サッカーのJ1浦和のサポーターが「JAPANESE ONLY」という横断幕を掲げた問題で、Jリーグは13日、浦和に対して23日の本拠での 清水戦を入場者のいない無観客試合とする処分を決めた。22年目を迎えたJリーグ史上初で、最も重い処分。譴責(けんせき)も科す。

 リーグ規約ではクラブへの処分は九つ定められている。これまでは譴責、制裁金の軽い2種類にとどまってきたが、リーグは次に重い中立地での試合開 催ではなく、その上の無観客試合に踏み込んだ。一部サポーターの行為で、観客全体にも影響が及ぶ形だが、村井満チェアマンは「Jリーグのスタジアムが危険 で怖い場所というイメージになってしまうことは絶対に避けなければならい」とのコメントを発表した。

 過去の最も重い処分は、浦和、大宮に下された2千万円の制裁金だった。浦和は2010年にも、仙台戦で一部サポーターが相手選手へ差別発言。クラブが制裁金500万円の処分を受けていた。

 問題の横断幕は8日のJ1鳥栖戦で、埼玉スタジアムのサポーター席入り口コンコースに掲げられた。「日本人以外お断り」と外国人排斥の意味を持つため、観客が撤去を要求。しかし、試合終了後まで少なくとも1時間掲げられたため、クラブの不手際も批判されていた。

 

差別横断幕でレッズに「無観客試合」の処分

3月13日 13時17分 NHK
差別横断幕でレッズに「無観客試合」の処分
 

サッカーJリーグは、今月8日に行われた浦和レッズの試合で、スタジアムに差別的な内容の横断幕が掲げられた問題を受け、レッズに対し、今月23日のホームゲームを観客を入れないで行う「無観客試合」とする制裁処分を出しました。
Jリーグが「無観客試合」の処分を出すのは、今回が初めてです。

今月8日、レッズとサガン鳥栖の試合が行われた埼玉スタジアムに、アルファベットで「ジャパニーズオンリー」と書かれた横断幕が掲げられました。
これについてレッズは、「日本人以外はお断り」という差別的な意味があるとして、横断幕を掲げたサポーターを特定して聞き取り調査を行い、13日、Jリーグに調査結果を報告しました。
これを受けJリーグはレッズに対し、けん責と、今月23日に埼玉スタジアムで予定している清水エスパルスとのホームゲームを観客を入れないで行う「無観客試合」とする制裁処分を出しました。
Jリーグによりますと、横断幕の内容は、その意図にかかわらず、差別的表現とも受け取られると指摘しました。
またレッズは、スタジアム内に不適切な内容が書かれた横断幕が掲げられたにもかかわらず、試合終了後まで横断幕を撤去しなかったことは、サポーターだけでなく、クラブにも責任があるとしました。
さらにレッズは、2010年にもサポーターが類似したトラブルを起こして制裁を受けるなど、これまでもサポーターがたびたびトラブルを起こし、クラブの責任は非常に重大だとしました。
Jリーグが「無観客試合」の処分を出すのは、今回が初めてです。
J リーグの村井満チェアマンは、「Jリーグとして差別の問題に厳しく対応すると考えて判断した。今の状態で観客の安全が確保できる確信が持てなかったし、サ ポーターに直接的なメッセージとなると考え、この処分を決めた。この処分が今回の問題の重大性と、各クラブ、サポーターに対しても強烈なメッセージとなる と思う。各クラブにも自分たちのこととして今後対応してほしい」と話しました。

当時のレッズの対応は

今月8日のJ1第2節、浦和レッズ対サガン鳥栖の試合は、午後4時から埼玉スタジアムで始まりました。
レッズによりますと、試合中の午後5時ごろ、レッズのサポーター席に通じる入り口のコンコース側にアルファベットで「ジャパニーズオンリー」と書かれた横断幕が掲げられているという報告が、警備会社のスタッフらから入りました。
レッズは午後5時9分に撤去するよう指示しましたが、トラブル防止のため、撤去は当事者との合意のうえで取り除くという手順になっており、最終的に撤去したのは横断幕を確認してからおよそ1時間後の午後6時4分だったということです。
また、試合後には、スタジアムに配置した警備会社のスタッフから、試合中に差別的な発言が聞こえたという報告を受けたということです。

FIFAなど差別的行為に厳罰

差別的な行動や言動に対し、FIFA=国際サッカー連盟や世界の各リーグは厳しく対処しています。
FIFAは、ヨーロッパを中心に選手らによる人種差別的な行為や発言が後を絶たないことから、去年5月に改めて差別に対して厳しく臨む決議を行いました。
そして差別的な行為については、「制裁金」のほか「無観客試合の開催」「勝ち点の減点」「下位のリーグへの降格」などの処分を科すよう、加盟する世界各地のサッカー協会に求めました。
FIFAは、クロアチア代表のディフェンダーの選手が、去年11月に行われたワールドカップヨーロッパ予選のプレーオフのアイスランド戦で、試合後にサポーターに向かって差別的な行動をしたとして、公式戦10試合の出場停止と罰金の処分を出しました。
処分はことし6月のワールドカップブラジル大会から適用され、この選手はワールドカップに出場できなくなりました。
またイタリア1部リーグは、去年12月に行われたリーグ戦のインテル対ミランの試合で、インテルのサポーターがミランの選手に対し差別的な掛け声などをしたとして、インテルサポーターが陣取るスタジアムの一角を1試合閉鎖する処分を出しました。
日 本のJリーグは、これまでも「人種、性、言語、宗教、政治またはその他の自由を理由とする国家、個人または集団に対する差別を行ってはならない」としてい ましたが、これに加え、ことしからは「中立地での試合の開催」や「無観客試合の開催」「試合の没収」「下位のリーグへの降格」の制裁を新たに追加しまし た。
また、今シーズンの開幕前には各クラブに対して海外の事例なども紹介し、差別のない試合運営などを求めたばかりでした。

レッズ社長「処分は当然」

Jリーグ史上最も重い「無観客試合の開催」の処分を受けた、浦和レッズの淵田敬三社長は、都内で会見して陳謝し、「これまでのトラブルを鑑みれば処分は妥当で当然。これを機に差別がなくなるよう断固として取り組んでいく」と話しました。
淵 田社長によりますと、今回の問題で横断幕を掲げた男性サポーター3人に聞き取り調査を行ったところ、3人は「差別や政治問題化させる意図はなかった」と答 え、掲げた理由については「ゴール裏は自分たちの聖地で、他の人たちに入ってきて欲しくない。最近は海外のファンも増えているが応援の統制が取れなくなる のが嫌だった」などと話したということです。
また、クラブスタッフが横断幕を確認してから撤去までに1時間余りかかったことについては、クラブスタッフの差別に対する認識の甘さや、横断幕を外す場合にはサポーターの同意が必要といった長年の慣習により、クラブが迅速に対応できなかったことなどをあげました。
そのうえで、今後はクラブが主体的にスタジアムを管理できるよう新たなルールを作ることや、クラブスタッフの人権意識を高めることなどの対策をとることを明らかにしました。

 

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