『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**イタリア中部の古都を巡る旅13日**<2002.11. Vol.20>

2006年01月08日 | 芦屋道路問題ネットワーク

イタリア中部の古都を巡る旅13日

芦屋 岡上裕子

(5月25日金曜日晴れ)

 今年から西宮北口発の関空行きのバスが出来たので便利になった。アリタリアは今日はどうしたのだろう。気流が悪くて随分揺れたが、夕方ミラノ着。空港のチェンジの前、到着して5分、たくさんの日本人のツアー客でごったがえす中、もうすでに荷物を置き引きされて青くなっている人がいた。ウチのチームでなくてよかった。ホッ!。今度のツアーでは24人ほとんど全て60歳以上の(中?)老カップル組。しっかりしたコンダクターが付いてくれた。“魚谷さん”男性。今回の目玉は、ミラノでオペラを見る事。カラバッジオの絵を1枚でも多く見る事。ラヴェンナのモザイク画、アッシジのジョットのフレスコ画、それにシスティーナ礼拝堂、ピナコテーカ、ラファエロの間、……何だ、やはりたくさんの目玉になってしまった。

 飛行機のトイレでタバコを吸った人がいて、警報機がなる。500万円以下の罰金だそうだ。マルペンサからミラノの市内はラッシュで混雑。中央駅の目の前スターホテルは4っ星。お湯もたっぶり出て、清潔なベットで空調もあって快適。これ以上は望まない。安定剤を飲んですぐ寝る。

(26日土曜日晴れ)

 朝食、ハム、チーズ全て良し。皆と別行動。ブレラ美術館に行く。やっと念願のカラバッチョの絵が見られた。大天才でありながら、はちゃめちゃな人生を送った彼の伝記も読んだし、画集も買って何度も見ていたのですぐにそれと分かる。その他いい絵が沢山ある。近くのポルディベッツィオーリ美術館は第二次世界大戦で9割程焼失したにもかかわらず、残っていた設計図から元のままに修復し、美術品、家宝の懐中時計、家族が使っていただろう美しいレース等素晴らしい日用品も残っていた。ペックで昼食、リナシェンテ(デパート)へ寄って台所用品を買う。ホテルヘ帰ってシャワーを浴び、一寸おめかしをしてスカラ座へ。ベルディーの“仮面舞踏会”。リッカルドムーティの指揮でしかも土曜日の夜、こんな条件なのによくもあったものだ。その上三階正面のバルコニー、高いチケットを承知でダフ屋のお兄さんから買う。6万5千円にまけてもらい名前と電話番号まで教えてもらう。“ロニィーと詠んでだけど貴方は日本人じゃないみたい”とまた言われてしまった。

 ムーティーのタクトは弦が美しい。バリトンとソプラノが一寸良くない。特にソプラノは声にハリと奥行きに欠けるが終幕の豪華な美しい舞台は忘れることが出来ない。バルコニーの一部屋にはベルギー人夫妻、ドイツ人夫妻、スエーデン人夫妻、私達、皆オペラ・クレージーばかり。幕あいには楽しくオペラの話に花が咲いた。今日はミラノの地下鉄の“一日券”乗りまくったなあー

(27日日曜日晴れ)

 昨年来たベルガモを通ってヴェローナベ。アディジェ川は冬に山間部で雪が多かったので例年になく水量が多く、流れも速い。美しい眺めだ。古代ローマ時代の劇場跡を通って、スカラ家の廟へ。因にスカラは階段の事、スカラ座はスカラ家の教会の後。12Cに建てられた家々が並ぶエルベ広場、ロミオ、ジュリエットの家等を回って前に(アイーダ)を見たアレーナヘ行く。このアレーナはローマのものより古い。ここで毎夏オペラをするなんて、何と素敵な文化なのだろう!。この街もゆっくり滞在してみたい所だ。

 バスでパドヴァヘ。広い広い公園プラート・デッラ・ヴァッレには街の偉人の像が並んでいて、ロマネスク、ゴチック、ビザンチン、のミックスしたエキゾチックな美しい姿の聖アントニオ聖堂が見える。今日は日曜日でミサがある為に中に入れない。その上1300年頃描かれたジョットのフレスコ画が沢山あるスクロヴェニー礼拝堂は修理中、ラジョーネ宮も修理中、中に入れない。修復テントの横から垣間見た天井絵はすばらしかった。24時間開いていて知識人達の討論の場だったカフェペドロッキ等、大学の町らしく若者の多い見るべきものが沢山ある良い街だ。今夜の宿泊地ヴェネツィアヘ向かう。未だ行ったことがないリド島に泊まるのだ。

 ローマ広場からモーターボートでアット言う間にリド島に着いた。船着き場のすぐ近くのおしゃれなホテル。夕日が美しくサンマルコの姿を映している。

(28日月曜日晴れ)

 窓からアドリア海を眺めながら朝食。サンマルコの前で皆と別れて昨年見損なったサンロコ同信会へ行く。昨年は30分前に行ったのに見せてくれない訳だ。とてつもなく大きな部屋に大きな絵が天井からあらゆる壁を埋め尽くしている。テイントレットはこの絵を描く権利を得るために大層苦労したそうだ。天井の絵が見やすいように大きな鏡が取り付けてある。すごいな一!。リアルト橋を通って大富豪の館、15Cゴチックの傑作と言われているカ・ドーロヘ行ってみる。大理石の美しい床、中庭、数々の宝物を見る。此処は海にクイを打って作った島なのだと一瞬忘れる位だ。

 “世界は神が作ったが、ヴェネツィアはヴェネツィア人が作った”と誇り高いヴェネツィア人は豪語するそうだ。リアルト橋の近くのリストランテで氷に乗った大きなオマール海老でパスタを作ってもらう。“ビアンコにしようか、それともロッソ?”“ 勿論ロッソよ”(ウーンでもこれはモコ湖の方が味は上だ!)又サンマルコ広場で、午後の光を浴びた素晴らしいモザイク画を眺めながらグラニテを飲む。

 今日はすごく暑い。後で30℃と聞いた。何でもアフリカのサハラ砂漠の方から吹いてくる“シロッコ”だから白い砂が混じっていて、車も真っ白。そしてこんな暑さになるのだそうだ。9時からリアルト橋のサン・バトロイト教会で室内楽のコンサートがある。美しいお堂の中で聞く音楽は、これこそヨーロッパ!だと実感する。イタリアの若々しくキビキビとして賢そうな青年達の奏でるバッハ、ビバルディー、モーツアルトは体の内蔵にまで染み渡る響きだ。音楽ってなんでこんなに良いんだろう!。音楽を作ってくれた神様に感謝!そして今日ここに来れた事にも感謝! 楽しい一日だった。

(29日火曜日晴れ)

 ヴェネツィアにさよならをしてバスでフェラーラヘ。この都市はエステ家の支配。芸術と文化のパトロンだったイサベラ・デステの時代が一番栄えていたのだろう。小さいが美しいドウオーム等を見て回った。昼食のハムとズッキーニのパスタ、ポークのアーテイチョーク・ソース、イチゴ、なかなか良かった。今度の旅行では口蹄疫のために牛肉は一切無し。牛肉の消費は6割減ったそうだが多くの人々は魚に変更しないであきらめて牛肉を食べているとか。

 昼食後ラベンナヘ行く。日本名“まさこさん”と言うイタリア女性の案内で市内を見て回る。今イタリアでは観光ガイドの規制が厳しくガイドの資格を持っている人でないとガイドは出来ない。またその資格を取るのは難しくて大変なんだと何度も聞いた。フィレンツェを追われてこの町で亡くなった“ダンテ”のお墓を回って、5Cに建てられた皇帝の娘の廟ガラ・プラッチデイア廟、6Cのラベンナが陥落する前の皇帝の為のサン・ヴィターレ教会へ行く。本当にほんとうに簡素な外観のお堂の中によくもこんな素晴らしいモザイクがあったものだ。約1500年の年月を経ても、プルプラ貝で染めた紫衣、銅、コバルト、鉄、を使って作った色ガラスの小さな小片で描いたモザイクが永遠の光を失わずに輝いていた。美しい物を作りたい美しい物を残したい!という人間の共通した執念にホーッとため息が出る。これが見たかった。ラヴェンナには他にサン・タポリナーレ・イン・クラッセ聖堂とサン・タポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂があって共に美しいモザイク画が残されている。次回のお楽しみに残しておこう。デザイナーのミッソーニは良くこのラヴェンナのモザイク画からデザインや模様のヒントを得るそうだ。

 サン・ジョバンニ・エヴアンジェリスタ聖堂のまえのホテルは良かった。夕食後中央駅の方に酔い醒ましの散歩に出掛けたが、一寸寂しい感じでこの街に西ロ一マ帝国の皇帝の住まい、つまり都があったなんて信じられない。

(30日水曜日晴れ)

 快晴のサンマリーノ共和国は高台にあって美しい遠望が大きな気分にしてくれる。今日は遠くが少し霞んでいるが、くっきりした日にはアドリア海もみえるそうだ。街の革屋さんでショルダーとお菓子屋さんでお菓子を買う。どんな味のお菓子なんだろう?。切手とコインと観光の小さな国だから歩いて難無く回れる。ボローニアは今まで何度も列車で通っていたのに一度も降りてみなかった。古い美しいポルテイコ(柱廊)の下で昼食。名物のラザニアだが七面鳥のラザニアで美味しかった。中世には200本もあったが今は2本しかない塔を見て、旧ボローニア大学へ。ヨーロッパ最古の大学。教会の反対を押し切って世界で初めて人体解剖をした記念すべき白い大理石の手術台がある。旧アルキジンナージオ宮殿だった建物でこれが大学かと思うほど典雅な建物だ。中世に栄えたボローニアは古くから交通の要所でここからローマ、フィレンツエヘの分岐点だった。サン・ペトロニオ聖堂の前の広場で一休み。資金が足りなくなってファサァドの上半分の大理石が未だに張ってない未完成の聖堂を見上げる。

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