ちょっと季節外れの話題になるが、春夏秋冬、雪の降る季節を含む四季を有する我が国では、防寒具としての「マフラー」=“Muffler”は不可欠のものである。残念ながら個人的に経験はないが、思春期の女の子が、片思い、あるいは交際中の男の子に編んでプレゼントする「編み物」の初級コースがこの「マフラー」である。中級コース以上になると「セーター」や「手袋」ということになるようである。中学生、高校生と成長していくにつれて、プレゼントの「マフラー」には無縁でありながら、オートバイや自動車に関心を持ち始め、そのうちに、その部品の中に「マフラー」=“Muffler”が存在することに気づくことになる。そして、「防寒具」としての「マフラー」と「消音器」としての「マフラー」が併存していることにちょっと違和感を感じ始めるのである。この「マフラー」=“Muffler”はどちらも、英語の“Muffle”に由来する言葉である。「消音器」は「アメリカ英語」では“Muffler”であるが、「イギリス英語」では「サイレンサー」=“Silencer”=「静かにするもの」ということで、「イギリス英語」のほうが判りやすい。元となる“Muffle”は「手袋」を意味する古フランス語“Moufle”古ラテン語の“Muffla”からであり、円筒状で毛皮製の女性用の腕の防寒具「マフ」=“Muff”も同源である。「防寒」と「消音」という機能を効果的に行うための行為としては「包む」「くるむ」「覆う」という行為が必要である。そう考えて“Muffle”という動詞を見てみると、まさに「包む」とか「覆う」とかの意味を有している事が判るわけであり、「防寒具」「消音器」=「マフラー」“Muffler”は「包むもの」「覆うもの」から派生して「包んで防寒するもの」「包んで消音するもの」ということだということが判るのである。
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