アンリの顔

 この間のブラジル戦勝利後のジダンとアンリのインタビュー録画を、フランス語受講生の子たちに転写テキストつきで見てもらいました。テキストはこんなのです:

Zinedine Zidane : J'ai l'impression que... on n'a pas envie de s'arreter la, c'est tellement beau... tellement beau, tellement beau que... qu'on a envie de continuer. On va tout faire pour aller au bout.

Thierry Henry : Mais c'est tant mieux, mais c'est surtout, on avait un coeur a monter apres la Coupe du monde 2002. On n'etait pas des chiffons. C'est une expression que j'aime bien dire, et voila, on n'est pas des chiffons, et c'est pas fini.

 日本語のもっともらしい字幕が当然ついてましたが、あんな上品な表現の訳じゃこの生き生きした感じは伝わりませんね。
 みんな「速い(とても聞き取れない)!」と絶望してました。でもわたしもフランス語始めたころは、こんな単語ひとつひとつの長さが短い言葉に早口で来られるととても無理、頭の回転の遅いおれには向いてない・・・と思ったことを思い出します。もちろん今でもとても完璧とはいきませんが、要は慣れなのです(むかしプロ野球の江本投手も同じことを本で書いてましたね。プロの野球のスピードは当然ながら物凄いものでたいていの新人は、これは大変なところへきてしまったと思うらしいです。でも、慣れるんですね。人間にはそういう能力が備わってるんでしょう)。次回はドメネク監督でも聞かせましょう。彼はゆっくりしゃべってくれるので。
 この手の教材、学生さんたちの興味をひくにはいいんだけと、賞味期限がすごく短いのが難です。

 雑誌『NUMBER』にあのアンリのすばらしいボレーシュートのシーンの写真が載ってました。ぱっと跳び上がってボールを捕らえた彼の姿はまるで天駆ける天馬みたいに美しかったですね。 (^_^)
 ブラジルのキーパー、ジダの表情もまた味わい深い。敵でもっとも恐ろしい男がまったくのフリーでゴールに突っ込んでくるのを見た瞬間、彼は全身の血が逆流していたでしょう。

 アンリがインタビューしているところの顔など見ていると、ほんとフランス人だな、という感じがしますね。フランス人はこういう内容のことを、こういう表現で、こういう表情で言うからです。
 そりゃ人種的には彼はマルチニク系ですよ。でも生まれたのはパリ郊外だし、全くのパリジャンでしょう。そうやってフランスの中でフランス人としてフランス語で育ち、生活してきた彼が言葉を発すれば、話している彼の顔はまぎれもなくフランス人の顔です。

 昔のことは知りませんが、現在の時点で「フランス人はフランス語を大切にする」というのは、そういうことだと思います。フランス人は血では定義できない。だからフランス語とそれにまとわりついている「顔」がアイデンティティのよすがだと思うのです。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 1 )
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コメント
 
 
 
Zidane, il va marquer (ま・ここっと)
2006-07-09 18:54:27
先生、いよいよですね。

で、なんですが、「Zidane, il va marquer!」という歌が流れ続けています。昨晩Patrick Fiori のコンサートでもこの歌詞で彼が絶唱しました(凄かったですよ)。オリジナルはちょっとラップぽい、というかマグレブっぽい曲に乗って、これを繰り返し叫びます。

私は今宵、トレゼゲちゃんを拝みたいです。チエリのかわいい喜ぶ顔ももう一度!・・・なんだけど、イタリアも強いからにゃあ。わが地元はフランスの苗字よりイタリアの苗字が多かったりします(爆笑。

フランス共和国内の国民観について駄文を書きました。TBいたしましたのでご笑覧くだされば幸いです。

Allez, la France!
 
 
 
あれから5日 (raidaisuki)
2006-07-14 23:17:07
ま・ここっと様

raidaisukiです。



ま・ここっとさんがこのコメントを書いてくださったのが9日で、今日はまだ14日ですが、わずか5日間にずいぶんいろんなことがあったように思います。

 なんだか世界のありのままの姿の一端が垣間見えたような気さえします。



 たかがサッカー。

 されどサッカー。



 蔦監督ではありませんが、そこには世界の縮図が、たしかにあるように見えますね。



 
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