ですね。
うん。ザハ案でやりたいけど、あとはもう知らん。そういうことですから。事実上の撤退宣言ですよ。回っているお金がある以上、ザハ案で頼む、とは言わざるをえない、そういうことでしょう。本人は早く離脱したがってるんですよ。
■「なんとか間に合った」
――最後に改めて聞きます。この計画、なんでもっと早く止められなかったんでしょうか?
一つは、全員、他人事だったということ。
もう一つは「安藤忠雄神話」があったからだと思います。世界的なスター建築家だから、なんとかするだろうと。アンタッチャブルな存在だったんだと思います。建築業界も、政治家も何も言えなかった。
あとは、このレベルの大きさの建物を扱ったことことがある建築家がすごく少ないということ。だからやってみるまでわからなかった、というのもあるでしょうね。
槇文彦さんは数少ない一人なんで、真っ先にザハ案の無茶さに気づいて声を挙げられた、そういうことだと思います。僕自身も、建築の実現可能性を検討するコンストラクション・マネージメントの実務経験があるからわかったんです。
――7月7日に2520億円の現行案が決まっていました。このわずか9日間でひっくり返った要因は、世論ですか?
世論は大きいでしょう。
この問題はわかりやすいですからね。密室の議論、度重なる計画変更、建築利権、巨額の公費投入。「ええかげんにせーよ!」って言えばいいんですから。
それに比べたら、安保法制はそもそも論を理解するのも難しいし、意見も割れますしね。
舛添さんが下村さんを引きずり込んで揉めたり、有森裕子さんが涙を流したり、ああいったメディア的な部分も大きく影響したと思います。
――この問題が一般レベルでまったく知られていなかった時からずっと訴えてきた森山さんからすると、現在の心境は率直に言うと?
「なんとか間に合ったなー、ギリギリセーフ!」っていうのが本音ですよ。なんとか、リセットできそうですから。
憲法に付託された民主主義を勝手に解釈で変えられたらたまんない。
で、憲法を無視した民主主義に時の政権が打って出る可能性、というより、多分こんなことするんじゃないかと言う妄想を・・・
・一番目障りなのは共産党
理論では到底歯が立たない⇒情緒に訴える
共産党ってこんなに危険です
(そこには思想と宗教の混同含め)
一番の攻め所はやはり非論理性、例えばですけど、
もう口がきけなくなった死刑囚が共産主義カブレだっ
たとかいうデマを拡散する。
共産党はただ国内の混乱を望んでいるだけ
陰謀論+今後一定の蓋然性を持った不確定要素を
すべて左の策動によるものとする。
・平和運動してる≠真剣に平和を考えていない=平和の
ための犠牲を払おうとしない自己中というイメージの拡散。
国の為に粉骨砕身して帰ってきたランボーを石持て追
い回したのは「平和団体」。ランボー可哀想すぎる。
思いつきで書いてて、もう少しまとまったらちゃんと書きます。
「たった2500億円」というのなら、同じだけ福祉、社会保障に使えよ。ハコもの、道路にはじゃぶじゃぶ使うくせに、社会保障費が膨らんでいるからと削る。救える命が失われている。
アベ一味の頭の中は カネ、カネ、カネ。ハコもの、道路なら自分のところに金(カネ)がやってくるからだ。それって、収賄!!
色々論点はあるのでしょうが、若い世代に夢も必要だと思います。
ただ、民主党政権に何の責任もないとは申しませんが安倍周辺の責任の重さとは比べ物にならないのは言うまでもありませんw
政府は本気で開催できると思ってないでしょう
どの国のトップも自国の宝をわざわざ被曝させないでしょう
五輪相は食べて応援言ってたし。
5年後が平和かどうかもわからないし。
考えたくないけどマイナス要因は山積み