これは実際に経験した話です。
今でもあの時の場景や感覚がありありとよみがえってきます。
貴方はどう思われますか?
あの時、私は高校生だった。そして、あの日。いつものように登校し、教室の席についた。
周囲の生徒たちは相変わらずがやがや騒がしい。私はただひたすら俯いていた。やがて授業が始まり、小太りの58歳のオバハンが数学の授業を始める。しかし、その内容はじつに幼稚で、中学でやった基礎公式のおさらいを延々繰り返しているといった体たらくで、私はいやになってきた。だいたいが、こんな壁の補修工事もせず何十年と放置された旧校舎のような場所で、まともな教師が一人もいない、こんな杜撰な教育体制の学校に通っている私が、たまらなく悲劇だった。もう腐ってしまえ。そんな風に毒づきながら私は、昼休みまでの途轍もなく長い長い時間を、壮大な空想に耽ることでやり過ごしていた。そして、やっと昼休みが来た。私は不良にからまれていた。不良はわたしの筆箱をとりあげ、黒板消しを擦りつけた。中身をとりだし、辺りにぶちまけた。私はそれを見て泣いた。返して欲しいしいですと泣いた。逆効果だった。不良は余計面白がって今度は私の机を横倒しにした。教科書やプリントやソプラノ・リコーダーがぐちゃぐちゃに散らばる。私はもう泣いていなかった。そのあいだ、少しずつ周りに人が集まってきていて、全員で私のことを笑って見ていた。私はもうこれ以上は堪えられなくなり、自分でも驚くほどの速さで教室を飛び出していた。それから私はもう無我夢中でずっと走っていてどこをどう走っていたのか気が付いたら、小学校の廊下を走っていた。私は高校にいるつもりだったが、なぜか卒業した小学校の一年生の教室にやってきて、子供たちが私をじっと見ていたので、なんだと思ったら私は空を飛んでいた。以前にも同じことがあった。というか、もう何度もこんなことがあった。これはなんだろう。走っていて手を上下にばたばたさせたら空中に浮かんで、もっとばたばたさせたらもっと高く浮かぶ。私はそのまま空に飛び上がっていき、上空から私の見慣れた街を見下ろした。だけど、これどうやって降りよう、と思った。ちゃんと安全な場所に着地しなければいけないが、今日は風が強く吹いているので、手で舵をとるのが大変むずかしい。少しずつ地面に降りていこうとしたが、周りに電線や建物があって、危なすぎる。何時間経ったか、ようやく山林のお寺のところまできて、風にあおられ何度も方向転換しながらアスファルトに着地。さあ家に帰ろうと階段を下りて、でも幽霊の恐怖と戦っていた。
この法螺話を信じるか信じないかは貴方次第です
今でもあの時の場景や感覚がありありとよみがえってきます。
貴方はどう思われますか?
あの時、私は高校生だった。そして、あの日。いつものように登校し、教室の席についた。
周囲の生徒たちは相変わらずがやがや騒がしい。私はただひたすら俯いていた。やがて授業が始まり、小太りの58歳のオバハンが数学の授業を始める。しかし、その内容はじつに幼稚で、中学でやった基礎公式のおさらいを延々繰り返しているといった体たらくで、私はいやになってきた。だいたいが、こんな壁の補修工事もせず何十年と放置された旧校舎のような場所で、まともな教師が一人もいない、こんな杜撰な教育体制の学校に通っている私が、たまらなく悲劇だった。もう腐ってしまえ。そんな風に毒づきながら私は、昼休みまでの途轍もなく長い長い時間を、壮大な空想に耽ることでやり過ごしていた。そして、やっと昼休みが来た。私は不良にからまれていた。不良はわたしの筆箱をとりあげ、黒板消しを擦りつけた。中身をとりだし、辺りにぶちまけた。私はそれを見て泣いた。返して欲しいしいですと泣いた。逆効果だった。不良は余計面白がって今度は私の机を横倒しにした。教科書やプリントやソプラノ・リコーダーがぐちゃぐちゃに散らばる。私はもう泣いていなかった。そのあいだ、少しずつ周りに人が集まってきていて、全員で私のことを笑って見ていた。私はもうこれ以上は堪えられなくなり、自分でも驚くほどの速さで教室を飛び出していた。それから私はもう無我夢中でずっと走っていてどこをどう走っていたのか気が付いたら、小学校の廊下を走っていた。私は高校にいるつもりだったが、なぜか卒業した小学校の一年生の教室にやってきて、子供たちが私をじっと見ていたので、なんだと思ったら私は空を飛んでいた。以前にも同じことがあった。というか、もう何度もこんなことがあった。これはなんだろう。走っていて手を上下にばたばたさせたら空中に浮かんで、もっとばたばたさせたらもっと高く浮かぶ。私はそのまま空に飛び上がっていき、上空から私の見慣れた街を見下ろした。だけど、これどうやって降りよう、と思った。ちゃんと安全な場所に着地しなければいけないが、今日は風が強く吹いているので、手で舵をとるのが大変むずかしい。少しずつ地面に降りていこうとしたが、周りに電線や建物があって、危なすぎる。何時間経ったか、ようやく山林のお寺のところまできて、風にあおられ何度も方向転換しながらアスファルトに着地。さあ家に帰ろうと階段を下りて、でも幽霊の恐怖と戦っていた。
この法螺話を信じるか信じないかは貴方次第です