ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

南月山・白笹山 ~ミネザクラと可憐な花たち~

2012-06-06 17:54:21 | 登山(両毛・常総)

【6月5日(火)】
那須ロープウェイ山頂駅→牛ヶ首→南月山山頂→白笹山山頂→南月山山頂→牛ヶ首
→那須ロープウェイ山頂駅



入梅も近付いたことと、この先しばらくは気軽に山歩きが出来にくくなる状況もあり(
「ここで行っておくしかない
と、那須の南月山・白笹山へと出掛けた。
5時56分最寄り駅発のJR宇都宮線に乗り、途中宇都宮駅で接続列車に乗り継ぎ
黒磯駅に着いたのが7時47分。
東野交通の黒磯駅前案内書で、バス時刻表をもらい、フリー切符を購入
8時15分発のロープウェイ山麓駅行きのバスに乗り、山麓駅に9時10分過ぎに着いた。
当初、天候が良ければ峰ノ茶屋跡経由で全行程を歩く予定でいたが
午後から快方に向かう見込みがなかったため、あっさりロープウェイ利用に変更した

ロープウェイは9時18分発で、たった4分で293mの高低差を行き来する。
今日は楽ちん、ずる戦法

ロープウェイ山頂駅で身支度を整え、9時27分、まずは牛ヶ首を目指して歩き始めた。
標高1000m辺りまで、雲が迫ってきている。
この雲が、上がってこなければ良いが…。

茶臼岳へ登る砂礫の道を、途中で左手に進み、山腹を巻く。
曇り空のためでもあるが、夏の青々とした山肌や、秋のカラフルな山肌と比べると
春はまだ始まったばかりといった感じで、とても寂しげに見える風景だ。

歩き始めて25分、牛ヶ首に到着。
ここから眺める茶臼岳は、山肌から噴気を上げて迫力満点

見下ろす姥ヶ平も緑が薄い。
三倉山・大倉山・流石山の稜線ははっきりと見えているが、既に西から雲が迫ってきている。

振り返れば、まるで天空にいるかのような錯覚。

これから歩く稜線を眺めながらバナナを食べて、10時に牛ヶ首を後にする。

歩き始めてすぐに、登山道脇にミネザクラが咲いており、辺りはふんわりと桃色に染められている。

オオカメノキとミネザクラの競演。

振り返れば、茶臼岳が美しい。

ついついミネザクラの花ばかり見るために、視線は上を見がちだが
足元を見れば、フデリンドウが小さく可憐な花を咲かせている。
本当に小さな、可愛い花だ

牛ヶ首から20分で日の出平に到着。
ここから沼ッ原へ抜ける道には、ミネザクラがたくさんある。
ここで一息入れて周辺をうろうろするか、そのまま進むか思案したが、結局直進

日の出平から潅木帯を抜けると、広々とした砂礫の尾根上を歩くようになる。
ここから振り返り見る風景は広大で、那須の山々の様々な顔を見渡せるかのようだ。

日の出平を出発して30分後の10時50分、南月山神社の石祠がある山頂に着いた。
まだ人もまばらで、ここで昼を食べるか、このまま白笹山に向かうか、またまた思案。
天気があまりもたない予感がするので、パンをかじって、そのまま白笹山へ向かう

南月山から白笹山へ向かう登山道は、ここまで歩いてきたどの道とも趣が異なり
背の低いコメツガやマツの針葉樹と、ミネザクラやツツジ類が生えた混合林で
東北の亜高山帯を歩いている気分に浸れる
空気の香りも一変し、爽やかですがすがしい。

ところどころで、アズマシャクナゲが咲いている。
花つきに当たり外れが大きいと聞くが、「当たり年」ではないのかも。
白笹山から沼ッ原にかけてや、日の出平から沼ッ原にかけての道の方が咲いているかもしれない。

2箇所ばかり、樹林帯を抜けて、見通しの良い笹原を歩く場所があるが
向かう白笹山にガスが迫ってきているのがわかる。
ありゃ~、今日の視界はこれまでか…

オオカメノキがリズミカルに咲いている。

ここまでは南月山からほぼ下り基調で、白笹山山頂の手前で少々の登り返しがある。

登りつめたところから右手にカーブする道を入ってすぐ、白笹山の山頂標識がある。
この標識がなければ、展望もないため、山頂であると気がつかないだろう。
南月山山頂を出てから35分、時刻は11時25分になっていたので、ここで昼を食べることに
だ~れもいない、静かな山頂
日の出平や南月山で、後から後から来る人を気にしながら休むより
だんだん周囲が白くなるのを気にしながら、クマの気配におびえつつ休む方がマシ(変)。
それでも、天候の変化が心配だったため、11時40分に山頂を後にした。

白笹山からは、来た道を戻るだけだ。
辺りは真っ白だし、比較的薄暗い木陰の道とあって見通しはきかず、自然と目はササの根元に。

まだ蕾のマイヅルソウ。

これはヒカゲスミレか?
スミレの同定は難しい。

エンレイソウ。
漢字で書くと延齢草だとか。
艶麗草…という感じもする

おお~っ、可愛いのう…
ヒメイチゲは結構咲いていた。

帰りはずっとこのような状態で、足元を見ながら黙々と歩いていたためか
写真を撮りつつも、35分で南月山に帰ってきてしまった。
ここでびっくり
約1時間半前に山頂を通過した時、休憩していたのはまだ3、4組、10名に満たない人だったが
ちょうどお昼時と重なったためか、山頂は休憩中の登山者でごったがえしていたのだ
やはり、クマにおびえながら白笹山でお昼にして正解だった

南月山を後にして、砂礫地を歩くも、行く手は真っ白

振り返っても、真っ白

行く時には気付かなかったが、ムラサキヤシオか。
ツツジ類はまだこれからで、沼ッ原付近から標高1300m~1400m付近が見ごろなのではないか。

地面に這いつくばるようにしてこの花の写真を撮っていたら
「この花、なんだか知ってっかい?」
と、背後から声が掛かった。
「いいえ。最初ヒメイチゲかと思ったんですけど、違うんです。何だろうと思って、写真を撮っていました。」
「俺もさ~、年中ここに来てんだけどさ、何だかわかんないんだ。調べてみてよ。」
「はい。(恐らく、ミツバオウレンではないかな)」
「あんた、植物詳しいね。どうしよう。取って置きの写真があるんだけど、見せようかな、やめようかな
思わせぶりな口調である。
隣りで連れの女性がニヤニヤしている。
「よしっ!今見せてあげっから、待っててね。」
しばらくカメラをいじっていた男性が
「ほれ、これなんだよ。何だかわかっか?」
と、カメラのモニターを見せてくれた。
「ん?わからないけど、ナントカコザクラの仲間?」
おしいっ!似てるんだけどな、ちょっと違うんだよ。やっぱりあんた、植物詳しいな。」
「いえ、詳しくないです。その花、大きさはどのくらいですか?」
「こんくらい。」
「え?そんなに小さいの?全然わかりません。」
「これはさ~、へへっ名前教えてあげようかな、やめようかな
またまた思わせぶりな口調に、思わずアハハと笑ってしまった
「んじゃ~、特別に教えてあげっからね。これはね、○○○○○○
「え○○○○○○って、那須に咲いているんですか
「ほらね知らないっぺ?*****に、咲いてるんだよ~
「*****?今から行ってもな~
すると、連れの女性がニヤニヤしながら
「若いんだから、行ってみなさいよ。」
と言うのだが、なにしろ辺りは真っ白である。
「う~ん、天気が…。この時期だけですか?」
「うん。この時期だけ。俺、このために毎年来ているんだもの。でもさ、*****に行っても、探せないかもな
「はあ…。そんななんだ…。じゃあ、来年以降、時間をたっぷりとって、探しに来ます
「そうしな。探せないだろ~な~
そんな楽しい会話と、取って置きの写真を見せてくれたお二人のために、花の名前と場所は伏字にした。
家から山が見える天気の時に出掛けて来ては、花を求めて歩いていらっしゃるのだとか。
うらやましい

南月山の山頂を出てから40分で牛ヶ首に到着。
目の前の茶臼岳さえガスがかかって姿が見えない。
この時、12時55分。
朝、ロープウェイが18分と48分の30分間隔で運行されていたため
急げば13時18分発に乗れるかもしれないと考えたが、そこまで急ぐ必要はないので
写真を撮りながらのんびり歩いた。

イワカガミが咲き始めている。

お隣には、白いイワカガミ。

コケモモ?
葉の形を見るとコケモモなのだが、花がコケモモらしくないというか、アカモノみたい。

写真を撮りながら歩き、ロープウェイ山頂駅に着いたのが13時20分。
山麓駅から上がってくるゴンドラが到着すると、なにやら駅舎内が騒がしい。
どうやら小学校の生徒達が、上がってきたゴンドラですぐに折り返し、山麓駅へ向かうらしい。
「御一緒しても構いませんか?」
ロープウェイの駅員に尋ねると、構わないとのことで
子供達の歓声で賑やかなゴンドラに揺られつつ、山麓駅へ到着。
大人の騒がしさにはなかなか笑えないものの、子供の騒がしさには思わず笑えることもある
小学校6年生の面白い発言と生態を観察できた4分間だった。


帰りは、ロープウェイ山麓駅13時55分発のバスに乗り、黒磯駅に定刻に着くと
温泉まんじゅうを買いに、駅前の明治屋へ
那須のお土産の定番である明治屋の温泉まんじゅうを、ダーリンは楽しみにしているのだ。
黒磯駅15時10分発のJR東北線に乗り、途中宇都宮駅で接続列車に乗り継ぎ、帰途に就いた。



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4 コメント

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那須の山もいいですね (芝刈り爺さん)
2012-06-07 20:00:55
いい山を歩いてますね、うらやましい。
私は、仕事やら何やらあって、今は山休みです。
そうこうしているうち風邪をひいてしまいました。今はやっているんですね。

那須の山の秘密のいい花、いいですね。なんの花かはわかりませんが、楽しみですね。私もあの付近は大好きです。人が多いのと、車が時期によって駐車できないのが難点。沼原に置いたりもしますが。三倉、大倉、流石もいい感じに見えてますね。それでは。
お大事に (ぴすけ)
2012-06-07 21:19:48
芝刈り爺さん、風邪をひいてしまわれたのですか。
お大事に。

私も、教えてもらったはいいけれど、探し当てられないのではないかと思っています。
でも、とても気になるので、来年はそちら方面に行ってみようと決めました。
私もしばらく山休みになるかもしれず、家でザックを背負ってステッパーを踏み踏みするしかないか…
な~んて言いながら、来週どこかの山にいたりして
6月の那須は (ba_sobu)
2012-06-08 22:39:08
ぴすけさま
6月の那須は お花が多いですね
ミネザクラが咲くと、ああいう感じになるのですね。想像した以上の景色、写真で見られて満足です

わたしが見た シャクナゲの葉はアズマシャクナゲだったようですし、なんというか、那須がお花の山なんて、びっくりです。

ということは シロヤシオツツジも咲いているのでしょうか?



シロヤシオ、いいですよね! (ぴすけ)
2012-06-09 11:06:54
ba_sobuさん、ようこそ!
シロヤシオ、お好きですか?
シロヤシオのあの清楚な佇まいは、山では一服の清涼剤ですよね
那須にはシロヤシオで知られている中の大倉山があり、北温泉から歩いて1時間半程度でしょうか。
ただし、そこはスキー場のリフトが季節運転されていて観光地化されており、シロヤシオの季節はごった返すかも
山を歩かれる方なら、沼ッ原~白笹山~南月山~日の出平~沼ッ原の周回コース(好みで逆コースもあり)に咲くシロヤシオやトウゴクミツバツツジがお勧めです
6月の那須はこれから花の季節ですよ~

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