仕事が落ち着かなくて週末直前まで予定を決められない。なのでどうしてもドタキャンが可能な単独の計画になってしまう。この週末は八ヶ岳東面のバリエーションルートでも易しい赤岳東稜に行くことにした。
ブログには記事を上げていないけれど、実は二週間前に単独敗退している。その時は6時間のルーファイとラッセルの後に、幕営地でガス缶忘れが発覚し、泣く泣く帰ったというお粗末なものだった。今回も金曜の帰宅は遅れたけれど、ザックに詰める荷物は逐一チェックして万全を期した。
(3/16) スキー場駐車場(09:17)-(10:01)県界尾根分岐-(11:34)二俣-(12:11)上の二俣?-(15時頃)稜線-(16:19)第一岩峰基部-(18時頃)幕営地
(3/17) 幕営地(05:47)-(05:58)第一岩峰基部-(07:07)稜線-(07:57)第二岩峰基部-(09:49)竜頭峰(10:00)-(14:31)駐車場
(3/16) 出発は土曜の朝。サンメドウズの上の駐車場に車を停めて、ゲートに戻ってから入山開始。2週間前はワカンで歩いた道は坪足で問題なし。一度歩いているルートなのでルーファイの労も無く、二俣には2時間15分で到着。
(左岸の林道を歩く)
(二俣着)
間違えやすいと言われるここまでのルート取りは、右岸のゲートから少し歩いて沢を渡って左岸に移り、暫くは左岸通し。1,990m辺りの最後の堰堤を越えた先、真教寺尾根の2,316m小ピークに詰める沢を分けて10分程で左の沢が少し高い位置から合流していて見落とし易い箇所があった。黄色テープが巻かれていなかったら二俣になっていることに気づかなかったかもしれない。沢床より、樹林の疎らさで枝沢を見つけ、基本、真教寺尾根に詰めあがらない限り左を選択すれば良いと思う。
二俣から沢を詰めると水流が現れているところがあった。最近の黄砂の報道もあり、雪から水を作るのもなぁと思って2.5lを歩荷することにした。
景色が良いので、今日は稜線に上がらなくても良いくらいの気持ちで尚も詰め上がると、傾斜が出てきて幕営適地ではなくなってしまった。
(ちと詰めすぎた?)
時間は余裕だし、当初予定の第一岩峰手前まで上がることにする。左手の斜面に取り付くと、一部で雪が固まらず結構苦戦を強いられる。途中でどうにも上がれなくなり、空身でフィックスを張ることに。この展開は予想しておらず、ハーネスは履いていないしロープもザックの底。幸いにしてザックは2気室なので、下のファスナーを開けてロープを出そうとしたら、まず出てきたのは10.4mmx35mを半分に切ったものだった。そうだ、前の週の城ヶ崎で、トップロープ支点を作るために使ったものだ。
パッキングの時はシングル60mだけ取り出してダブル50mを入れてOKだと思ったのだけれど、コイツらを抜くのを忘れてしまっていた。8.5mmx7mなどもあり、合計92mのロープを担いできたことになる。なんだかなぁ。
(稜線を目指す - この辺りはまだ傾斜も無い)
ここでは50mは要らないので、このシングルの端切れを持って登って、適当な木にロープを張ってからゴボウで登り返した。こんなことを何度か繰り返して、稜線に上がるのに3時間くらい掛かってしまった。おそらく二俣から沢を詰めすぎて稜線までの高度差が出すぎてしまったのではないだろうか。稜線に上がっても地面は平らでなく、少し足で整地してテントの大きさを確保出来ないか様子を見ても大分工事に時間が掛かりそうなので、様子見で上がってみることにする。
傾斜は緩くなることは無く、第一岩峰基部に到着。しかしこれが第一岩峰だとは気付かず、これを越えたら平らなところがあるのかな、くらいの気持ちで、とりあえずハーネスとアイゼンを履いてルートを探す。岩に右手から乗れば巻けそうだったので、木登り交えて回ると雪に乗った。しかしここから先で雪を固めようとしたら、崩れて這松に覆われた立った壁が出てきてしまった。ここに来て、どうもこれが第一岩峰じゃないかと気付いた。
(第一岩峰)
幕営地は戻って探すしかないなということで、シングルロープ2本でフィックスを工作して降り、結局、最初に目星を付けた場所にテントがちょっとはみ出るくらいの床を作った。結構疲労したようで、ビール1本の後はウィスキーを1cm程度飲み、その後のビール1本も持て余すくらいだった。
奥行き120cmのテントの床の1/4くらいは浮いているので、寝返り打ったら滑落だなぁと思いながら、自分の寝相の良さを信じて就寝。
(3/17) 3時半起床。日の出と共に行動開始。
フィックスを回収して登り、昨日行き詰まった箇所まで。ここは空身で行けばなんとかなりそうな気持ちがあった。ザックを下ろして、シングルロープの端を木に固定、反対側を自分に結んで、最悪でも下まで落ちない(と思う)ようにした。墜落係数2なのであまり気持ちよくないけど。
さすがに空身だと楽勝で、稜線に上がった安定した場所にある木にロープを固定。懸垂で戻ってザックを背負い、ロープマンMk2で登り返し。ザックありだとテンション掛け捲り。
(立った這松の壁)
第二岩峰までの稜線歩きは雪が想像していたほど多くはなく、かつ締まっているので快適。ところどころトレースが残っていたのがちょっと残念。
(第二岩峰)
(右は綺麗な雪面)
(左は潅木豊富)
この雪質であれば第二岩峰は左右どちらからでも行けそうだったけれど、右は支点が取り辛そうだったので左のルンゼを目指す。10mくらいトラバースをした先で、雪の落ちた岩も登れそうだったので進路変更したら、直ぐに傾斜が出てきてしまった。おとなしくルンゼに移って暫く進み、今度は稜上まで緩い傾斜の岩が確認出来るところで岩と木登りに切り替えた。
這松に覆われた岩稜を歩いて竜頭峰に到着。
(ルートを振り返って)
赤岳山頂は直ぐだったけれど、人が多いし今回はパス。真教寺尾根の下降は、先行2パーティーが空くのを待ってから入る。以前、天狗尾根からの下降に使ったことがあり、上部があまり良くないのは覚悟の上。ところどころ後ろ向きになりながら樹林帯まで降り、ピストン組のトレースに助けられて賽の河原まで。上のスキー場にはどういったら良いのか分からなかったけど、「大門沢」の標識があったのでそっちに進んだらノントレースだった。ここで今回の山行でやっとワカンの世話になるとは思わなかった。あまり谷に下りないように進むもなかなかスキー場に合流できず、かなり下まで折りきってしまってからやっと圧雪路。やれやれ、結構ヨレて車に到着。
今回は雪の状態に随分と助けられた。雪が固まらないといっても空身での前進では問題ないレベルだったし、第一岩峰から先は快適だった。ルート取り上のミス(という程でもないとは思うけど)は、二俣から先で沢を詰めすぎたことか。おそらくもう少し早めに稜線に上がってしまえば面倒は少なかったと思う。
美味しいところが短い(第一岩峰から第二岩峰を抜けるあたり)割りにアプローチと下山が長く、その辺りが人気の無い理由の一つな気がするけど、静かなのはそれだけで魅力。
(雪の少ない東面のリッジ - 大天狗、小天狗も真っ黒)