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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

三郷生活保護裁判で原告勝訴判決!親族の扶養を先に求めろと申請受理を拒否するのは職務義務違反で違法!

2013年02月22日 | 生活保護と生存権

 

 貧しいながらも仲睦まじく暮らしていた4人家族の生活は、2004年末、大黒柱のAさんが急性骨髄性白血病で倒れたことによって急変しました。緊急入院したAさんの介護のため毎日のように病院に通う中、Aさんの妻は、夫を失う恐怖と不安で精神を病み、精神科に通院するようになりました。

 一家の生活は、派遣労働者である長男の両肩にのしかかりましたが、フルタイムで稼働しても約10万円という収入では、家族の生活を維持していけるはずもなく、2005年1月には、一家は家賃と入院費を払えなくなりました。

 こうした中、妻は度々、三郷市役所の生活保護の窓口に足を運びましたが、その度に職員から

「働きなさい」「自分でどうにかするしかない」「親族に助けてもらいなさい」

等と言われ、生活保護の申請さえ拒否されました。光熱費が払えず、電気、ガスを止められたことは数知れず、水道を止められたことも1度ならずありました。次女は、給食費や集金を払えないことが恥ずかしく、登校拒否になりました。

 Aさんとご家族は一家心中を考えたこともあったそうです。

 2006年6月、弁護士が同行してようやく一家の生活保護が開始されましたが、三郷市保護課はその直後から、一家に市外への転出を強力に勧めるようになりました。そして、転出先が決まった8月末、

「転居後は保護を受けないように」

と念押しした上で母子を保護の対象から外し、Aさんが一時的に退院した9月11日、保護を全面的に廃止したのです。

 妻が少なくとも6回は保護課窓口に行った事実は、提訴前の証拠保全手続きで獲得した一家の生活保護記録にも明記されています。この面接記録票からは、Aさんの白血病罹患と長期入院の必要性、妻に稼働能力ないといった医師の診断等の事情を、三郷市が保護開始前から認識していたことが判明しています。

 三郷市が生活保護の申請書を交付しなかったことや、強引な転居指導で一家を市外に追い出し、保護の対象外にしたことに合理的理由を見いだすことはできません。

 そこで、Aさん夫婦は、2007年7月11日、三郷市を相手取り、受給できなかった16ヶ月 分の保護費相当額と慰謝料の支払いを求め、さいたま地方裁判所に提訴しました。

 妻は裁判開始に当たり、こう訴えました。

「夫は白血病で、今も命に関わる重い病気と闘っています。そんな状態の夫が、この裁判の原告になることを決意したのは、生活保護の仕事をしている役所の方々が、この裁判を通して、苦しんでいる人たちに救いの手をさしのべる優しさを取り戻して欲しい、これからは、私たちと同じような辛い目に遭わせないで欲しい、と思っているからです。…是非、夫が生きている間に、…私たちの訴えを認めて下さい。」

 しかし、裁判で市側は、女性とは面会しただけで、申請を受けたという認識はないなどと主張しました。そして、裁判で係争中の2008年3月末、Aさんはこの世に残す家族の行く末を案じながら、50歳でこの世を去ったのです。。。

 またも、生活困窮者いじめの犠牲者が出たと言えるでしょう。

生活保護申請で妊娠・同棲・出産禁止の誓約書 生存権=「健康で文化的」な最低限度の生活を無視する行政 

姉は病死 妹は凍死 生活保護申請も出来ずに逝った姉妹 生活保護に関する3つの誤解

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生活保護「改革」ここが焦点だ! [単行本]

尾藤 廣喜 吉永 純 小久保 哲郎 生活保護問題対策全国会議 


 

 ところで、親族の援助を受けられないことを条件に生活保護費を支給するというやり方自体が違法であることはご存知でしょうか。

 2012年5月、テレビや舞台などで活躍する人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんが、高額所得者であるにもかかわらず、母親が生活保護を受けていると、自民党の片山さつき議員らの人気取りの犠牲になった事件はまだ記憶に新しいところです。

 あの事件で、生活困窮者は極度に委縮し、厚労省と出先機関である福祉事務所は増長しました。

河本準一さん親子問題から考えると間違える。生活保護の本質は憲法上の基本的人権である生存権の保障だ!

 この点、生活保護法は、扶養については、民法で定める扶養義務者の扶養は、この法律による保護に優先して行われるものとする(4条2項)と規定しています。

 この規定は、国による生活保護よりも親族による扶養が優先することを定めるとともに、扶養義務者から現実に扶養が行われた場合、その限度で保護は実施されないという意味です。

 ただ、この規定は、「扶養の優先」を規定するものの、扶養義務の履行または扶養義務者に対する扶養請求が保護の実施要件となることまでを定めるものではないことに注意が必要だと思います。 

 また、生活保護法では、保護の実施機関である都道府県知事、市町村長は、扶養義務を履行していない扶養義務者から費用徴収をすることができる(同法77条)と定められていますが、諸事情により親族からの援助を受けたくない(受けられない)場合もありえますし、親族の方も援助したくない(できない)場合もあります。そのような場合にまで、親族による扶養義務が優先されるわけではありません。親族がいても生活保護を受けることができます。

 親族には確かに法的に扶養義務がありますが、親族も一般的な生活水準の方ならば、自分自身の生活が手いっぱいで、身内の援助までは厳しいと思われます。 ですから、通常、扶養義務のある親族がいる場合でも生活保護は受けられるのです。

 だいたい、公助を拒否して家族内での自助のみ求める政府に、税金を取る資格はないでしょう。

 ところで、北九州市では2005、6年、保護を求めていた男性2人が相次いで死亡しました。そのうち、門司区の56歳の男性は生活保護の受給申請をしたのですが、市は扶養義務のある長男と次男が近所に住んでいたことを理由に「まずお子さんに相談して」と申請自体を受け付けさえしなかったのです。男性はその後、餓死されました。

 これが悪名高い、本件のように生活保護申請さえさせないという厚労省の「北九州方式」の悲惨な結末です。生活保護支給を実際にするかどうかは審査できるとして、申請があれば受理する義務が福祉事務所にはあるのであって、申請さえさせないのが違法なのは当たり前です。

 そして、生活保護を受けるに至るまでには、親族との関係がこじれてしまっている方がむしろ普通です。ですから、親族の扶養義務を厳格に求めれば、こういうことになってしまうのです。

生活保護申請を受理さえせず追い返す「北九州方式」また炸裂 所持金600円の母子4人を追い返した市職員

 最初に戻って、この三郷生活保護裁判で、さいたま地方裁判所は市に対して530万円余りを支払うよう命じる、原告勝訴判決を言い渡しました。

 判決は妻自身が生活が苦しい状況を説明したこと、それにもかかわらず三郷市の福祉事務所の職員は、妻に「働けるのであれば働いてほしい」「兄弟で助け合うように」「まず身内に相談してほしい」などと求めたため、妻は生活保護は受給はできないと思い、申請できなかったと認定しました。

 そのうえで、判決は、このように世帯主が白血病に倒れ、一家が生活に困窮していたことなど、妻が生保を受ける必要があると認識できる状況にありながら、市が「親族らに援助を求めなければ申請を受け付けない」などの誤解を与えた場合は、職務義務違反と認定しました。

 この「親族らに援助を求めなければ申請を受け付けない」などの「誤解」を与えた場合にも、市の職務義務違反を認め違法としたのがこの判決の最大の特長です。

 また、判決は都内への転居を勧めた際に、転居先で生保の相談にいかないよう述べたことも認定し、これに対しても、少なくとも過失があるとして、原告の主張を認め、「市の対応は生活保護を申請する権利を侵害するものだ」として、市に537万円の損害賠償の支払いを命じました。

 また、原告弁護団の中山福二弁護士は

「タレント親族の生活保護受給問題で風当たりが厳しい中、司法が生活保護本来の趣旨に従い、判断してくれた」「『申請権を侵害するのか』と抗議しやすくなった。窓口対応に警鐘を鳴らすという意義は大きい」

と語っておられます。

 判決後、亡くなったAさんのお連れ合いとご長男は

「夫が天国で見守っていてくれた。これから生活保護申請者がきちんと保護してもらえればいい」「亡くなった父親も天国で喜んでいると思う」

とお話になりました。

 Aさん、天国からご覧になりましたか?ご家族が見事あなたの遺志を継いで、裁判に勝ちましたよ。本当に良かったですね!

 生活保護制度は基本的人権である生存権の具体化であり、生活保護法などの法律によってその内容が具体的に決められている以上、行政の裁量権は限られています。三郷市は控訴すべきではありません。ただちに判決に従うべきです。

 そして、現世で、二度と誤った自助だの自己責任だのが、弱い立場の生活困窮者に押し付けられませんように。

基本的人権である生存権保障の最重要制度 生活保護基準の引き下げに反対する

 

三郷生活保護裁判さいたま地裁判決に関する弁護団声明

2013-02-21

弁護団声明

本日、さいたま地方裁判所は、被告三郷市が、原告ら世帯を生活保護の窓口で繰り返し門前払いした上、弁護士の同行により、ようやく生活保護が開始になった後も、生活保護の利用を妨げる行為に出た事実を認定し、原告らの訴えをほぼ全面的に認め、被告三郷市に対し、537万円余りの損害賠償の支払を命じる判決を言い渡した。

本件は、世帯主が白血病に倒れ、生活に困窮した原告ら家族が、幾度となく生活保護の利用を求めて三郷市役所を訪れたが,三郷市が、これを申請と認めずに1年以上生活保護の利用を拒否し続けた上,保護開始決定後わずか3か月で,原告らを転居させて保護を打ち切ったというものである。この間、前途を悲観した原告ら家族は、一家心中の瀬戸際まで追い込まれた。

本件訴訟の開始にあたり、世帯主の妻は、原告の1人として次のような意見を述べた。「夫は白血病で、今も命に関わる重い病気と闘っています。そんな状態の夫が、この裁判の原告になることを決意したのは、生活保護の仕事をしている役所の方々が、この裁判を通して、苦しんでいる人たちに救いの手をさしのべる優しさを取り戻して欲しい、これからは、私たちと同じような辛い目に遭わせないで欲しい、と思っているからです。…是非、夫が生きている間に、…私たちの訴えを認めて下さい。」。残念ながら、世帯主は判決を待つことなく白血病で早世したが、この願いが本件訴訟の出発点であり、原告らが、生活保護に関する偏見が社会に蔓延している状況の中で、勇気を奮い起こして、この裁判の原告となることを決意した理由である。

本件のように、生活保護の窓口で申請さえ受け付けない、あるいは、生活保護開始後に理由なく保護から締め出すという違法な運用は、全国各地で横行している。本件は氷山の一角である。昨年1月には、札幌市白石区で、40代の姉妹が、3回に渡り生活保護の申請させてもらえず餓死し、また、2007年の本件訴訟提起の直前には、北九州市で生活保護を打ち切られた52歳の男性が「法律はかざりか」と書き残して餓死するなど、生活保護の利用から排除された結果、餓死・孤立死するという事件が後を絶たない状況にある。

本判決は、このように、各地に違法な運用が広がっている中で、①生活保護の申請を受ける窓口の運用について、身内からの援助を求めなければ生活保護を受けることができないなどと誤解を与える説明をして申請を妨げることは申請権を侵害する行為であると断じ、②生活保護開始後に都内への転居を勧めた上で、転居先の区に原告らの転居を通知せず、また、区内で生活保護の相談に行ってはいけないと述べたことは原告らの生活保護を受ける権利を侵害するものであるとして、生活保護行政の過ちを厳しく指摘したものであり、各地の生活保護行政のあり方に警鐘を鳴らし、誤った運用の是正につながるものとして、高く評価する。

当弁護団は、本判決を受けて、被告三郷市に対し、原告らに謝罪し、控訴権を放棄して判決に従い、原告らの被った損害を直ちに賠償するよう求めるとともに、以下の再発防止のための措置を講じるよう求める。
1 生活保護の相談にあたっては、生活保護制度について十分な説明を行い、保護申請意思を確認すること
2 申請意思が確認された市民には、速やかに申請書を渡すとともに、申請手続の助言を行うこと
3 申請意思の有無については、面接記録票にチェック項目を設けるなどの方法により確実に記録すること
4 申請書は、福祉事務所カウンターなどの市民が自由に手に取ることができる場所に常備すること

2013年2月20日

三郷生活保護国家賠償請求訴訟原告弁護団
団 長  中 山 福 二

 

生活保護が生存権という基本的人権の具体的な現れだと肝心の福祉事務所がわかっていない。

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【三郷生保裁判概要】

三郷生活保護国家賠償請求事件について

                    三郷生活保護国家賠償請求訴訟原告弁護団

【事件の概要】

 貧しいながらも仲睦まじく暮らしていた夫婦と子供二人、4人の家族の生活は、2004(平成16)年末、大黒柱の夫が白血病で倒れたことによって急変。緊急入院した夫の介護のため毎日のように病院に通う中、妻は、夫を失う恐怖と不安で精神を病み、精神科に通院するようになった。一家の生活は、派遣労働者である長男に頼らざるを得なかったが、フルタイムで稼働しても約10万円という収入では、家族の生活を維持していけるはずもなく、2005(平成17)年1月には、一家は家賃と入院費を払えなくなった。

 こうした中、妻は度々、三郷市役所の生活保護の窓口に足を運んだが、その度に職員から「働きなさい」、「自分でどうにかするしかない」「親族に助けてもらいなさい」等と言われ、生活保護の申請を拒否された。この間の生活はとても苦しく妻は前途を悲観して心中まで口に出した。

 2006(平成18)年6月、弁護士が同行してようやく住居費を除く生活保護が開始されたが、三郷市はその直後から、一家に市外への転出を強力に勧めるようになった。そして、葛飾区への転出が決まった8月末、三郷市の職員は「転居後は保護を受けないように」と念押ししたうえで母子を保護の対象から外し、その後まもなく保護を全面的に廃止した。

【経過の概要】

・1984年 三郷市に夫妻居住

・1990年までに1男2女をもうける。

・1997年、長女が独立し、1男1女と夫妻の4人暮らし

・2004年12月、夫、白血病で倒れ入院

・同じ頃、妻も精神の疲労が重なり就労不能に。

・2005年1月から、妻は三郷市の福祉課を再三訪ね、生活保護の申請をするが拒否され続ける。

・2006年6月、弁護士が同行して生活保護申請し、受理。

・2006年7月14日、保護開始決定

・この直後から三郷市職員、妻に葛飾区への転居を指示。

・2006年8月23日、葛飾区へ妻と次女が転居する旨の保護変更申請書に署名を強要。その際、妻に転居先の葛飾区での生活保護申請をしないよう指示。

・2006年8月28日、葛飾区へ妻と次女が転居。同2名を保護から外す。

・2006年9月17日、三郷市、夫の一時退院とともに保護廃止決定

・2006年9月29日、葛飾区において生活保護開始決定

・2007年3月15日、生活保護記録一式の証拠保全申立。さいたま地裁越谷支部

・2007年5月9日、同地裁、証拠保全決定

・2007年5月16日、証拠保全実施

・2007年7月11日、さいたま地裁に国賠訴訟提起

 

 

 埼玉県三郷市の職員が生活保護の請求を門前払いしたなどとして、市内に住んでいた元トラック運転手の男性=二〇〇八年に五十歳で病死=と妻 (54)ら遺族が市を相手に、生活保護費など約九百五十万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(中西茂裁判長)は二十日、市側の対応の違法性を認 め、約五百三十七万円の支払いを市に命じる判決を言い渡した。

 判決によると、男性は〇四年に急性骨髄性白血病を発症し、勤め先の会社を退職。妻と長男、当時中学生の次女の四人暮らしだったが、入退院を繰り返す生活で収入はほとんどなくなった。

 妻は生活保護を申請しようと、〇五年三月~〇六年五月に市の福祉事務所を数回訪問。自身は夫の世話などで週の半分を病院通いしなければならず、アルバイトの長男の月収も約十万円しかないなどと、生活が苦しい状況を説明した。

 だが福祉事務所の職員は、妻に「働けるのであれば働いてほしい」「まず身内に相談してほしい」などと求めた。妻は生活保護は受給はできないと思い、申請しなかった。

 判決は、「親族らに援助を求めなければ申請を受け付けない」などの誤解を与えた場合は「職務上の義務違反」にあたると指摘し、福祉事務所の職員の 対応を「申請しても生活保護を受けられないとの誤解を妻に与え、生活保護の申請権を侵害した」と判断。「拒否したことはない」という市の主張を退けた。

 男性と妻は〇七年七月に提訴したが、男性は〇八年三月に白血病で亡くなり、三人の子どもが訴訟を継承していた。

 三郷市生活ふくし課の柿沼昌弘課長は「判決内容を十分精査した上で、今後の対応は弁護士や関係機関などと協議したい」とコメントした。

 

 

毎日新聞 2013年02月21日 地方版

 さいたま地裁(中西茂裁判長)で20日、計約540万円の賠償が認められた生活保護申請拒否訴訟。判決は、三郷10+件市が原告の女性(54)ら家族の申請権を侵害し、不当に生活保護を拒否していたことを認めた。約5年半にわたる裁判のさなか、女性の夫が他界。さいたま市内で同日、記者会見した女性の長男(32)は「亡くなった父親も天国で喜んでいると思う」と胸をなで下ろした。

 訴状や原告弁護団によると、家族はトラック運転手だった女性の夫が、04年末に白血病になったのを機に生活が困窮。05年2月から約1年半、三郷10+件市に生活保護を繰り返し求めた。その間、家族は一家心中の瀬戸際まで追い込まれたという。夫は係争中の08年3月末、50歳で他界した。

 判決後、女性は「夫が天国で見守っていてくれた。これから生活保護申請者がきちんと保護してもらえればいい」と願った。

 原告弁護団の中山福二弁護士は「タレント親族の生活保護受給問題で風当たりが厳しい中、司法が生活保護 本来の趣旨に従い、判断してくれた」と判決を高く評価。今後、申請者が窓口で不正確な説明などをされた場合を例に「『申請権を侵害するのか』と抗議しやす くなった。窓口対応に警鐘を鳴らすという意義は大きい」と語った。【狩野智彦】

 

 

夫が白血病で失職、でも生活保護不受理だった市

 白血病が原因で夫が失職したのに、生活保護申請を埼玉県三郷市が受理しなかったのは違法だとして、元市民で現在は東京都に住む女性(54)と家族らが市に約950万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、さいたま地裁であった。

 中西茂裁判長は「(生活保護)申請権を侵害するのは職務上の義務違反」として、市に約540万円の支払いを命じた。

 判決によると、夫(2008年3月に病死)は04年12月に白血病で入院して仕事を続けられなくなったほか、女性は同時期から精神科に通院。05 年2月以降、女性は市福祉事務所を数回にわたって訪れたが、市側は「兄弟で助け合うように」などと助言し、生活保護申請を受理しなかった。

 女性が06年6月、弁護士と共に福祉事務所を訪れ、申請は認められた。夫と女性らは07年、本来受け取れたはずの生活保護費と慰謝料を求めて提訴した。

 判決では「市は原告が生活費に困窮していることを認識していたが、身内からの援助を確認するように述べ、原告の申請権を侵害した」と認定した。女 性は代理人の弁護士を通じ「判決が出たことで、これから保護を受けようとしている人が受けられるようになればいい」とコメント。同市生活ふくし課は「判決 内容を精査し、弁護士や関係機関と協議する」としている。

(2013年2月21日17時38分  読売新聞)
 
 

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4 コメント

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Unknown (鬼丸竜馬)
2013-02-22 00:17:37
生活保護は廃止すべきです。その代わり、

私が国会議員だったら、

Aさんには、生活できるだけの障害年金を保障します。

入院費は、民間の医療保険で対応してください。

長男には、正社員の仕事を保証します。
返信する
鬼丸竜馬さん (Sha Wujing)
2013-02-22 15:34:44
>生活保護は廃止
>生活できるだけの障害年金を保障
>入院費は、民間の医療保険で対応
>正社員の仕事を保証

そうですね。
それができれば、たしかに理想的と言えそうです。
しかし、現実には実現できていない。また、そんなことを言っている専門家は、わたしの知る限り一人もいない。

実現すれば理想的だが、現実には実行されていないアイディアは、口に出したりする前に、「どうして実行されないのだろうか」を考えてみる癖をつけるといいですね。

生活保護に限りません。何につけ、これまで何人もの専門家が集まって制度を設計し、運営してきたのです。あなたの思いつきそうなことは、もちろん彼らも一度は考えたでしょう。しかし、それを実行しなかったのには、それなりの理由があるからです。少なくとも、素人のあなたより、深く、学問的にも実務的にも深く適切に考えた上で、そのアイディアを却下したはずです。

素人が発言してはいけないなどと言うつもりは勿論ありません。しかし、発言する前に少しだけ謙虚になりましょう。
「自分が考えつきそうなことくらい、プロならば、専門家ならば容易に考えつくはずだ。どうしてそうしないのだろう。」
一度そう踏みとどまることが、ネットウヨクの「ぼくのかんがえたさいきょうのないかく」のような議論に陥らないコツだと思いますね。
返信する
Unknown (トライビレッジ)
2013-05-20 06:54:19
件の三郷市民です。

正直、地元でこのような事件があったこと自体が初耳で、驚きを隠せません。
幸いにして過ちを正す方向に判決が示されたようですが、
今後同じような方が出ないよう、一市民の立場から注視したいと思います。
返信する
生活保護よりさらに悪い求職者の給付金 (匿名)
2015-02-26 02:11:05
知っていましたか?
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/safety_net/44.html
職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
運営が、各職業安定所でバラバラで、緩いところと厳しいところがあり、職業安定所内の担当者間でも違いがあるようです。
もし興味があれば情報を集めてみると面白いですよ。
求職者で請求できない書類の提出を求められ、無理難題言われたというケースがあるようです。
合理性とは何か。基準が出鱈目で公正さに欠くことではないと思います。
嘘かどうかは調べてみてください。
返信する

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