インドの場合

6.さてこうしてみると台湾やインドネシア/日本/インドでは、なによりもフランス語教育の歴史の長さが違い、それによってフランス語教育の持つ意味も違っているのが分かります。

 第二次大戦以後に本格的に教育を始めた国では、フランス語教育はまだ成長産業です。「フランス好き」の人の増加が教育の需要を延ばしている段階ですね。「フランス文化」がこれからお客を増やす武器としてまだまだ威力を発揮している最中なわけです。

 インドのような国でフランス語の需要はさすがに飽和状態に達しているかと思ったら、そうでもないそうです。現在も全国で5000人の教員を擁し45万人の学習者を持つ国インドでは、ご存知の通りの多言語状況のなかでフランス語が「最も重要な外国語」(英語は「外国語」には入っていないのだと思います)である、というのが28日二つ目のシンポLes associations des professeurs de francais : roles et actions 「フランス語教員組織:役割と行動」のパネリスト、Ramaya Kichenamourtyさんの言った、自負に満ちた言葉でした。フランス語はインドの地方語より構造がシステマチック(つまりマスターしやすい)であり、また国際的に通用する言葉であることが強みになっているのです。

 そのインドのフランス語教員の悩みは各地方政府の言語政策に翻弄されることなのだそうで、ここに教員組織の存在意義がある、というわけです。

 前のシンポのクシルサガルさんはどちらかというと、アメリカ産の安手の娯楽に若者が流れて行くのを憂い、西欧伝統の知的活動を対置してそれを担う言語としてのフランス語を振興する、という姿勢をみせていました。科学万能の風潮のなかで人間の生への関心を保ち分析するよすがとなる言語としてのフランス語の振興です。あんまり言ってなかったみたいですが、教材はわりと伝統的なものを使うんでしょうか。
 ううむ。これは一種の教養主義ですな。

 キシュナムルティさんの方は、教員組織が地方政府の重要な言語政策決定に積極的に関与しながら、増大する大衆のニーズとフランス語教育を調和させるイニシアティブをとるというところに大きな意義をみているわけです。教材もどんどん新しいものを出来る限り入れて行く姿勢でしょう。
 なんかこの二人は大きな二つの流れを具現しているみたいですね・・・


 うわ、プログラムよく見たらインドには

Indian Association of Teachers of French (IATF)



Association of Indian Teachers in French (AITF)

の二つの教員組織があるんですね。今の今まで気がつきませんでした。

 クシルサガルさんは IATFの方(よう見たら彼女が会長ですわ。わたしはあとでお土産屋ではち合わせしたんですが)、キシュナムルティさんは AITFの方(よう見たら彼が名誉会長ですわ。どっちも偉いんだ)ですね。

 しかし、ほとんど同じじゃないか、この名前。紛らわしいなあ。 (T_T) やっぱり上記のような方向性の違い(と言ってもかならずしも矛盾、敵対するわけではないと思うんですが)からケンカが起こって袂を分かったんでしょうかね。 (^_^;) 

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