アマジーグ講演会/その4a 「加害者性を引き受けること」

前のエントリーのつづき)

 かつて植民地化した側と植民地化された側のあいだの諍いは、多くの場合「認知」reconnaissance の問題だ、というのはなんとも重い言葉ですね。日本人がこのことの意味をよく理解できているか、そのための有効な努力をしているか、わたしには自信がありません。

 そしてアマジーグが「グナワ」を「自分たちに加害者性を引き受けること」の象徴として機能させているというのも凄いことです。
 16世紀北アフリカのアラブ人、ベルベル人の黒人奴隷貿易なんて、日本だけじゃなくて世界でも実態をよく知っている人、よく意識している人は多くないと思います。
 だから被害者側にいようと思えばいくらでもいられると思うのですが、アマジーグはあえて自分たちの側の加害者性を言いたてるわけです。

 先日のテレビでのアマジーグ紹介放送は「フランスにおけるアルジェリア移民の不満」という主題に限定された放送だったですから、アマジーグの視野の広さ、思想の深さみたいなものはなにも伝わっていないでしょうね。残念です。

 これは、それだけ日本人の器量を小さくすることにならないでしょうか。
 まあ朝からあんまり思想的に濃いものを見せられても重たくてかなわない、ということはあるんでしょうが。

 わたしのところにはあの放送の感想がいろいろ届いてますが、なかには「祖先はフランスのために尽力したのに不当な扱いを受けている。だから反発している。と愚痴をこぼしているだけの印象を受けました」ということで、後味の悪い放送だったという感想を送ってくれた人もありました。
 その意味でもあの放送はちょっと、というかだいぶんアマジーグに申し訳ないですね。

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