伊太利亜旅行より
田中 廉
10月27日より、4泊6日でバチカン国際音楽祭鑑賞の為にロ-マに滞在ということに。急に決まったので24日の「道路ネット」の例会に出られない旨、藤井さんにメ-ルしたところ、「イタリアの自動車事情など書いてください」との依頼。遅まきながら思い出しつつ書いています。
アリタリア航空で成田からロ-マまで直行する予定でしたが、なんと8時間遅れとのことで、航空会社の手配で5時間ほど近くのホテルの部屋で休憩となりました。美味しい昼食も付き少し仮眠もでき、私としては面白い体験でした。ロ-マ着は27日夕方が28日の朝となり、結局3泊6日の旅となりました。
ロ-マ市内は石畳の道が多く、私の様に年を取ってすり足気味の者は、気を付けないと足をひっかけそうになります。町中ではマンション・事務所に専用の駐車場は少なく、多くは路上駐車です。そのため小型車が多く、日本の軽自動車より小さい二人乗りのSmartという車が目につきました。この小ささを武器に路上駐車も、縦列でなく頭から駐車しているのをよく見かけました。一人乗りの車も2台見ました。これは更に小さく、何か人間魚雷の操舵室のような感じで、圧迫感があり乗りたいと思うような代物ではありませんでした。
バスの中からわかる範囲で調べると、駐車中、走行中の日本車のシェアは10%弱で、韓国車は7~8%ほどでした(インターネットで調べると2014年の新車登録では日本車は9.0%、韓国車は5.0%)。海外に行くと、日本車と韓国車の普及率を知らず知らずのうちに数えています。概していうと、田舎では両国の車のシェアは低く、都会で多くなります。これは都会の方がコストパホ-マンス重視で、外国車に対する抵抗感が少ないのでしょう。また、発展途上国では韓国車の比率は高い傾向でした。これは単純に経済性でしょうか。
何故、アジア車にこだわるかというと、西洋社会でどれ程「アジア」が受け入れられているのかに関心があるからです。私は米国資本の会社で長く働いていました。一つか二つ上ぐらいまでの上司は日本人ですが、その上はアメリカ人です。アメリカ人は概して明るく友好的です。個人的には好意の持てる人たちです。しかし、人種差別というか、白人の方が政治経済、文化面で優れているという意識は根強いものがあると思います。いわゆる『文明国』のほとんどは欧米諸国で、圧倒的な富と力を持っています。
ノーベル賞受賞者も、最近日本人、中国人が多くなったとはいえ、80~90%は欧米人です。近代は欧米人が圧倒的に世界を支配してきました。国連でも常任理事国が強大な権利を持ち国際政治を支配しています。私たちが接する世界のニュ-スの発信源のほとんどは欧米です。このような現実に接していると、自然と欧米人=白人は、自分たちは有色人種より優れているのだと、意識下に刷り込まれてしまうのではないかと思います。
1986年、中曽根首相が黒人、プエルトリコ、メキシカンに対する差別発言をし、米国の下院で非難決議が出される寸前まで行くという、大問題になったことがありました。その時、私は米国に滞在中でしたが、なんと馬鹿な発言をしたのかと思いました。白人、特にエリ-ト層にとって、人種差別発言は社会的地位を失うほどの失態です。米国では人種差別を克服するため、多大な努力をしています。ヘイトスピーチは論外で、人種差別には社会的に大きな制裁が加えられています。米国ではコマーシャル、パーティーなどでは、その中に何人か黒人、時にはアジア人が入っています。
しかし、共和党の大統領候補であるトランプ氏が、人種差別発言を繰り返しているにもかかわらず、25%ほどの支持率があるということは、その差別意識が白人保守中間層に支持されてからだと分析されています。それほどに人種差別の根は深いのです。それほど強くなくても、「現実社会を見れば自分たち(欧米人)の方がうまくやっている」という意識は有るのだと思います。それを打破するにはどうするか。
私たちの親の世代は、中国人や朝鮮人に対する差別意識、日本人の方が優れているのだという意識が強くありました。その意識は当時、経済的に日本の方が進んでいたという事実に、裏打ちされていたのではないかと思います。しかし、今ではどうしようもないレイシストを除いて、人種的に日本人の方が優れていると言わないし、思いもしないでしょう。それは経済的に両国の力が付き、日本と同じようになってきたからだと思います。
事実が偏見をなくしたのです。欧米人の認識を変えさせるには、有色人種諸国、現時点では日本・中国・韓国・インドをはじめとするアジア諸国が力をつけ、彼らの目の前に現実として、「同等の能力を持つ」ということを示すことが大切だと思います。そうすれば、我々が変わってきたように、彼らの認識も徐々に変わって来るのではないかと思います。
そういうわけで、中国・韓国・インドさらにはベトナムなどが力をつけ、その存在感を示すことは面白いと考え、期待しています。そのうちに中東、アフリカ、中南米の諸国も同じように、経済的・文化的にも力をつけ、差別をブッ飛ばすようになるでしょう。
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