去年同様、年末年始は敗退してきました。しかもノーマルルートの鹿島槍狙いで爺すら踏めず。
(四人だけで付けたトレースを戻る)
当初は鹿島槍東尾根の予定が直前にノーマルルートで爺の東尾根から鹿島槍を目指すことに。んー、ならば登頂に拘りたいっ、けど天気が...
【日程】 2008/12/31-2009/1/3
【行程】
(12/31) 鹿島山荘(07:54)->(08:52)稜線->(12:27)下のJP->(13時半頃)幕営地 晴れ
(1/1) 幕営地(07:28)->(11:52)2,230m付近で幕営 小雪
(1/2) 幕営地(07:02)->(10:14)2,550m付近にて引き返し->(12:50)P2付近にて幕営地 雪
(1/3) 幕営地(08:55)->(11:47)鹿島山荘 晴れ
【メンバー】L.MKさん、黒板五郎さん、ゆかたけさん、Gil
(12/31) 鹿島山荘の脇から入山。3月の同ルートの経験から取り付きの急斜面は覚悟していた。泥壁はやっぱり悪い。五郎さんはアイゼン装着で、かなり有効とのこと。下部で1Pを抜き、早々に本日の先頭となる。尾根に上がると一安心。今日の行程はあとは体力だけだ。トレースは部分的に残っており、旨く当たれば下は固まっている。外すと膝くらいまで埋もれる。空は青く気温も低くなく、「ビール持って来れば良かったね」なんて気分、しかし好天を無駄にしているようで勿体無い。なるべく進んでおきたかったが、あまり上がりすぎて樹林帯を抜けても風が辛い。下のJP(1,767m)には昼過ぎに着き、そろそろ幕営適地の選定に入る。標高のさして上がらない尾根をラッセルラッセル。確かテン場には困らないはずだと思っていたのだが、1時間近くも歩いたところで南斜面を整地して寝床を確保。
(01/01) 取り付きで一緒だった2人Pが前日の夕方に近くにテントを張ったようだが、先行した様子は無い。しめしめ、今日も自分達でトレース付けだ。
(元日からラッセル)
3月の初日にテントを張ったところを通過し、尾根も次第に登下降と痩せた箇所が出てくる。風はそれほど強くないが、方向が定まらず雪庇の向きも一定しない。トレースはところどころで雪の下に感じられることもあり、当たればラッキー、それを外すと膝まで潜る。斜面にステップを切る箇所があったりしてワカンではなくアイゼンで行動した。P2を過ぎて、風除けのために樹林帯を抜ける前にテントを張った。まだ昼なので気合を入れて雪壁を作った。宴会を早く始めたい五郎さんから文句がでるまでスコップを振るう。携帯で受信した天気予報では冬型は1/3まで続き、風は酷くはないが雪は降りっぱなしらしい。せめて爺の山頂は踏みたい。
(01/02) 小雪が舞う中、歩行開始。風の音はするが危険を感じるほどではない。歩き始めて直ぐにこのルートで一番痩せている箇所に当たる。春にはザックをロープで降ろして空身で通過した箇所だ。今回は雪が多くて尾根をそのまま進めそう。MKさんが空身でトレースを付けるが、後ろに下がって確認すると微妙に北側の雪庇をかすっていて怖い。自分が歩くときには更に南側にステップを切って行った。
(一番痩せていたところ。3月より雪が多く怖くなかった。)
ラッセルが酷いので先頭空身作戦に出るが、10分交代では荷物を取りに行ってから追いつけず、5分交代でも効率良くなくて通常のラッセルに戻す。
矢沢ノ頭に乗り、吹き曝しで雪が飛ばされているかなと期待していたのだが甘かった。積雪は更に増した。しかも降雪と風で視界が得られず、広い尾根の上で目を凝らし、時々見える白い空と白い雪面の境を頼りに方向を決める。赤旗必須。視界を妨げるのでゴーグルは使えない。爺ヶ岳に抜けたら冷池まで張るところ無いなー、主稜線ラッセルだったら時間キツいなーと思いつつ、黙々と雪原を進む。2,500mあたりで腰上から胸までのラッセルが続くようになった。新雪のようで固まり難く、胸、膝、足、足を使って機械的に雪を潰しながら進む。2,550mあたりで先頭の自分のペースが一段と落ち、ゆかたけさんに変わって貰う。同様に進みは遅く、MKさんの撤退判断。あと100mで山頂と思うが、それに何時間掛かるか分かったものではない。個人的にはここで幕営して残り二日でとの思いもあったが、今晩の積雪は昨日より多い予報だ。加えてやわらかい雪を固めて雪壁を作る以外に風を防げないような地形。体力的には疲労感まったくなしなのに...
(敗退ポイントにて。ただ白い写真しか撮れない。)
残念だが下山、来た道を引き返す。トレースは既に消えかかっていたが、視界のほうは向きが違うとこうも違うのかというくらいに悪くなく、先頭を歩かなかったこともあり下山はあっけない。昨晩の宿を通過し、P2に登り返す手前あたりでテントを張った。三日目ともなると酒は足りない。日本酒1升を空け、ブランデーをチビチビ。
(01/03) 山頂は相変わらずのガスの中だが、下る先には青空が広がっており頚城の山々が見渡せる。ゆっくりと支度をして下山開始。たまに腰上まで埋もれるのも、今日はそれも楽しい。一時間ほどラッセルをしたら新しいトレースが見つかった。停滞していたパーティーが今朝降りたのだろうか、ルーファイの労なく、まさに下るだけ。そのうち数パーティとすれ違い(羨ましい!!)、最後の核心と踏んでスリングまで忍ばせておいた取り付きの急斜面には見事なステップが刻まれていた。
(最終日の朝。天候回復でも山頂はまだまだガスの中。)
鹿島槍はおろか爺ヶ岳にすらたどり着けなかったことは素直に残念だ。しかし撤退を決めたラッセルの進みは悲しいくらい遅かった。天気は回復傾向にあった訳で時間さえ掛ければ行けたかと思うと、予備日1日では少ない。天候理由による撤退が不運であっても、最初から望み薄の運にばかり頼りたくない。覚悟が足りない。
3月にトレースした時とは雪の状態、量ともに違っても、ルート経験は行程の読みにはそれなりに役立ったと思うし、何より不安なく冷静に居られた。
今回はワカンを装備したが、全行程を通して五郎さんと僕が20分程度使っただけであった。二日目はワカンの方が行動が早かったかも知れないが、それも先頭のみだったろうし、2番目以降は寧ろ邪魔だったと思う。雪稜を考えたらワカンなしのラッセルに慣れて軽量化を図るっていうのがマイブーム。
まぁそれでも山の中に自分達だけというのはやっぱり気分が良いな。好天でトレースバッチリだったらそれも不満だろうし、ワガママなもんだね。